6稼 一般から見たダンジョン
前半一般冒険者視点
最後にちょっと主人公視点が入ります
主人公の名前に関してはあまりお気になさらず~
《side一般冒険者》
「うおおおぉぉぉぉぉ!!!!当たったぁぁぁぁ!!!!」
「Noooooo!!!!!!俺の5万円がああぁぁぁぁ!!!!!」
勝者の声と、敗者の声。
「なんか凄そうだけど俺にはいらないな……………おい!誰か大剣欲しいやついるかぁぁ!50万で売るぞぉぉ!!!」
「あっ。俺欲しい!!」
「俺も欲しい!すげぇ強そうじゃん!」
売買の声。
「うめぇぇぇ!!!!何これ!?今まで飲んできた中で1番美味いんだけど!?」
「あぁ~しみる。あったかい物ダンジョンで食べれるなんてなぁ」
「これの効果は……………分からんな。とりあえずちょっと叩いてもらえるか?」
食事のおいしさを叫ぶ声やそのありがたみを味わうような声、そしてその効果を確かめようとする声。
「ふむふむふむふむ!ゴブリンはそういう食事をとっているのか。大変興味深い……………っと、もう10分経ってしあった!1000円札を入れないと。ここれが1万円で10倍の時間見れるようになれば楽なんだがな~」
興味深そうでいてさらなる改善を求める声。
様々な人が集まりひしめき合い、思い思いのことをしてそれぞれの声を上げる。それが、この他にはない魅力が大量に詰まった特殊なダンジョン。
ランダム要素はあるものの投入した資金よりは価値の高い物が出る確率が高い宝箱や、様々な効果を得られる飲み物やため物を売る自動販売機、モンスターの自然な様子を観察できるレンズなど、様々なものがあるこのダンジョン。そこには夢も希望も絶望も、色々なものが詰まっている。
そんなダンジョンで、俺は、
「おい。坊主邪魔だぞ」
「あっ、す、すみません!」
人が通る邪魔になってしまったみたいで、急いで壁際による俺。駆け出しの冒険者だが、こういう行動が思わず出てしまうと行幸が悪いのではないかと思ってしまう。
いけないな。わざわざここからのスタートのために金をもってここまで来たっていうのにこんな弱気じゃ。
「……………ここで手に入れた武器で、いつかAランクの冒険者に!!」
俺は気合を入れなおし、目当てのものを探す。
俺がここに来た目的はやっぱり、宝箱のガチャ。装備品も消耗品もランダムで出てくるそのガチャで、俺は自分の武器を手に入れてこれから先の冒険に使っていくつもりだ。
まだ自分に合う武器は見つけていないから、丁度良いと言えば丁度良い機会!ここで良い武器や防具を引いて、いいスタートを切るんだ!
「……………えぇと。これは50万のガチャか~。さすがに無理。こっちは、30万?あれ?この辺そういう感じ?」
宝箱を探し始めるけど、俺が探し始めた場所が悪かったのかどれも大抵高級な物ばかりで俺には手が届かない。さすがに他の場所と違ってここは人も少なかった。
そのまま必要な金額を見ながら少しずつ移動していき、
「あ、あれぇ?本当に高級なガチャばかりで……………うおっ!?」
突然ドンッ!と何かにぶつかり、俺は横によろける。
それから何にぶつかったのかと横を見てみれば、そこには俺と同じ様な格好をした少し年上の人がいて、
「ア、アハハッ。すまないねぇ。思わず宝箱を探すのに夢中になってて」
「いえいえ。俺の方こそすいません。なかなか俺も1万円の宝箱が見つけられなくて」
2人で同じミスをしてしまったと苦笑してお互い謝りあう。
いけないいけない。いくら将来のために熱くなってるからとはいえ、注意散漫になってた。良くないな。
そんなことを思っていると、俺の言葉を聞いたぶつかってしまった相手は少し目を見開いて、
「おっ。そうなのかい?1万円ならあの辺で見たよ」
「あっ。本当ですか!ありがとうございます!」
「いやいや。かまわいよ。それで代わりにというわけでは人だけど、30万の宝箱を知らないかい?」
「30万ですか?あの辺にありましたよ……………なかなか行きますね、良い装備が出るの願ってます。もしよかったら見せてくださいよ」
「もちろん構わないとも。なら、そちらの方も見せてもらっても」
「はい!もちろんです!!」
俺は向こうに教えてもらい、どうやら相手側はどうやら高い宝箱を探していたらしくて俺の見たことが役に立った。お互い情報を交換し、その後も出たものを見せ合うことにする。
結果としてお互い、
「……………やぁ。どうだった?」
「いや~。それが思っていたような結果にはならなかったんですよねぇ。ハハッ武器が欲しかったんですけど1個も出なくて、盾ばっかり出てきてビックリですよ」
「盾ばっかり?良かったら1つもらえないかい?どうせならこの出た武器との交換でもいいくらいなんだけど」
「えぇ!?いやいや、さすがにそれは悪いですよ!30万と1万を交換は駄目ですって!」
芳しくなかった結果に落ち込んでいた俺だったが、まさかの提案に急いで首を振る。さすがにそんなことをしたら俺が悪い人間になってしまう。
ただ、向こうはそんなこと気にしていないといった表情で笑って、
「ならこうしないかい?しばらく私の方の武器を貸し出すから逆にそっちの盾も貸してもらう。そして、私と一緒にパーティを組んで一緒にダンジョンに潜るんだ。同じパーティになればパーティの共有財産ってことにも今後できるかもしれないし、そこまで気にしなくてもよくなるだろぅ?」
「そ、そうですか?まだ俺の方がもらってるのに変わりはないと思うんですけど……………ん~。でもここで渋り続けてもダメですね!そのお話受けさせてください!ダンジョン探索で獲得できるお金の比率はそちらが多くて構わないので!」
「そうかい?まあ、それでまとまるならそれでいいんだけど……………いやぁ~。実はね、私は魔法のスキルに目覚めて後衛職がしたいんだけど、近接武器ばかりが出てきてねぇ。盾も前衛のメンバーも欲しかったんだよ」
「そうなんですね!じゃあ俺が全力で前衛を務めて守らせてもらいます!」
全く予想してなかったけど、パーティを組むなんて話にまでなった。
この人との相性がどこまで良いのかは分からないけど、駆け出しにしては良い物だと思う。貸し出しではあるけど武器にも仲間にも出会えて俺はラッキーだな!このダンジョン、来てよかった。
またいつかダンジョン攻略で稼げるようになったら、ここにきて防具や武器を新調して、できる事なら新しい仲間まで……………
《side金保椎名》
「ん~。やっぱり賑わってるなぁ。宝箱も込み合ってたのは追加して、と………」
人が来出して、トラブルもあったけど色々と順調に進んでる。
宝箱を武力で独占しようとする人たちも今のところ見られないし、人がたくさん来る構造は作れた。自動販売機で売ってる飲み物の中に病気が良くなったり症状が軽減されたりするポーションみたいなものがあってそれの効果も感じてるみたいだし、たぶんこっちの評判も広まればまた別の人もここまで来そう………。
ただ逆に、
「さすがにダンジョンには誰も来ていないか~。結局試せてないしどうなるのかぐらいは見ておきたかったんだけど」
安全なスペースの方には人が来るけど、肝心のダンジョンの方には人が来てない。それは私にとってはある意味良い事ではあるんだけど、1回くらいは実際にどうやって動くのかくらいは見ておきたかったから残念な気持ちがないわけではない。
「Cランクのダンジョンだと、攻略できる人がいないわけじゃないからな~。もっと強化しないと………」