元高速路線バス運転手が思う最近のバス事故
路線バスでの事故について、元高速路線バス運転手のゆっくりあんこがお伝えします。
先日の新潟で起きた路線バスの車内事故について深堀りします。
バス運転手のなり手問題について言及します。
ニュースサイトを1日1時間は見ている私ことゆっくりあんこですが、そこで理解をしているぞ。というような書き込みというかコメントをよく目にするようになりました。当初はありがたく思うこともあったのですが、最近は少し度を超えているように思うんです。
路線バスの前に自転車やクルマが飛び出し慌てて急ブレーキを踏んだ。その結果、車内事故が発生し怪我人が確認された。
という内容。
京都市で自転車が飛び出したことで、ひき逃げとして捜査が行われてますが未だ犯人は捕まらない。ぶつかってもないのに、事故とされさらにひき逃げとして捜査が始まるのは異例中の異例。相手は、自転車なのですから注目が集まるのも無理はありませんね。
この時は、この私でも「なんてことするんだ。こっちは生身の人を乗せてるんだぞ」と暴走自転車に怒りを感じました。ひき逃げとして捜査をしてくれた警察に感謝の気持ちを抱くのに時間は掛かりません。
今回の80代女性が運転するクルマが無理な追い越しをして急ブレーキ。それによる車内事故が発生したことと80代女性は逃亡したという事件。
面白いなと思うのが、逃げた犯人が女性であり高齢者であることまでわかっているということ。お年寄りだぞと枯れ葉マークをいくつも付けていたのでしょうか。運転手の風貌までわかるくらい特徴的な見た目だったのでしょうか。年を取ると女性も男性っぽくなる人がいます。見た目まで。男性もまた女性っぽい見た目になる人も居ます。自然な格好をしてると歳はなんとなくわかっても性別までわかるかというと微妙なことがあるんですね。ドラレコで判別したのかもしれません。車両の特定まで出来たそうです。
バス運転手は、その咄嗟で高齢者女性と判断できるくらいわかりやすかったのかもしれません。
それと、普通に運転をしてる人ならわかると思いますが、バスが急停車したのを後ろや横から見ていたらなんとなくわかると思います。しかし、前を走っていたら急停車したかどうかまでわかるでしょうか。よほど、バックミラーを見ている人ですよ。バス運転手は仕事柄バックミラーを見る時間が一般車に比べて長いですが、バス以外の乗り物を運転しているとミラーって要所要所でしか見ないものなんです。中には、自分の顔さえ見えていればというドライバーもまた多く。
バスが急停車したところで、車内事故が発生しているとは思いも寄らないと思うんです。なので、救助に向かう人は居ないでしょう。「なんか急にバスが停まって。邪魔だから抜いた」くらいにしか思わないはず。幸い私は車内事故を起こすほど長年乗っていたわけではありません。
なので、逃走するのも意図的に逃走したわけじゃないと考えることが出来ます。そもそも、バスなどの大型車両は大きく遅いイメージ。確かにそのとおりで、出足の遅さは痛感しております。なぜバスの出足が遅いのか。それは、乗客の安全と寛ぎの邪魔をしない。頭を前後左右に極力揺らさない運転が二種免許取得者には求められます。
現在、中型のバスを運転するようになりました。バイトなので偉そうなことは言えませんが。
運悪くATなため出足でガクガクとすることもしばしば。ミラーを見るとお客様が頭を前後させてしまってます。申し訳ない気持ちでいっぱい。
MTならそういう頭が前後に動かすようなヘマは1日1回有るか無いかだろう。時折、「クラッチ踏みてえ」と心の声が口から出てしまうこともあります。
乗客の安全と寛ぎを守るために、必死にバスと対話し続けています。それには、乗客の頭の動きまで見ることになります。振り返ることは出来ないので、車内のミラーで確認します。
「あっ。ごめん」
バス事故のニュースばかり見てるからでしょう。コメントがバス運転手に同情する言葉がたくさんあります。数年前、いや10年くらい前まではそんなの無かったんですよね。運転手が悪い。犯罪者だ。と。また、コメントも少なかった。とにかくよくある事故の1つとして興味を持つ人なんていなかった。
