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38稼 ボス手前

4階層でゴーレムが苦しみ、3階層でそれ以外が苦しむ。そんな状況がこれまたかなり長い事続いていた。

それでも時間がかかればかかるほど向こうはステータスが高くなっていくから時間さえ経てばどうにかはできるようになるもので、


「あっ。ついに自爆兵突破されたか~。これで4階層も突破されちゃうかな」


3階層のゾンビの群れで苦戦していたモンスターたちが、ついに4階層へと抜けてくる。

グールの再生力をもってしても抑えきれない攻撃力と機動力を得たみたいで、さすがにそこまで成長されると3階層で押しとどめるのは無理だね。


で、4階層でも少し苦しむことにはなるんだけど、地面をがっしりとつかむことができるタイプのグリップがしっかりしたモンスターはすぐに抜けてきて。


「5階層か~。もう有料からの合流地点に近くなってくるんだけど、結果としては悪くなかったかな?」


次の階層で有料の方から近道と合流することになる。

今までの結果を見る限りお金を払って近道する価値くらいはある程度のダンジョンの内容になってたと思うんだけど、いつ本当にその価値があることに多くの人が気づくのかは謎だね。


「何も問題が起きなくて誰も気づかず平和に終わるのが1番なんだけど…………こんな抗争とか起きてる上に組合とも揉めてるんだから無理かな」


そんな将来の希望を口にしている間に5階層の罠が発動し、次々にモンスターが消えていく。


5階層はまたこれまでと大きく変わって、ジャングルみたいなフィールドになる。

木々が生い茂りそこをうまく活用できるようなモンスターがたくさん。特にここでは、木々の間を移動して相手の背後をとり奇襲するタイプのモンスターが多い。

しかもただ奇襲するだけだともうここまで相手のモンスターのステータスが上昇している状況だと倒しきれないから、しっかり罠も効果を出している。


「木のツルが急に伸びて相手の首を絞める…………もうなんか、こういうトラップになってくると物理法則とかそんなもんねぇよって感じだね」


正直トラップって言って良いのか怪しい部類なんだけど、一定範囲にいる相手をツルが締め上げに行くんだよ。しかも、首を。

いくら防御力とかが上がってるとはいえ呼吸ができなくなるのはかなりつらいみたいで、バタバタと次々に首を絞められたモンスターも沈んでいく。


もちろんそれ以外にも木の根で相手を転ばせるトラップだったり突然下から根っこが突きあがってきて吹き飛ばしたり体を貫くようなトラップなんかもあって、結局ここでもまた長い時間が必要になった。

そこから、


「ついに有料の抜け道の先に合流だねぇ。おめでとう」


6階層。ここでは火炎放射系のトラップが大量にあって全くと言っていいほど相手も対応できず。

炎に焼かれたり一酸化炭素中毒で動けなくなったりしてそのまま火だるまになって消えていく。

有料の抜け道を超えた先がこんなところで本当にいいのかという思いがないわけではないけど、そんな私の悩んでいる時間があっても余裕で攻略されない程度の時間が必要とされ。

さらにそこを抜けて7階層でまたジャングルっぽいんだけど今度は殺すことじゃなく物を奪うことに特化したモンスターたちが相手から武器を奪っていき、8階層で武器か防具がないとなかなか耐えられない普通よりも貫通力が高い矢の雨に襲われていく。


そしてさらに9階層へ、と進んでいくともうその頃には相手のステータスも異常なほどに上昇していて、


「アハハッ。天井が落ちる前に走り抜けられてるじゃん。すご~」


我がダンジョン最高の火力を誇る落ちる天井は、スイッチを押して落ちてくるまでの間に走り抜けられるようになっていた。

異常なほどの機動力にもう私は笑うしかない。


ただ躱されるようになったら今度はその落ちてきた天井に後から来るモンスターが引っ掛かるから、


「はい、そこにもう1回天井!っと」


用途はこういうためじゃないんだけど、実はこの天井が落ちるトラップというのは2段構えになってる。

何も押しつぶすことなく1番下まで天井が落ちてきたとき限定なんだけどその落ちていた天井が普段踏まれる部分とは別の部分を押し込んで、落ちる天井の手前側の天井を今度は落としてくれるんだよね。

これのお陰で、天井につっかえていたモンスターたちが新しく落ちてくるようになって天井に押しつぶされていく。


「結構相手も強くなってきたけど、10階層で耐えられるかな」


9階層は4階層と同じで氷のフィールドなんだけど、その先の10階層に実はもうボス部屋が待ち構えている。

そしてそのボスが待ち構えている場所の後ろに、ダンジョンコアがあるんだよ。

ダンジョンコア到達も、かなり近い状態になってるってことだよ。


「9階層で厳選できるようにしてあるから簡単にボス討伐はできなくなってるはずだけど、どうかなぁ?」


ここまでステータスが上昇するのは予想外だったから、いくらボスとはいえ対応できるかは分からない。

一応数で攻められないように9階層では、


「あぁ~。凍り付いてる。この隙に寄生虫が入ってくるぞ~」


ただ滑るだけの階層ではない。

4階層とは違って、9階層は激しい吹雪になってる。

ほとんど私のモンスターがそこでは存在せずただただ激しすぎる風と雪と全然止まれない氷の上、各所にある穴とかに相手のモンスターが落ちて行ったり入って行ったりするんだけど、ここでこの階層で唯一のこちら側のモンスターが襲い掛かる。

それが、寄生虫。


「ここまで来れる強い冒険者を寄生虫に寄生させれば、死後非常に有効に活用できると思うんだよねぇ。そしてそれは、モンスターも同じ」


9階層に来れるだけで相当な強さがある。

寄生虫に寄生してもらってそれが死体になるまで待ってもらったうえで、死後体を操れるようになればかなり強力なこのダンジョンの守り手が出来上がるわけだよ。

通常相手側のモンスターが死亡したらリスポーンしちゃうけど、さすがに寄生虫が寄生している時には死体が残ってくれると思うんだよね。多分。


で、その操った死体で他のモンスターを倒していく。

強化された相手には、強化された存在で挑まないとやっぱりダメでしょ。


「ボスと寄生虫と。両方ともレアなモンスターなんだから、そう簡単に倒せるとは思わないでほしいね」

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