可能性は0.02
俺のクラスには狼みたいなやつがいる。
そいつの名前は、羊川一狼。
羊川は、不良である。髪は金髪だし、カラコンをいれているのか目は赤色だ。美形だから似合っているのがちょっと悔しい。
羊川は、一匹狼である。仲のいいヤツは誰もいないし、教師でも近づこうものなら睨まれる。目つきが悪いためか、凄く怖い。
羊川は、肉が好きである。この前弁当で肉そのものを持ってきて、食べていた。裏庭で一人だった。あれ、そういえば、あの肉って火が通してないようだったけど……いや、気のせいだろ。
羊川は、俺の友人である猫山日向と仲がいい。同じ挙動不審なところがあるためか、そこまで意外には思っていない。
そして羊川は、野菜が嫌いであったようで。
んでもって何故か、それは羊川に毎日弁当を作っていた。
「おい」
「んー?」
「野菜が入ってんだけど」
「ああ、嫌いだった? 残していいぜ」
「……」
食べ終わって渡された弁当の中に、野菜は残っていなかった。
「食べてくれたんだ?」
「……珍しく気分だったんだよ」
「ありがと。(片づけ面倒だから)助かる」
礼を言えば赤くなる羊川の顔に――ぼわ、という音と共に出てきた……耳?
羊川の耳の上に、明らかに人間のものではない耳が生えていて。更に、羊川の背中から、また尻尾のようなものが見えた。
「あ、や、これは……」
必死に言い訳をしようとする羊川。でも、いいんだ。だてに長年、日向のそばにいない。それくらいの挙動不審、ちゃんとどういう意味か分かる。
「分かってる、羊川。何も言わなくていい」
「え、や、違う、これは――!」
未だ弁解しようとしている男に、言った。
「そういう、趣味……なんだろ?」
「は?」
「分かってる。そういう少しオタクっぽい趣味は、誰にもいいずらいよな。でも、俺も結構好きだぜ、その獣耳」
少し触らせてもらおう。手を伸ばし、その耳に触れる。ふわふわしてる。いいな、まるで本物のよう
だ。どの動物の耳を真似ているんだろう。
そうだ。今度そういう趣味のやつを紹介してやろうかな。