35稼 ゴーレム
ゴーレムが来たからと言って、すぐに何か向こうの戦いが改善するなんて言うことはない。
どちらかと言えば、ゴーレムは何回も落ちてくる天井に潰されて無駄になってるようにしか見えなかった。
さらに、かなり時間はかかったけどその後どうにか落ちてくる天井を回避したら道をふさいでた盾兵や弓兵は簡単に対処できたんだけど、
「あぁ~。詰まってる。やっぱり防御力に特化するとそうなるよね」
その後の毒沼が問題になってた。
ただでさえ移動速度が遅いのにそれに加えて思いから沼にかなり足を取られてる。おかげで移動速度は大幅低下。
そしてそれだけならただゴーレムが遅いだけっていう話になったんだけど、残念ながらゴーレムは大きいため邪魔にもなって。
後ろからやってきたモンスターたちはあまりにも遅い移動時間のせいで先に毒に侵されて倒れていってしまう。
急激に2階層へやってくる敵が減少した。
「この感じを見る限り、沼系のトラップはもっとたくさんあっても良さそうだね。それこそ底なし沼とかこの間ガチャで出てきてたし使ってみようかな」
そんなことも考えつつ、自分のダンジョンのここから先の部分を少し見直していく。
残念ながらこの場で変更はできないけど、将来に活かせる部分を命のリスクなく得られたのは大きいね。
「向こうのダンジョンの作り方も学べてるし、ここまででも十分成果はあったかな?抗争やってよかったかもね」
私は確実の今回の抗争、やってよかったと思ってる。というか、そう思えた。
まだまだここからも学べることはありそうだし、確実に私のダンジョンの強化ができる。
「あとは勝てたらもう言うことはないんだけど、どうかな?」
口では勝つという言葉を出してるけど、正直そこまで行く必要はないと思ってる。ただそれでも、できれば勝利ギリギリまで迫ってはおきたいんだよね。
できるだけ相手のダンジョンの深いところまで観察して、より多くの知識を吸収して私のダンジョンに活かしたいから。
「……………と、そろそろかな?」
色々と余計なことをごちゃごちゃと考えてたら10分以上時間が経過して、やっと1体目のゴーレムが出てきた。
毒沼を抜けてきたわけだね。
後から来るゴーレムももうちょっとしたら抜け出しそうだし、ここまでずっと毒に侵されて何度も死んでしまっていた他のモンスターたちも2階層へと抜けてくることになる。
「ここからが本番かな~」
どこまで被害が出るかはまだ分からない。ただ他のモンスターが2階層に来た時とは比べて純粋にモンスターたちのステータスも上昇してるし、間違いなくかなり進まれる事にはなると思う。
それにゴーレムも、スケルトンは相性が悪い相手だろうし。
「スケルトンは刺突とかには強いけど打撃には弱いからなぁ。ゴーレムに純粋に殴られるとかになってくると弱いんだよね」
予想以上にモンスターの強化も進み方が激しいし、1時間は2階層で耐えられると思ってたけど45分くらいまでになるかもしれないかな。
一応まだ針の先にスケルトンも用意してて、
「同士討ち狙いで混乱の状態異常を引き起こす毒の矢も用意してるし、相手が強くても効果が出るようにはしたつもりだけど、まずそれの効果が出るかどうかも問題だよね」
この強化具合だとまずもう矢が当たるのかとか、当たったとしても効果が出てくれるのかとかが怪しくなってくる。
ちょっとそこは予想外だからこの抗争が終わり次第変更しておかなきゃいけないところかも。
「あぁ~。スケルトン、全然歯が立ってない。差し違えて命を奪うとかは難しいかぁ」
2階層の入り口付近にいるスケルトンは出せる成果を大幅に減らしている。
一応傷はつけられるものの、腕を1本奪えるかどうか程度でさっきまでとは全然出す結果が違う。まだ傷を作れてるだけマシなのかもしれないけど。
それこそ1階層の盾兵と弓兵なんて体当たりだけで吹き飛ばされて消滅していくからほとんど意味ないし。
また横の小部屋に設置した弓兵とかは敵のモンスターが入ってこないよこの通路みたいな安全圏から攻撃できてるから若干効果がないわけでもないけどね。
ただ、その刺さってる矢は普通の矢だから当たったところで感は正直あるけど。
「ん~。ここでい1回ゴーレムをリスポーンさせられればまだ毒沼で詰まってくれるからさらに時間が稼げるんだけど」
これから先の時間の稼ぎ具合は、ゴーレムをリスポーンさせられるかどうかにかかっていると言っても過言ではない。時間がたってきてさっきよりは移動速度とか上がっているとはいえ、まだまだ毒沼に入れたら確実に後ろを詰まらせてくれると思うからね。
そのためにも、
「針の先、うまく機能してくれるかな~」
私が視線を向けるのは針の先。
そこにもまたスケルトンがいてやってくるモンスターに矢を飛ばしたりスケルトンは針がほとんど効果ないから駆け寄って剣で攻撃したりといろいろやってるわけだけど、それじゃあゴーレムは倒せないから私が注目するのはさらにその奥。
それこそ1番3階層の入り口に近い場所にいるスケルトンたちが重要。
どんなスケルトンかと言えば、
「おっ。来た来た。ゴーレムはやっぱり針も効かないしスケルトン程度の弓とか剣じゃ全然倒せないよね」
ゴーレムが攻撃をものともせずに前へ出てくる。
他のモンスターが混乱して暴れまわってゴーレムに攻撃したりもしてて傷ついているのもいるけど、ほとんどのゴーレムは無傷に近い。
でもそんなゴーレムに頼みの綱のスケルトンは突っ込んで言って、
ドォォォォンッ!という、分かってなかったらかなりビックリすると思う音共に吹き飛ぶ。というか、消し飛ぶという状況に近い。
「自爆兵って、ダンジョンもなかなかむごいこと考えるよね」
私が使ったのは、自爆兵。
これがガチャで出てきた時は幅広過ぎてガチャで全てのモンスターを当てるのは無理なんじゃないかと思うような存在だった。
背中に大きな樽のようなものを抱え、敵へと体当たりを繰り出していく。
あとは強い衝撃が加わるとその背負ってる棚に入ってる何かしらっが大爆発を引き起こして終了。
当然スケルトンは自滅するんだけど、相手にも大ダメージを与えられる。そんな兵士。
そんな自爆兵の攻撃は刺突や斬撃とかとは違って、より火力が高くさらに言えば防御力が高い物を破壊するのに向いているわけで、
「あぁ~。ゴーレムはほぼ全滅かな?生き残ってるのもいるけど、ほぼ死にぞこないだしもういる意味もそんなにないかな」
ほとんどのゴーレムが吹き飛んでいった。
耐え切れずに体は大量のひびが入り、割れて崩れていく。
いくつかはまだ致命傷ではないのか消えずに残ってるのもいるけど、脚も手もほぼ付けず移動も満足にできないから意味はない。
これならもう1回死んでしまってリスポーンしたほうが早く戻れてよかったかもしれないね。
「1体に対して1体自爆兵を使うのはオーバーキルな感じがあったし、まだまだしばらくは耐えられるかな」
ゴーレムのお陰でいろいろと崩されちゃったけど、それでもまだゴーレム以外のモンスターは針のゾーンを突破できてない。
次にゴーレムが来るまではゴーレムすら倒せる自爆兵もいることだし保ってられるかな。
もう1回ゴーレムが来るともう相当ステータスが上昇してるだろうから耐えられないだろうけど。