建国の地
「いつも混んでるけど、もっと混んでたね〜京都駅」
「お盆ですからね。」有間に返事しながら見波は、不吉な夢を思い出してた。
お盆は死者が生者の世界に帰って来る期間だ。
見波でもそれは、知ってる。
つまり生者と死者の距離が最も近くなる時期なのだ。
元カノが嵐山で奇怪な亡骸を晒されたことには意味があった。
あの儀式で彼女は亡くなったのではなく、どこか異世界へ転生したのだ…
と勘違いして死んだ。
このお盆の時期にまた犠牲者が出るのだろうか?
あの夢は正夢になってしまうのか?
「あの…有間さん、有間さんも生まれ変わりなんですか?」恐る恐る聞く。
「どうだろね〜?こういう話は信じたい者には真実であり。
信じ無い者には、ただの勘違いかもよ?」
ニコニコしながら、見波の表情を楽しむように話す。
「ただ単にアキラは二重人格で、僕は虚言癖のある変人なだけかも?」
「いえ、俺は館の100年前の幽霊達見ましたから!
信じてます!」
「君は、本当に良い子だよね〜
そして強い。多分不運が君を鍛え上げたんだろね。」
「弁の立つ山背が一発で引いたからね〜君はスゴいよ!」有間が腕組み縦に顔を上下してる。
「あの人…危険でしたね。」見波が珍しく警戒してる。
「昔、古いフィルムでヒトラー見たんですよ。
なんだろ?似てるんですよね。
カリスマ性かな?」
「自己完結型?」
「難しいことは分かりません。でも…会話が会話じゃなくなる感じ?全ては最初から決まってるような…」
「彼は祭り上げられるカリスマか?死か?
その2択に追い込まれる人生を歩んできたんだよ、ずっとね。何千年掛けても、人が変わらないと人生は変わらないんだよね〜」
有間は独り言みたいにつぶやいた。
京都駅から1時間ちょっとで畝傍に着いた。
「これは?」見波が尋ねる。
駅からしばらく歩いた所に立派な神社みたいな所に着いた。
「神武天皇のお墓…かな?」有間が言い淀む。
「これが日本を創った人の墓なんですね〜スゴイなあ〜立派な訳か!」見波が感心する。
「ウソだけどね」有間が口を抑えていたずらっぽく笑う。
「え〜っ、そうなんですか?なんで言い切れるですか?見たとか?」
「いや、さすがにその時代は生まれてないな。
でも、その頃、此処多分だけど陸じゃないんだよね〜」頬をポリポリとかいた。
「僕の時代にやっと沼地なったくらいだから〜
神武天皇の頃は湖、奈良湖の湖底だったと思うよ。」
「えーーーーッ!そうなんですか?」見波はビックリする。
「明治政府が文献漁って急ごしらえで神武天皇陵作ったんだよ。」バツが悪そうに苦笑する。
「作ったんですか?」
「そう、作ったの。日本国のキングのルーツが無いのは
格好悪いからって…」なぜか、有間が申し訳ないなさそうに顔をしてる。
「あっちの山が藤原京の東の青龍になる香具山だけど、
詠まれた歌にカモメの姿が入ってるんだよ。」有間がなぜか恐縮しながら話す。
「?」見波は周りを見渡す。
確かに山がポコポコと3つある以外は、ビックリするくらい平たい…
「湖って言うのも語弊あるかな…海だね?カモメなんだから…」
カモメは内陸では見ない。湖にもいない。
つまり、ここは湾岸地帯だったと!
藤原京は港町!!
「東京もそうだけど、やはり船で輸送が可能じゃないと!
海外と交易も盛んだった時代だし、まだ。」
「平安時代は内陸部に都作れるくらい内政が発達したけど、奈良時代はまだまだ中国と交易も盛んで人の出入りも激しかったしね。
聖徳太子が必死で中国に追いつこうと国造りに励んでた時代だし。
港が近くないと。
帰化人と言う技術者集団も中国から大量に移民してるくらいだから。」
「ココに港があったんだあ〜
えっ、じゃあ大阪は?」見波が心配になって聞く。
「う〜ん、海だね。大阪湾だね。」有間がニコッと微笑んだ。
「えーーーーーーーッ!!」また見波が悲鳴を上げた。
「驚かないでよ〜難波って地名も残ってるくらいだし〜
あそこらへんが、難しい海域だった名残りだよ。」
盆地に来たつもりだったが、元港町だったとは…
「まあ、だから神武天皇陵はもっと後の時代の誰かの墓だったんじゃないかなあ?そこら辺いい加減なんだよ、うん」有間が1人で納得してる。
「あっ、だから古墳も当てずっぽうだからね。適当に有名な天皇の墓にしてるだけだから〜」
日本って日本って、何?




