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四神相応  作者: たま
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河原町

亡霊達が消えてしまうとサッサと部屋から叩き出された。

余ってる向かいの部屋にしぶしぶ入る。

隣の風呂場横の部屋に入ろうとしたら止められた。

アキラは、かなり神経質になってるみたいだ。

まだ恐いが、もう他には霊はいない。

と言うアキラを信じるしかない。


今朝の朝ご飯はフレンチトーストだ♪

朝ご飯は大家さんの有間のサービスみたいだ。

賄い付きなんて、なんて素敵な☆

「朝ごはんだけね。どうせ自分の分作るし、ついでだね。」ウインクしながら、テーブルにはオレンジジュースとカフェオレも。

「今日はフランス風かな?」

本当に女じゃなくても惚れてしまう。

失恋直後だが、もう彼女の顔すら忘れそうだ。

思えばバイト帰りにご飯を奢らされるだけで、

デートに行ったのもネズミランド1回だけだし。

部屋に来る時は、お金借りる時だけだし…

「俺、1人で舞い上がってただけかもな。

最初から金づるかあ〜」

窓から射し込む朝の光の中で、亡霊達と同じように

現実に目覚めていく。

「今日は、入り用なもの買いに行ってくれば?

焼け出されて全部無くなったんだろ?

立替てあげるよ?来月の家賃に上乗せしとくよ?」

有間が心配してくれてる。

親から仕送りもしてもらってる。カード類は財布だったから助かった。

彼女に貢ぎさへしなければ、お金に困ることも無かったのだ。

トイレや風呂キッチンが共同なので格安なうえ

美人な大家の賄い付き。

「掃除が嫌いだから、それやってくれたらタダでも

良いくらいだよ〜

アキラも僕も苦手だから〜」有間さんが食後のカフェオレをボールに並々注いでくれる。

「任せて下さい!それくらい、お安い御用です!」

まず、このおんぼろ幽霊屋敷をピカピカにしょう。


「アキラも一緒に行ってあげなよ。」有間がアキラに話しかける。

「また何か霊拾われても困るだろ?

繁華街は特に多いんじゃないの?」

アキラがすぐ断ると思ったのに悩んでる。

「昨夜見てて、本当にコイツはヤバいと思ったよ。

今まで生きてたのが奇跡だよ。」見波をしげしげと眺める。

「え〜、ケガや事故はしょっちゅうだからな〜

慣れちゃったよ。

でも実家にいる時は、結構大丈夫だったんだ。

大学入ってからかなあ〜?特にひどくなったの。」

見波自身は慣れっこみたいでニコニコしている。

「学生課で相談したから大学の方は大丈夫。後は

服や下着だな〜夏場だし早く洗濯したい。」

有間の着なくなったTシャツを2枚借りてるが、もう限界だ。

「河原町行っといでよ、2人で」


「久しぶりだあ〜バイト始めてから大学とバイト先の

往復だったから!」見波が河原町着くなりはしゃいでいる。

4月に入学し5月からバイト始めた。

今は8月。

たった3ヶ月の体験だったのか?と思うくらい怒涛だった。

まさか振られて無一文なって焼け出されるとは…

「見波、本当に良く泣くよな〜」アキラに指摘されて

自分が泣いてることに気付く。

「量販店で良いだろ?そんなに服に拘り無さそうだし?」

アキラが大通りの大型店に入ろうとしたが、見波は、脇道の路地が気になる。

ふと横を見ると路地に良く知ってる顔の女の子が歩いてる。

彼女だ!先日失恋した彼女だ!まさか!

だが、様子が変だ。虚ろな目をしてトボトボと歩いている。

と思ったら、来た道を戻りマンションへ入って行った。

「どうしたの?」アキラが聞く。

「いや、振られた彼女見たんだけど、何か様子が変だったんだ。」

見波が路地の方を指さす。

「あ〜っ、ヤメロヤメロ!関わるな!

搾取されるだけの相性なんだよ。どんだけ関わっても

その関係性が変わることはないから!」

亡霊に話してた時みたいにハッキリしてる。アキラは。

「分かってる。だけど、昨夜見た幽霊みたいな顔してた。

なんか嫌な予感するんだ!」見波は、路地に入って行った。

とマンションから飛び出してきた元カノと鉢合わせになる。

「なんで?いるのよ?」

「いや…」

「えっ、本当にストーカーなの?」彼女が身構える。

「おい、まず金返しなよ、泥棒女!」

アキラが、また核心を突く。

「そんな…ウソ信じる気?コイツが嘘ついてるかもしれないじゃん!」

「借用書あるんだろ?なあ?」

アキラがまたあの残酷な笑みで見波の肩に手を置いた。

元カノが、焦ったように目が泳ぐ。

「えっ、他にもあったの?カバンに入れてたの?」

「あれ?借用書が下宿に保管されてるの知ってたの?」アキラが彼女を追い込む。

「えっ?いや、机の引き出し入れてたから。

そう思うでしょ!

大体、アンタ誰よ?」元カノがにらむ。

「大学の友達〜コイツ彼女出来たって自慢してて写真も見せて貰ったよ。なあ?」アキラがまた微笑んでる。

元カノが明らかに動揺してる。


「それより、その手どうしたの?」アキラが指摘する。

元カノの手に血が付いてる。

「よくもやってくれたな…」マンションから男が出てきた。

脇腹に血が滲んでいる。

「教団に連絡したからな。すぐ、お前なんか消されるぞ!」

その男も見覚えある。

「あっ、店の前でキスしてお金受け取ってたヤツだ!」

見波が指さして叫んだ。

「あ、カモだ。まだ京都いたんだ〜イタタタッ」

「アンタが新しい女作るのが悪いんじゃん!

言われた通り、コイツから金引き出したのに…」

2人はアキラと見波を無視して痴話喧嘩を始める。

なんだろ?

幽霊達が悲鳴上げてドロドロになった気持ちが痛いほど分かる!

現実を生々しく晒されると…

その時、黒塗りのバンがマンション前に止まった。

中から白装束の男達が数人出てきて、2人を乗せて

あっという間に消えてしまった。


「あれ?何?」見波が、アキラに聞く。

「さあ?でも、だいたい分かった。

見波は美人局にあって〜金取られて〜下宿、あいつらに

燃やされたんだよ。」

「えっ、燃やされたの?!」

「そっ、最初から皆グルなんだよ。

男が見波に見つかったから証拠消したんだよ。」

「ええ〜っ、そうだったの?」





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