考えろ
「見波の言う通りだ!能力は最後だ!まず、考えるんだ!」
アキラが周りを見回す。
千本今出川までほぼ真っすぐだが、その先に先日デイジーとローズがライブした船岡山が小高く見える。
「あそこに行くぞ!」アキラが指さした。
ジリジリと気温は上がっていく。
今日の京都の気温予想は体温と同じ37℃予想だ。
交通規制があるので大急ぎで2人でバイクを押して今出川まで出る。
そこからバイクで船岡山へ。
駐輪スペースに止めて祭りの会場が見渡せる場所を探す。
建勲神社と言う織田信長を祀った神社が1番高そうだ。100段以上ありそうな急な階段を山頂まで登る。ゼイゼイ言いながら、何とか登り切る会場を見渡す。
南の眼下に平安京の大内裏の朱雀門である現在の千本通りが見える。
西に北野天満宮、東にライブの会場となる講堂がある大学が見える。
遥か北には、先日の貴船山が遠く見える。
「ココには応仁の乱でも城が作られた。
高い位置にあるのは、攻めづらいのと相手の動きが分かるからだ。
ここだ!ここから探るんだ!」
既に2人は汗でドロドロだ。日陰を探して見波が周りを見回すが、見晴らしが良い分日陰がない!
真上に近づいた太陽が容赦なく2人を焼く。
「考えるって、この暑さじゃ頭が回らないよ〜フウッ」見波がすでに弱音を吐く。
千本通りの賑わいはスゴく山鉾巡行みたいだ。
「会場は3kmくらいある。ここに均等に1人で爆弾備え付けるのは無理じゃないか?
特に意識を僕に読まれないためには、同時に人と話したり指示したり並行してやらなきやいけない。
電話ごしなら、相手に作業を見られないとしても移動して作業しては不可能だ。」
アキラが腕を組んで悩む。
「それにさっきも見たけど屋台はスタッフが立ち働いて絶対変なもんあったら気づくよ〜
あっ、ゴミ箱じゃない?5軒ごとにゴミ箱設置されてたじゃん!」見波が既にへばり気味でベンチに座る。
「う〜ん、目の付け所は良いけど爆弾隠せないなあ〜メッシュの巨大ゴミ箱だったし。」
「あ〜、そうか!」見波がガッカリする。が、閃いたように、
「フードフェスで全国ラーメン市みたいなのも出店してんじゃん!あれにヒントとかない?」見波が結構思い付く。
「多分、大きなガスボンベを用意して火力増すためじゃないかなあ?
白鷺、性格悪いし。」
アキラが眼下を見据えたまま首をひねる。
「そうかあ〜他の屋台の3倍くらいボンベ用意してたもんなあ〜」見波がガックリする。
「ココから見て3kmの会場に満遍なく存在するもの探すんだ!」
「でも、もしかしたら人間かもよ?白鷺に持ち歩くように言われて、何か持たされてるとか?」意外に恐い発想をする見波。
「テロリストが良く使う手だ。だが、それだと僕の意識に引っ掛ける気がする。
人間への言語を使った命令は、意識の1番表面で捉えやすいんだ。」
見波がフムフムとうなずく。
「じゃ、やはり無機質か?
どれだあ〜会場に均等に存在するもんは?」2人で目を皿のようにして眺めるが分からない。
時間だけが過ぎる。
ジリジリと焼かれて流石に熱中症になりそうだ。
「一体、何時に爆発させる気だ?
だいたい起爆スイッチどこだよ!白鷺は、今どこいるんだよ?」
見波が溶けかける。
「今、白鷺は大学の講堂に移動した。ライブ会場だな。
特に何も持って無いんだ…周りは信者や商店会会長やらいるし。」目を閉じてアキラが首をひねる。
教団の服は、身体のラインに沿うよう作られてる。
アオザイに似てる。
スタイルの良い人間が着ると最高に際立つ。
が、ポケットに何か入れたりするとハッキリ分かってしまう。
「もう時間が決まってる時限爆弾かもな…」アキラがため息をつく。
「じゃあ、どうすんだよ?もう無理じゃん!」
「起爆スイッチなんてドラマや映画だけなんだよなあ〜本当はあんまり無い。」
「そんなあ〜!!」
「誰が一発逆転される可能性を残して犯罪するか?
って事だよなあ〜実際は。」
「あっ、思い出した!」見波が急に慌てる。
「昼過ぎに和菓子屋行ってきてって頼まれてたんだ!」見波がズボンのポケットからメモを出した。
「なんだあ〜それ!今はそれどころじゃないだろ!」
アキラは開いた口が塞がらない。
「有間さんの事だから、何か有るんじゃない?
喉も渇いたし、1回休もうよ〜俺、死にそうだよ〜」
メモをアキラに渡す。
「ココかあ〜良くお使い行かされるわ〜
何か特別な御菓子らしくて注文して予約しないと買えないんだよ。
う〜ん、変な名前の御菓子なんだよ。サイコ?
まあ、船岡山の裏だから行くか!」
2人で階段を降りかけた時、会場のスピーカーが一斉に鳴り響いた。
「あ〜、ライブ始まったんだな。」
「わあ〜久しぶり!やっぱり、イイね〜ランティスのこの曲好きだわ♪」
曲に合わせてハモリながら階段を降りると前を歩くアキラが急に止まった。
「危ないよ〜もう!」
思わずぶつかり、見波がぶーたれる。
「これだ!」アキラが叫んだ。




