第16章3節: 襲撃現場の調査:巨大な爪痕
翌日、私はボルガン、そして「護衛兼助手として絶対についていく!」と強硬に主張したリリアと共に、ミルトン村へと向かった。
道中は、普段よりも森の静けさが際立ち、不気味なほどだった。鳥の声も少ない。大型の捕食者が近くにいることを、他の動物たちも察知しているのかもしれない。
ミルトン村に到着すると、その惨状は私の想像を僅かに超えていた。いくつかの家屋は壁が引き裂かれ、屋根が押し潰されている。畑は踏み荒らされ、家畜小屋の柵は無惨に破壊されていた。幸い、死者は出ていないとのことだったが、怪我を負った村人たちの顔には、恐怖と絶望の色が濃い。
私は早速、襲撃現場の調査を開始した。まず目についたのは、地面や木の幹に残された、巨大な爪痕だ。それは五本指の形状をしており、一本一本の爪が短剣ほどの長さと太さがあるように見える。深さも相当なもので、硬いオークの幹にも食い込んでいる。
「これは……驚くほど巨大な爪だな。通常の森熊のそれとは比較にならん」
ボルガンも、その爪痕を見て息を呑む。
次に、足跡。
これもまた巨大で、後足で直立した際の歩幅から推定すると、全長は三メートルを超える可能性が高い。体重も、おそらく数百キログラムでは済まないだろう。
破壊された家屋の状況も詳細に観察する。
壁の壊され方、柱に残された歯形のような傷跡。それらのデータから、襲撃者の体格、力、そして行動パターンを推測していく。
リリアは、青ざめた顔で私の後をついてきながらも、健気に記録を手伝ってくれている。
彼女にとっても、この光景は衝撃的だろう。




