輪廻転生
「広瀬マリアの衰弱が激しい。
本人も早く転生の儀式を待ってる。ヤバいな…」
アキラが心配そうだ。
「こっちは、現在消息掴めない人間が怪しいと思うんで
絞り込んでみた。」
有間が絞り込んだ3人の名のメモを出した。
「山背に見てもらおう、アキラ」
「いいよ」アキラが目を閉じ有間が額に指を当てる。
「どう?兄さん。心当たりありそうな後輩いる?」
今日は目を開けて口元に手を当てて腕を組み…かなり
年配の男性のようなボーズまでしてる!
アキラは足組むとだいたい頭の後ろや背中で組んだり
背を反る事が多いので別人の感じになる。
こう内向的で理性的で物静かな、でも中に熱い物を内包してる男性。
これが『山背』かあ〜
見波は、その変化に感心する。
メモを順に追う。
「清水は、世界放浪の旅に出たいと言ってたような奴だから宗教とは程遠いな。
木戸は定型的ヲタクで1人行動マイペースな奴で組織とか作るタイプじゃない。
西本…こいつは、実は大学も会社も同じだったんだ。
僕が化学実験で爆発事故起こして会社辞めた後、こいつも辞めたと聞いてる。
そうか、それから行方不明なんだ…」
山背が感慨深そうに西本の名をなぞる。
「実は僕が退院した時に家に来たんだよ。
でも、ロクに相手しないで追い返してしまった。
会社を事故起こして辞めさせられた負い目もあったんだよなあ〜」
有間が途端に不機嫌な顔になる。
「わあ〜明らか居るじゃん!山背教なの〜」
「山背教?」見波が小首をかしげる。
「山背は昔からこういう人達にへばりつかれて、謀反だテロだとお上に処刑されたり自害したり
そんなのの繰り返しだったんだよ!」
有間がほっぺたを膨らませて文句を言う。
「お前だって蘇我赤兄に擁立されて、よし、天下を取るぞ!って言ったから殺されてるじゃないか!」
山背が言い返す。
「1000年以上前の話は不毛だから、やめてくれ!」
アキラが怒鳴った。
いつの間にか入れ替わったらしい。
「見波、見たか?人間なんか何回生まれ変わっても変わらないんだよ。
どんな異世界行こうと同じ様に人生過ごすんだよ!
同じ様に詰むんだよ!」アキラが呆れたようにため息をつく。
「そうかもね〜、僕はたまたま偶然が重なって…山背と親族とかなって1000年の呪いから解放されたけど。
後は普通に生きて死んで、やっと終わりだよ。」
有間は心底嬉しそうだ。
普通に生きれる事。
不死者の有間の1番の望みは、普通に生きれる事?
「もう大丈夫なんですか?有間さんは?」見波が尋ねる。
「たぶんね。僕は必ず叔父に18歳で殺されるんだ。
それを繰り返して…近年はもう再生拒否状態してたな、600年くらい。
もうアラサーまで生きれて、人生満喫してるよ。
まず、ご飯が美味しい♪」
有間がニコッとする。
「教科書で習ったよ。有間の辞世の句。
『家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る』だっけ?
人生最後でも飯なんだな〜って。」アキラが笑う。
普通に生きて普通に死ぬ事。
「それが僕と山背兄さんの望みなんだよ。」
有間が真顔で語った。




