25稼 特定
前日の投稿ミスをしていた話の再アップです
抜けていた前話をお読みでない方はそちらからお読みください
また、本日は夜にもう1話投稿予定です
無料の方を少し見ていったダンジョンマスターちゃん。
本人としてはこれで終わりだと思っているみたいだけど、私にとってみれば今度はこっちが始まりだと思ってる。
見た目がもうとてもとても怪しいから周囲の人からはかなり変な目で見られてるけど、ダンジョンマスターちゃんは気にせず今度は有料の方に移動。
そしてそのままシャワールームに移動したかと思えば突然姿を消した。
「認識をごまかすタイプのアイテムでも使ったのかな……………」
恐らく何かの効果で自分を認識できなくして私に監視されていたとしてもどこに今いるのか分からなくしたんだと思う。もう怪しい服もいつの間にか脱いでて人だかりに紛れてるからね。
でも、残念ながら私はもうその顔をしっかりと覚えてしまっているから関係ない。
そのまま何食わぬ顔で外へと出ていこうとしたから私もそれと同時にダンジョンから出て、
「尾行開始~♪」
ストーキング開始だよ。
自分が彼氏で他の男と会うなんて許されるわけがないと思っている勘違い野郎と同じくらいの感じでストーキングを行なっていく。とはいってもそんな頭が狂ってる人達とは違って私はこれでも超絶美少(?)女だからあんまり変なことをするとすぐに周囲から変な目で見られちゃうし、いかにも自然な感じですという雰囲気を出していかなきゃいけないけど。
前回ストーキングしたときとは違ってダンジョンマスターちゃんはそこまで人通りが多すぎるという道は通らず、私も備考がしやすい。
適度な人ごみの中に紛れてたまに帽子を被ったりメガネをしてみたりなんてしながら尾行をしていけばバレるわけもなく、
「……………ん?ここは?」
私はいつの間にか少し人通りが少なくなってきていることに気づく。この辺りで尾行はいったんやめてこの辺りからいけそうなダンジョンの範囲と前回目撃した時に移動した方向のダンジョンを考えてあの子のダンジョンを特定しようと考えたんだけど、
「あっ。またか」
私が姿を消す前に先に向こうが姿を消した。私のダンジョンのシャワー室でやってたみたいに何かを使って認識できなくしてきたんだと思う。
そうして姿を消されると私の尾行がバレて私が攻撃の対象に変わったりするのかと思ったんだけど、
「何もなし、か」
消えた後は特に何かあるということもなく。私がただ見失うだけで終わった。
でも、収穫が0というわけでもない。
わざわざここで姿を消した理由を考えるとすれば主に可能性が4つ。
1つが、単純に私の尾行に気づいていた可能性。特に何かを仕掛けようとは思わなったけどとりあえず個人情報を特定されるのは嫌だから逃げたなんていうことが考えられる。
そしてそれにちょっと近いんだけど、2つ目が警戒心が強くて定期的に気配を消してる可能性。あの可愛さなら面倒な被害とかにもあってしまった経験があるのかもしれないし、そういう警戒心が強くてもおかしくはない。
ということでここまでの2つはストーキング回避のためという理由。
では3つ目はというと、単純にこの近くに住んでてそこに入るのを見られたらいやだからということも考えられる。これはストーキングに限らず、たまたまた近くを通った人にも自分がどこに住んでるのか見られたくないとかいうのは考えられるよね。
そして最後、4つ目がこの付近に自分のダンジョンがあるってことなんだけど、
「……………そういうことなの?」
なんとなくそれが1番可能性が高いのではないかと思えてしまう。
だって組合が出してる情報を基に調べた限り、この付近にあるダンジョンで1番近いところって、例の私にダンジョン抗争を仕掛けてきたAランクダンジョンなんだから。
「……………もっと調べた方が良いかな」
あの子は、ダンジョンコアを奪ってそのDPを使っても1週間分の維持費にしかできないほど維持費のかかるダンジョンの運営をしていた。これだけでそこそこランクの高いダンジョンなことは分かる。
そしてさらに、この時期にただ私のダンジョンの無料の部分に踏み入れて偵察をするなんて疑わない要素がない。
ここで消えたことも合わせて総合的に判断すれば、私に抗争を仕掛けてきたダンジョンのダンジョンマスターであるという結論を付けるのが1番分かりやすいんだよ。
「となると、監視が必要なんだけど」
可能性は決して低くないと思う。でも、確定ではない。ということでこの情報を確定させたい私としては、この付近を監視するなり何なりしてこの付近にあの子が出没する頻度を見たいわけだよ。
ただ、だからって勝手に隠しカメラなんかを設置するわけにもいかないし……………
「持ち帰って検討するしかないかな。とりあえず周辺で簡単に攻略できそうなダンジョンでも探してコア貰おう」
わざわざここまで来て何もしないのもどうかと思って、さすがに例のダンジョンを攻略しようとはしないけど他のダンジョンに入ってみることを決める。
最高難度と言われるダンジョンの周辺だからなのかは分かんらいけど意外とこの辺りにもダンジョンはあるもので、狙うのには事欠かない。
私はダンジョンマスターちゃんのように人に見られるなんていう失敗を犯さないように、いつも以上に慎重になりながら装備を付けてダンジョンへと突入。
警戒心が今は高まってる私は攻略するのを普通のモンスターがいるだけのタイプのダンジョンに限定して、入り口に宝箱があるタイプは破壊しないようにする、もし私がこの周辺にいてダンジョンを攻略した人の候補に入った場合、宝箱がある価値が少し高めのダンジョンを攻略したってことで非難されかねないからね。できるだけ粗はなくすに限るよ。
「じゃあこれをお願いします」
「はい。ありがとうございます。今回はダンジョンコアもいくつかあるんですね」
「そうですね。ちょっと弱いダンジョンが集まってるところがあったので。そこを攻略してきました」
攻略後は、全てではないけどいくつかダンジョンコアを持って組合へ。
もし私も気が付いていないような監視がついていた時のために、ある程度手の内がバレていたとしてもあくまで私は冒険者でたまたまダンジョンを攻略しただけという風に見せておきたいんだよ。
「一応どこのダンジョンかだけ教えていただいても良いですか?」
「はい。えぇと、だいたいここくらいのダンジョンを攻略したんですけど」
「あぁ。そのあたりですね。了解しました、もしかして、例のダンジョンまでは言ったりとか?」
「いやいや。さすがにそこまではしてないですよ。まだまだ私にはあそこのダンジョン早すぎますから。入ったら3秒もせずに死んじゃいますって」
「アハハッ。そうですね~。危険なことはせずに命大事に活動してくださいね?」
「もちろんです」
私の攻略した位置の影響もあって軽く受付さんから注意も受けつつ、清算を終える。
そのまま色々と偽装しながらいったん家に帰り、ダンジョンにはいかずにそのまま生活をする。
ここまでやって色々と周囲の警戒もして、やっと落ち着けた。
「……………さすがにここまで警戒してたら大丈夫でしょ。というかこれ以上の警戒は私には無理だよ」