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 俺のクラスには狼みたいなやつがいる。

 そいつの名前は、羊川(ひつじかわ)一狼(いちろう)


 羊川は、不良である。髪は金髪だし、カラコンをいれているのか目は赤色だ。美形だから似合っているのがちょっと悔しい。

 羊川は、一匹狼である。仲のいいヤツは誰もいないし、教師でも近づこうものなら睨まれる。目つきが悪いためか、凄く怖い。

 羊川は、肉が好きである。この前弁当で肉そのものを持ってきて、食べていた。裏庭で一人だった。あれ、そういえば、あの肉って火が通してないようだったけど……いや、気のせいだろ。

 羊川は、俺の友人である猫山日向と仲がいい。同じ挙動不審なところがあるためか、そこまで意外には思っていない。


 そして羊川は、野菜が嫌いであったようで。

 んでもって何故か、それは羊川に毎日弁当を作っていた。



「おい」

「んー?」

「野菜が入ってんだけど」

「ああ、嫌いだった? 残していいぜ」

「……」



 食べ終わって渡された弁当の中に、野菜は残っていなかった。



「食べてくれたんだ?」

「……珍しく気分だったんだよ」

「ありがと。(片づけ面倒だから)助かる」



 礼を言えば赤くなる羊川の顔に――ぼわ、という音と共に出てきた……耳?

 羊川の耳の上に、明らかに人間のものではない耳が生えていて。更に、羊川の背中から、また尻尾のようなものが見えた。



「あ、や、これは……」



 必死に言い訳をしようとする羊川。でも、いいんだ。だてに長年、日向のそばにいない。それくらいの挙動不審、ちゃんとどういう意味か分かる。



「分かってる、羊川。何も言わなくていい」

「え、や、違う、これは――!」



 未だ弁解しようとしている男に、言った。



「そういう、趣味……なんだろ?」

「は?」

「分かってる。そういう少しオタクっぽい趣味は、誰にもいいずらいよな。でも、俺も結構好きだぜ、その獣耳」



 少し触らせてもらおう。手を伸ばし、その耳に触れる。ふわふわしてる。いいな、まるで本物のよう

だ。どの動物の耳を真似ているんだろう。


 そうだ。今度そういう趣味のやつを紹介してやろうかな。



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