既視感
この40℃近い炎天下に見波は麦わら帽子だけでセッセと草むしりしてる。
思わず「大丈夫か?ヤメて休憩しろ!」と言いたい気持ちを抑えた。
気配に気付いた見波が振り返る。
「あっ、帰ってたんだ。おかえり。」少し気まずそうだが
見波はいつもの見波だ。
「バイト、どう?」
「うん、まあ、普通…」会話が続かない。
アキラは腹括った。
「守護霊借りた奴が、次の遺体損壊を頼まれてたよ。」
「えっ、どういう事?」見波がキョトンとする。
「だから〜また教団絡みの死体が出来るんだよ!
お前の元カノみたいな!」
「!」炎天下の作業でやはり熱中症気味だったのか?
見波はそのまま崩れ落ちた。
「おい、大丈夫か?」アキラが駆け寄る。
「そんなあ〜どうして?」見波が突っ伏す。
「こっちは、あの子達が幸せならと我慢してんのに!
なんでまたそんな酷いことすんだよ?」
アキラが見波の肩に手を置く。
「お前、基本的に勘違いしてるよ。
あそこは来世生まれ変わる為に、皆『自殺希望者』の
集まりなんだよ。
選ばれて晴れて死ねる日生まれ変われる日を宣告されるのを待ってる奴らなんだよ、あいつらは。」
「そんなあ〜ヤバいじゃん!」見波がアキラの腕にすがる。
「最初からそうじゃん!」
「多分、元カノみたいなアクシデントが無ければ、次は…広瀬マリアだ。」
「ええっ、ダメだよ!そんなあ〜
あんな良い子を!」見波が今にも泣きそうに。
「病気の本人の気持ちになってみろ!痛みや苦しみから解放されて、新しい元気な人間として生まれ変わりたいだろ?誰だって」アキラが言うと信憑性が…
ずっと不治の病で植物人間だったのだ、アキラは。
有間から聞いた。
ある日、奈良に引っ越して突然目覚めたのだと。
元気な小学生として、まるで生まれ変わったのだと。
病巣は全て完治していたらしい。
そのせいで、アキラは霊と人間の中間みたいな存在に
なってしまったのだと。
だから、人間にあまり肩入れできず、あまり興味も無かったのだと。
「広瀬マリアも…アキラみたいになりたいの?」思わず見波が言ってしまう。
「!」
次はアキラがショックを受けた。
そうだ!マリアの話しを聞いた時、何か既視感あったのは自分だ!
ほとんど死んでた自分だ!
それには事情があるのだ。特別な人に出会ったから自分は生き返り生まれ変われたのだ。
「もしかしたら…」アキラが呟く。
立ち上がって、見波の手を引いた。
「どうしたの?アキラ?」
「有間さんに聞こう。そして、あの人にも。
あの2人なら何か知ってるかも?」