しかし、元運転手たちの声がどこからかあり、コメントの質が変わるんです。二種免許持ってないとまず知る由もない「車内事故」というワードにも触れます。時代の流れが代わりつつ有るのかなと思っていると、その度合が一気に変化しどんな車内事故でも運転手に非は無いというものが急増します。運転手擁護となり手が減るぞ。というお決まりの文言が勢いよく増えていきます。
運転手を擁護してくれるのはありがたいのですが、運転手の意識レベルが記事にはどこにも書かれていません。意識高い系の運転手は、車の流れを見て待つを選択します。どんな時間帯であってもミラーだけで迫りくる車両の速度を感知できるものなんです。出来ないか苦手な人が運転していたら「急に出てきた」と証言するでしょう。意識高い系は、怪しいと思ったら止まるんです。回避行動に出ます。ぶつかるだけで運行停止になってしまいます。そのため、一般車両からは遅い・邪魔だと思われやすいわけです。
ほぼ、360°把握できてないと運行に影響してしまうからなのです。ただし、人間なので間違いや勘違いはあるわけでいつでも安全に運行ができるかと言うと無理があります。限界は誰しもあるもの。
意識低い系運転手は、時間通りに運ばねば。と思うため、無理にでも頭を突っ込むという行動をしがちです。私もしますよ。ただし、後続車が低速で10キロ程度まで落ちてるようなとき。頭をつっこまなければ、一生停留所から出れなくなります。僅かなスペースにでも頭をつっこみ窓を開け手を上げすまんな。と挨拶。
前に出たらハザードランプで再度すまん。
バスなので、時間通りに行かないことのほうが圧倒的に多い。時間通りに無理してでも運べとは事業所は絶対に言いません。事業所は、「乗客の安全第一」を掲げます。意識の低い系運転手ほど、無駄に完璧を求めてしまうんですね。
それが、今回の高齢者飛び出し運転による車内事故になったのかはわかりませんが、記事でしかわからない部分。どうして、おおよその年齢と性別がわかったのか。どうして、急停車をしなくてはいけなかったのか。急停車せずに回避は無理だったのか。どうして、乗客に非があるのか。
最後は、コメントでよく見る自己責任論で立っている乗客の自己責任論を押し付ける人を指します。
どうしても座れない人は居ます。痔で座れなかったり、短い区間だから、隣に人がいるの苦手などといろいろな理由があります。その人達の事情も知らずに自己責任論を押し付けるのもどうかと。
そもそも、運転手が前をロクに見てなかったかもしれません。発車前や走行中にミラーで車内を確認していたのか。これも疑わしいですね。前を見ておらずに発車し言い訳に急に飛び出した。かもしれません。この場合の前とは、眼の前の前ではありません。脇道や店舗などの駐車場も含まれます。
事故当時は、お昼だったそうで、ランチなどを妄想したりよそ見してるかもしれません。のぼり旗を見て「今日はカツかな」とか思うことで油断して見逃すとかありますからね。
先日、通勤中運転していると対向車の事故を目撃しました。運悪いですね。大型トラックの前で横向きになった普通車。運転してるのは女性。見た目4・50代に見えた。大型トラックを無理に追い越した結果車体が当たり横向きになったところをドンとぶつかったのでしょう。女性の目は見開いてました。驚いたのかも知れません。女性と目が合うわけではありませんが、女性の進行方向に私がいるため呆然としてるのがわかります。なぜぶつかったのか理解できてないんでしょう。90°向きが変わると異世界かなと思うくらい知らない景色になります。
この事故を見ていたため今回のバス車内事故と似てるなぁと思った次第。車体の大きさや感覚が無い人が運転してることはよくあること。私は未だに大型バスの感覚で走らせてしまうことがあり、随分とデカく回ったな。といつも自己評価して耳を赤くしてます。
トラックの運転手さんも時間との兼ね合いもありご苦労されてることでしょう。そこへ、自己中心的な自称レーサーたちがしのぎを削り合うんですからたまったもんじゃないでしょう。いつもありがとうございます。トラック運転手さんたち。
