バイト
最悪の夢見で目覚めた。
「今日は、マトリッオとカプチーノだよ〜
フレンツェ風」
有間の笑顔が眩しい。
「あれ?アキラは?」
窓際でいつも苦虫を噛み潰したような顔でコーヒーを飲んでるのに。
「バイト始めるんだって。出掛けたよ〜」
もう見波に振りまわされなくても済むのだ。
大学の夏休みは長いから有意義に使わないと。
「そりゃそうだな」見波は納得した。
「有間さん、居間の次に手直ししたい場所ありますか?」
「えっ、掃除してくれるの?」
「はい、当たり前です。」
「え〜っ、じゃあ、お言葉に甘えて…」
これで良かったんだ、最初から。俺が変な事に首ツッコまなければ!
全て丸く収まる!
「本当に良いのかい?」
白鷺同志がアキラの突然の訪問に驚く。
「良いですよ〜昨日は見波が具合悪そうだったので
早く連れて帰りたかっただけですから」
サラサラと契約書にサインをする。
「ただ僕は貧乏学生なんでお布施とか課金はできないんですが…大丈夫ですか?
あっ、女性も苦手なんで、そういうのも無理なんですが?」
「いいよ、アキラくんなら、憧れて入会する信者も増えるし。」白鷺同志はまだ訝しがってるようだが、嬉しそうだ。
「あっ、身体なら鍛えてるから、奉仕活動とかはできますよ。
部活と大学が優先ですが、夏休みとかは自由に動けるんで。」
気軽に信者になった。
「じゃ、さっそく目立つポジションで。
広瀬マリアの警護をお願いできるかな?
マスコミに出たことで、色々トラブルも増えてね。
癌の進行も早くて移動は基本車椅子になってきたしね。
力仕事になるが頼むよ。
テレビに抜かれることもあると思うけど、大丈夫かな?」
もう決めてたように話が進む。
「分かりました。と、見波には内緒でお願いします。」アキラが念押す。
「どうして?」白鷺同志が聞く。
「ふふっ、男の嫉妬は怖いですからね〜」足を組んで
そこに肘を置いて頬杖をつく。
「あ〜そう言うことね。分かったよ。」同志以外、他のスタッフも苦笑した。




