結果論2
ある日、不意にわたしは転んだ。
何かの出っ張りに躓いて。でも、誰かに押されたような気もする。
…………なんとなく、この先に何があるのか、どうなるのか、わかっていたのに気付かぬ振りを。知らぬ振りをしていたのかもしれない…。
転んだと同時に、辺りが、視線の先が暗くなった。
そして、共に感じる浮遊感。
大きな穴に落ちたのだと、気付くのに時間はかからなかった。
上を見ると、丸く切り取られた白が徐々に小さくなっていく。
その中に、人影を見たような気がするが、暗闇から見る光は眩しすぎて、何なのかわからなかった。
「さようなら」と、響く声は誰のものだったか。
遠ざかって行く光を見続けるのは辛いから、そっと目を閉じ、痛みも感情も、全てを遮断する。
目を開けると、穴の奥深くだった。
光なんか、届きやしない。見えもしない。
何故、こんな所にいるのだろう。
考えてみると、すぐに答えは見つかった。
「…これで、よかったんだ」
なんとなく口にした言葉。
奇妙なまでに反響して、虚しさが溢れる。
押し殺した声さえも響き渡るこの空間は、ただただ暗く、とても冷たく、そこには温もり(なに)も無いと言っていた。