可能性は0.03
俺のクラスには犬みたいなやつがいる。
そいつの名前は骨宮犬。
犬は、俺の友人である猫山日向と仲がいい。犬と猫で正反対な名前を持っているが、本人二人は喧嘩するほど仲がいい、という関係だ。
犬は、人に執着しやすい。何故か俺は、犬に崇められている。気のせいではなく、本人が言った。なんでも俺は理想のご主人様らしい。人を飼う予定はないけどなあ。
犬は、不良の羊川一狼とも仲がいい。なんでも同族だと言っていた。ああ、そういえば、羊川は特殊の趣味を持っていたな。犬も、同じなんだろうか。
犬は、走るのが好きだ。クラスの中で二番目に足が速い。なんで二番なのか不思議だったが、なんでも一番は羊川らしい。アイツが走っているところを見たことがないが、きっとそうなのだろう。
そんなことを思っていたら、羊川と裏庭で話している犬を見つけた。
声をかけると、驚いたようで、――なんでかあの〝趣味〟を出した。
見えたのは、羊川のように何の耳か分からないものではなく、どう見ても犬の耳だった。
「おい犬……」
羊川が声を犬にかけた。
「ん?」
「耳……」
「え?」
耳のついた頭に手をやる犬。
そうしているうちに犬の顔が真っ赤になると、その後、今度は真っ青になった。
「犬……」
「いや、その、これはッ」
「俺の予想は間違っていなかった」
「へ? まさか関係者――」
「いや、俺はそっち方面、興味はあるがそういう趣味ではない。流石に自分でやるほどでもないし」
「…………うん?」
「犬、コイツな、勘違いしてるんだ」
何を勘違いしているというんだ、羊川。
でも、そうだ、予想はあっていた。羊川も骨宮も、そういう趣味だったのだ。
うむ。そういえば、クラスの繰鼠もそれっぽかったなあ。既に知り合いかなあ。今度紹介してみようか。
「それにしても、獣耳って結構はやってんのかなあ」