表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

4話 メインヒロイン登場!


 レンガ造りで頑丈そうなその建物は、冒険者ギルドや商人ギルドよりは若干小さいが、その代わりに矢のような金属板がてっぺんに輝いている。

 

 教会へと帰ってきた俺は、ラズログトさんに例の大墓跡とやらに案内してもらった。教会の裏側にある集合墓地。それは、幾つかの墓が密集した場所であり、地面に咲いた色とりどりの花もあいまって、不思議な雰囲気を演出していた。


 そしてその真ん中にズドンと設置されている磨かれた岩石、恐らくこれが大墓石なのだろう。黒い肌には線が5本でひとまとまりの印があり、その印が岩の大体3分の2を占めている。


 死者への祈りを終えると、ラズログトさんはこの大岩について説明をしてくれた。


 「この大墓石は儂が若い頃にこの町に着た時から既にあったもので、身元不明の死者が出た時にはこの岩に一本線を刻むのが伝統なんですじゃ。先日神の世へ旅立った娘も、ここに存在を永遠に記され、この世に残った者に敬意と冥福を示されるのですじゃよ」


 なるほど昔からの伝統か。たとえ世界が違っても、伝統や使者を敬うという考え方は変わらないのかもしれない。


 「それで、今日でこの教会を去ると言っておりましたな」


 「はい、いつまでも迷惑をかけ続けるわけにはいけませんからね」


 「ホッホッホ、まぁまた来てくださいですじゃ。いつでも待っておりますからの」


 そうして神父に別れの言葉を言い、教会を後にする。

とりあえず仕事は見つかったし(小学生の手伝いレベルのものだったが)宿をとってみようか。明日からは収入が入るから、その金で生活はできるだろう。


 そうして手頃な価格の宿にチェックインし、ベットの上で昼に借りた本を広げる。タイトルは"この時代の成り立ち〜国家成立から現代の風俗まで〜"だ、これならこの世界の基本的な事を学べそうだ。




 第一章『人類集合期』


 我々人類は、かつてありとあらゆる場所へと分布していた。しかし、彼らは魔物によって数が徐々に減らされていき、ついに絶滅の危機に瀕してしまう。

 そうして安全な場所を求めて歩き回った人々が同じ場所に集まり、固まったのは、当然のことだったのかもしれない。そうして人類は、過去に見ない最大の集落を築き始めた。

 文化は混じり、言葉は統一され、技術は共有される。そうやって力をつけた人類は、徐々に領土を広げ、村を、町を、都市を作っていった。


 そして……神の使いが現れた。

穢れを弾くような純白の羽、眩く光る頭上の輪、今では天使と呼ばれるその存在は、我々を認知し許容した。


 このように、我々は神に認められ、繁栄を続けた。また、これからも。






 「なるほど、だから町には白人やら黒人やら黄色人種やらが入り混じってたのか」


 もとの世界じゃ想像もつかないが、ここでは人種差別が存在しなかったのかもしれない。というよりそもそも、人種間での格差が無かったのだろう。

 

 「それじゃ、今日はもう寝ようかな」


 今日は多くのことがあった。正直本の続きも読みたいが、体は疲れてるし明日からは仕事があるのでもう寝ることにした。

 

 「おやすみ…」



























 ズリ…


 ズリ…


 ズリ…


 ズリ…


 ギィィィィ……


 ズリ…


 ズリ…


 ズリ…


 ガタッ…


 




……なんか………音が…する?

なんだろ、宿の女将さんかな…?



 音が気になった俺は、薄目で辺りを見渡し、体に異変を感じる。布団をいつもより重く感じるし、なにより何かがモゾモゾと蠢いているのだ。


 大きな虫かなんかがいるのか?それとも俺自身が虫になってしまったのか。……いや、俺は家族の為に汗水流して働くどころか、唯のニートにすぎない。フランツが俺を変身させるんなら、もっと大きなギャップを作りたがる筈だ。


 そんな事を考えながら手を上げてみると、そこには人間の五本指がハッキリと見える。ひとまず安心だ、目覚めたら金の稼げない無能になってたなんて勘弁だからな。…冗談はこれくらいにして、疑問を解消させようじゃないか。大丈夫、多分イタズラ好きの動物か何かだよ、きっと、多分ね。


 そうして意を決し、視線を下げると、


 女の肉があった。






 「………ォカッ!」


 !?声が出ない、声が、声が声が声が声が!!!代わりに口から出てくるのは、乾いた呼吸音だけ!コヒューコヒューと無様に荒い息を吐くだけだ!なんで?誰が?現実?夢?どうすれば良い?叫びたい!でもダメだ…!やだ!嫌だ嫌だ嫌だ!頭を思考がぐるぐると周り、落ち着かない!これからの行動を考えても、まとまらず、ぐちゃぐちゃだ!脳を占めるのは不快感、それと生物的な、本能的な焦り、警鐘、そして少しの知性!


 「そうだ、たすけっ…誰かに助けを………」


 動けないはずの肉塊がしだれかかってくる。

恐る恐るそちらを見ると、そこには死体があった。割れて赤黒い柘榴が見える、冷たい顔があった。

 

 視界が途切れ、意識が飛んでゆく。

後で聞いた話によると、宿の女将さんや他の客が来るまでの間、俺はずっと叫んでいたそうだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