そのくだらない事故のせいで、片側2車線が1車線つぶすこととなり大渋滞に。朝の通勤時間にひとりのムダでくだらない事故をおこしたことで、通勤に遅れを生じさせた。トラックとぶつかった普通乗用車の運転席側がベコベコに凹んでました。
ニュースはいつでも公平に見る必要があります。なぜだろうか。と考えることも必要。そのために、脊髄反射でコメントしてるのはただただ恥ずかしい人。あなたのコメント1つで事件に影響するかも知れないというのに。少し間を空け考える時間を作りそれから発言するのが良いでしょう。1分1秒を競うわけではありません。なぜ、このような事故になったのか。というのを考えればどちらかの肩を持つことも減るでしょう。今の現状を見る限りでは、「知ったかぶりが多いな」というのが素直な感想です。
タイトルや書き手の意図することを考えてみればわかりますよね。そうです。PV稼ぎです。
なにか言いたいのでしょう。わかります。今こうしてあなた方を揶揄するゆっくりあんこがいるのですから。しかし、24時間は寝かせました。不思議に思うことを考えて発言すると言葉に重みが出やすくなります。
運転手のなり手問題ですが、以前も書きましたが、免責はあるので。今の職場は、事故を起こしても0円だそうです。まだ事故を起こしてないのでわかりかねますが。面接の時にそう聞きました。ただ、免許証の色は変わることでしょう。職場によっては、運転手だけの責任ということはほぼほぼありません。路線バスを運行してるところで、すべての事故はお前の責任だ!なんてブラックすぎます。どの公共交通機関よりも事故発生率が高いバスで、そんなことしたら。ねぇ?
運転手のなり手問題ですが、色々と理由はあります。
給料が安い。毎日働き詰めで目が回る。新人はすぐに辞める。残るのは年寄りばかり。アルコール摂取に厳しい限度があり苦痛。少しでも出たら本社研修で無報酬。変わり種の採用ばかりニュースにされる。
などから割に合わないと思うのでしょう。割に合わないから新人はすぐに辞めるんです。なんだ。全部私のことじゃないか。お酒はほとんど飲まないからいいとして。
安全運行が当たり前すぎるからそれが報酬に含まれないのが割に合わないと感じやすいのでしょう。
なり手不足は、事故の際だけじゃなく総合的に考える必要があるんです。しっかりと休養を取れるように運行体制を見直さなくてはなりません。しっかりと休養を取っても報酬が減らない仕組みが大事ですよね。有給を使ってでも1週間や10日の連続休暇が当たり前にならないとストレスでやられてしまいます。それが割に合わないというなり手不足なのではないでしょうか。
給料が安いのももちろん問題ですが、海外旅行が余裕でできるくらい長期休暇が取りやすい環境がバス運転手には無いので、人並みの生活が送れるように改善することで、なり手不足問題は解決に向かうことでしょう。週休二日制は、形式上ですから。休みの日も出勤すれば5割増とか当たり前にさせます。人の命を軽んじているのが実のところバス会社だったりします。そんな職場に長くいればいるほど働く人の心も荒むのかも知れませんね。
最後のなり手不足問題は、誰しもわかりきったことをあえて書きました。休んだら後ろ指刺されるという危険な職場ですからね。背中は穴だらけですよ。
実際、体力不足のわたしにはキツイ仕事。ですが、この免許を持ってしまってると接客業とかの面接を受けるとほぼ100%聞かれる「なんで大型持ってるのに?」。接客業がしたいから面接を受けに来たのが理解できないらしく。賢さのない人のところで働くのは辛いなと毎回途中退出しています。
上位の仕事なんかじゃありません。そもそも大型二種取得は、実験みたいなもんでしたから。本当は、大型一種でと思ったら「今なら大型二種でもそんなに変わらないんですよ」の誘い文句に乗っかったようなもんですから。お得と言われてそうかもと思った。今ならこの包丁に包丁もう1本。みたいな昔の通販番組のようなお得感に乗っかったゆっくりあんこです。なので、接客業がしたいからバス運転手を仕方なくやってるだけなんです。




