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りんご一個分の収納。マジでどう使えと!? 〜辺境騎士爵に転生したので、なんとか無難な人生を…歩みたいなぁ〜  作者: 大童好嬉


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第73話 商人盗賊の報告

領館の大広間に戻った一行は、その日の午後にフリードを中心に報告の場を持った。


ルークスも同席し、村長たちも顔をそろえる。


「……というわけで、例の詐欺集団、、というか盗賊は、ホーネット酒を狙って再び舞い戻った模様です」


グロムの報告に、一同の顔が憤怒に染まる。


「塩で村人を病にして、穀物を騙し取り……挙げ句、祭りに毒を混ぜようとは……!」


ルークスが机を叩き、歯ぎしりする。


「完全に悪辣だな」


グロムも腕を組んで鼻を鳴らす。


カムリは処理した盗賊への余韻を楽しんでいるようにも見えた。


フリードは静かに頷き、視線をヴェゼルへと向ける。


「ヴェゼル……今回の功は大きい。ヴェゼル、お前の用いたあの“粉”……実に効果的だった」


ヴェゼルは少しだけ頬をかきながら、困ったように笑う。


「あ、あれは……まあ、相手が自分で売りつけた粗悪品を使わせてもらっただけで……」


「それが機転というものだ」


フリードは短く言い切ると、周囲を見回した。


「皆も覚えておけ。敵が仕掛けてきたものを逆手に取る、その柔軟さこそが勝敗を決する。――だが同時に、こうした“混ぜ物”が再び持ち込まれる可能性も高い。村中に周知せねばな」


「はっ!」


一同は真剣な面持ちで頭を下げる。


そこまでは実に真面目な空気であった。――が。


フリードがわざとらしく咳払いをした瞬間、空気は一転する。




「さて……ヴェゼル」


「はい?」


「お前、最近アビー嬢に会っていないだろ?」


「……へ?」


唐突な話題に、ヴェゼルは思わず声を裏返した。


「そういえば、祭りに来られないと手紙があったな。帝国から派遣された魔法省の講師とやらに教えを受けているらしいと」


「お前のことだ。手紙もそんなに頻繁には送ってないんだろう?」


「……」


フリードはわざとらしく渋い顔をしてから、口元を吊り上げる。


「婚約者を放置しておいていいのか?」


「い、いや! そんな放置なんて!」


ヴェゼルの顔が見る見る赤くなる。


「おやおやぁ?」


グロムが肘でヴェゼルを小突き、にやにや笑う。


「これは由々しき問題だな。せっかくの秋祭りを共に過ごせなかったとは……、すぐにでもバーグマン卿の領へ出向くべきではないか?」


フリードは声を張り上げ、机を叩く。


「よし、決まりだ! ヴェゼル、明朝出立しろ!」


「え、ええぇっ!? な、なに勝手に決めてるんですか!」


ヴェゼルが慌てふためくと、周囲は爆笑に包まれる。



その時――廊下の向こうから、軽やかな足音と共に聞き慣れた声が響いた。


「――ききました! おにーさまがアビーおねーさまのもとへ“おしかけほうもん”するって!」


勢いよく扉を開けて飛び込んできたのは、アクティであった。


手には祭りで使った木製の仮面を持ち、にやにやと不敵な笑みを浮かべている。


「な、なんでお前がもう知ってるんだ!」


ヴェゼルは慌てて立ち上がる。


「このいえのはなしは、ぜんぶきこえるの!」


アクティは腰に手を当て、妙に芝居がかった仕草をする。


「まったく、アビーおねーさまを。なかせちゃだめよ!? こんやくしゃなんだからぁ♪」


「だ、だからそんな……!」


ヴェゼルが狼狽する様を、フリードは腕を組んで満足そうに眺めている。





フリードに「婚約者なんだから、たまには顔を見せてこい」と言われ、ヴェゼルは耳まで真っ赤になった。


「い、いや、その……急に訪ねたら迷惑だろうし!」と必死に抵抗するが、オデッセイが横から口を挟む。



「迷惑なんてことあるわけないでしょう?アビーちゃんだってきっと待ってるのよ。あなた、そういうところで煮え切らないと嫌われちゃうわよ?」


フリードも言う。「今から、早馬で先触れを出しておこう」


にこやかな笑顔で畳み掛けられ、ますますしどろもどろになるヴェゼル。


そこへアクティが追い打ちをかけるようにニヤリと笑い、兄の背中をバンッと叩いた。


「おにーさま、ここでうじうじしててどうするの!そのままだとべつのおとこに…」


「アクティ!もう黙っててよ!」


真っ赤な顔で叫ぶヴェゼルと、けらけら笑うアクティ、そしてそれを見て「青春ねえ」と楽しげに微笑むオデッセイ。


領館の広間は、しばらく愉快な笑いに包まれていた。



結局、同行者は、グロム、トレノ、監視役の?サクラに決まった。

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アビーお姉さまが泣いてるとしたら半分は悪ティのしわざでは
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