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転生エルフの天才美少女科学者、料理概念ゼロの世界で家庭料理無双始めました ~研究に集中したいだけなのに、飯テロ聖女と勘違いされて困ってます~  作者: 藍埜佑
第1章:転生エルフと料理なき世界

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第1章:転生エルフと料理なき世界

 ふわりとした意識の浮上。何かに包まれているような、柔らかな感覚があった。しかし、それと同時に身体には明らかな違和感がつきまとう。軽い。異常なほどに軽いのだ。手足も心なしか細くなったような……。


 ゆっくりと瞼を開く。視界はすぐにはっきりとはしない。薄暗い。だが、その暗さの中でも周囲の状況が驚くほど克明に見えていることに気づき、私は内心で首を捻った。なんだ、この視力は。私の知るヒトのスペックを明らかに逸脱している。


 見回すと、どうやら私は木の根元か、あるいは小さな洞窟のような場所にいるらしい。苔むした壁、土の匂い。自身の身体に視線を落とす。柔らかな布のようなものを纏ってはいるが、その下に見える手は、驚くほど白く、そして細く長い指をしていた。反射的に耳に触れる。硬質な感触。そして、明らかに長い。尖っている。


 ……まさか。脳裏に浮かんだのは、前世で触れた数多のフィクションに登場する種族の名だった。エルフ。非科学的な響きだが、現状を説明するには最も合理的な仮説だ。


 そうだ、前世。霞がかっていた思考が急速にクリアになる。私はハルカ・クラナリ。科学者であり、数学者であり、哲学者だった。世界中を飛び回り、数々の発見と理論構築に明け暮れた日々。大家族の長女として、弟妹たちのためにキッチンに立ち続けた日々。そして、最期の瞬間……確か、長年の無理が祟ったのか、実験中の事故だったか……いずれにせよ、私は一度、死んだはずだ。


 ならばこれは、いわゆる転生、という現象なのだろう。


 馬鹿げている、と一蹴するのは簡単だが、目の前にある事実から目を背けるのは、それこそ非合理的だ。私は死に、そしてエルフとして、この世界に再び生を受けた。

 そこで、閃光のように一つの知識が脳裏を貫いた。


 エルフ。


 彼らは、物語の中でしばしばこう語られる――長命である、と。


 《《時間が、手に入る》》。


 前世で諦めざるを得なかった研究テーマが、次々と蘇る。

 宇宙の真理、生命の謎、意識の根源……!


「……素晴らしい」


 思わず、か細いが澄んだ声が漏れた。これが、私の新しい声か。


「これだけの時間があれば……!」


 高揚する心を、理性で抑えつける。感情に流されてはならない。まずは現状分析だ。ここはどこなのか。安全は確保されているか。水や食料は? そして何より、私の持つ科学知識は、この世界でどこまで通用するのか?


 やるべきことは、山積みだ。だが、それは絶望ではない。むしろ、尽きることのない探求の始まりを意味していた。


 私の心は、久しく忘れていた純粋な知的好奇心と、研究への情熱で燃え始めていた。


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