閑話 無から生み出された者達 04
この世界の成り立ちです。飛ばしていただいても問題、、ないかと思います。
いわゆる能書きですね。。
『意思』は長い時を経て、光と闇の精霊が形作る複数の世界を静かに見守っていた。
光は秩序を示し、闇は混沌をもたらす。人間は試練の中で学び、魔法を発見し、文明の萌芽を育む。しかし、『意思』は単に観察するだけでは満足できなかった。
「私自身の存在を、世界に投影する手段が必要だ」と『意思』は考えた。
そこで、『意思』は自らの力を一部分離し、『白い人型』の姿を持つ者を創造した。
『白い人型』は世界を見守り、秩序と混沌を調整する役割を担うが、自らの意志を持つ余地も残されていた。光も闇も、人間も、この者には干渉できない。
『意思』は静かにその存在を世界に据えた。
『白い人型』は万能ではなかった。
しかし、『意思』の意志に沿って世界を監視する一方で、感情や欲望を持つことができた。
この性質は、後の出来事を複雑にし、世界の秩序と因果に影響を与えることとなる。『意思』は、この『白い人型』に未来の可能性を仕組みつつ、選択の自由を残した。
あるとき、『意思』は一つの強い願いを感知した。『白い人型』が生と死、愛と孤独の渦の中で、ある存在が強く「そばにいたい」と願ったのだ。
『白い人型』の願いは『意思』に届いたが、ただ叶えるだけでは秩序を乱す。『意思』は条件を設けた。
「永劫の労苦を背負い、世界を見守る者となること」。その条件を受け入れた願いは、叶えられることとなった。
こうして『白い人型』は、世界の秩序を管理する存在として顕現した。
しかし、その心の奥には複雑な感情が宿った。愛と嫉妬、守りたい気持ちと試したい衝動――その感情は、後に世界を揺るがす混沌の伏線となる。
『意思』はさらに、転生の仕組みを世界に組み込んだ。
魂は世界の法則に従い、望む未来や役割に応じて生まれ変わることができる。
この仕組みにより、時間の隔たりを越えた存在たちの出会いが可能になった。
『白い人型』もまた、未来で新たな役割として生まれ変わる可能性を宿すことになる。
こうして『白い人型』は、単なる管理者ではなく、物語の因果を操作する存在となった。
『意思』にとっては、すべてが遊びであり、永遠の観察の対象に過ぎない。
しかし、感情を持つ者にとっては、愛と嫉妬、試練と希望が交錯する複雑な世界がここに生まれたのである。
『白い人型』の誕生により、世界はさらに複雑さを増した。
秩序と混沌、光と闇、永劫の管理者としての責務、転生による因果の連鎖――すべてが絡み合い、やがて試練を受ける者たちの物語の舞台となる。
『意思』は静かに見守りながら、無から生まれた孤独の意志が、人間たちの喜びや悲しみを生み出すことを知っていた。
こうして虚無から始まった『意思』は、光と闇の精霊を介して複数の世界を創造し、人間を配置し、『白い人型』を通じて因果と秩序を操作する仕組みを整えた。
魔法の世界の舞台は完成し、やがて複雑な転生、愛、嫉妬、そして『意思』の遊戯としての物語が展開される準備が整ったのである。




