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23稼 同業者

私が私自身の強化とダンジョンコアの回収を目指すことにして、少し狙うダンジョンの種類を変えてみた。

それが、そろそろ出てくると思ってたんだけど、


「思ってたより宝箱の数多いな~。どうやって管理してるんだろ?」


私の目の前には、いくつかの宝箱がある。しかも、その位置はまだダンジョンに入って数歩のところ。

形としては、昔何度か出てきたけど私みたいな人達から破壊されていった宝箱だけのダンジョンに似てるね。

でも、今回のこのダンジョンとはそれと少し違って、宝箱の数がそれと比べると少ない。

そしてさらに言えば、


「ここはホーンラビットか~。まあ可愛い方ではあるよね~」


「キュイッ!!」


モンスターがいる。

まあここまで言えばわかるかもしれないけど、このダンジョンは昔あった宝箱だけのダンジョンの改良版のようなもの。

宝箱を入り口に置いておき、盗もうとする人が出ないように奥にはモンスターが配置してあるというもの。

頑張って新しいダンジョンマスターが生き残れる方法を探して見つけた抜け道って感じかな。


宝箱の数がい多いわけでもないし質が高いわけでもないからそんなに来る人は多くないみたいだけど、一応宝箱があって有益ってことで攻略しようとする人はいないっぽい。

おかげでこのタイプのダンジョン、最近見るようになってきたよ。

まあもちろんこの程度の中途半端なことをしてるダンジョンが完璧な防衛体制を築けているわけもなく、


「宝箱の中身とコアはもらっていくよぉ~」


隠密装備な私に対する対策なんて存在せず、私は何も問題なくコアも宝箱の中に入ってたアイテム貰っていくことができた。

正直アイテムが大したことなくてしょっぱいから、稼ぎにあんまりならないし有益な装備品とかも手に入らない。

完全にちょっとしたおまけのお小遣いくらいの感じだね。


「このままいくつかはしごして数揃えてから売りに行くかな~」


恐らくこのタイプのダンジョンは、その辺にある適当に防衛だけに特化したダンジョンよりは人が来るしDPをため込んでる。

アイテムの数が良い感じにそろうくらいまで攻略したら、結構な量のDPを獲得できると思うよ。


で、そのまま数か所ダンジョンを攻略してダンジョンコアとアイテムをもらって行ってたんだけど、


「……………ん?人?」


それは6か所目くらいのダンジョン。

そこで人影を見た。


宝箱の中身をもらいに来た冒険者だとは思うんだけど、何やらその動きが怪しい。いや、動きだけじゃなく見た目すらも怪しい。

私が言えたことではないんだけど変な仮面を付けて顔を隠して黒いローブを全身に纏って自分の情報を全く与えようとしない感じの非常に怪しい格好をしてる、それはもう、何か悪いことを企んでますというのがありありと伝わってくるくらいの怪しさ。

今時の初めてやる銀行強盗犯でももうちょっとマシだと思うんだけど。


「もしかして同業者?」


ここで思いつく可能性として1番あり得そうなのは、同業者。つまり、私とおんなじダンジョンマスターで、ダンジョンコアを狙っているのではないかということ。

怪しい恰好ではあるけどもしかすると効果付きの装備かもしれないし、同業者であれば納得できる。


ということで、私は少し気になってその人を入り口で待つことにした。

後をつけてるともしかしたらバレるかもしれないし、いつでも逃げれるようにはしておきたいからね。


そうして待つこと数分。

またこそこそと周囲を警戒しながらその人が現れてくる。手の中には私の予想通り、ダンジョンコアが握られていた。

恰好とも相まって、ものすごい盗人の雰囲気が出てる。

そのまま私の横を通り過ぎてダンジョンを出る瞬間、


「こ、これで今週の維持費は……………」


そんな呟きが聞こえてきた。

維持費、というのはおそらくダンジョンの維持費のことだと思う。モンスターもフィールドもそうなんだけど、基本的にDPを使って出したものには維持費がかかってDPがある程度必要になってくる。

つまり、DPをたくさん溜めて高いフィールドとかモンスターを設置するのは良いけど、その後はそれの維持費がかかるからちゃんとDPは残しておかなきゃいけないってこと。


私のところは維持費なんて余裕で払えるけど、他の高ランクのダンジョンで来る人が少ないところなんかは維持費がかなりきついんじゃないかと思う。強いモンスターも罠も特殊なフィールドも、それだけ維持費が一定で必要にあってくるってことだから。


と考えれば、この怪しい人もある程度難易度の高いダンジョンのダンジョンマスターなのではないかと思うんだよね。

大抵のダンジョンなら、このダンジョンみたいに宝箱をちょっと入り口付近に設置しておくだけである程度人は来てDPは賄えるようになるから。


それじゃ足りないとなると、相当な維持費のかかる何かを配置してるってことで、


「……………気になる」


かなり気になった。

だって、高ランクのダンジョンのダンジョンマスターだよ?どんなところのダンジョンでどんな人なのか、気にならないわけがないでしょ。

場所によっては、個人情報を特定したうえでダンジョンマスターであることを知ってるとか言って脅してダンジョンの作り方を教えてもらってもいいかもしれないし……………


ということで、私は追跡することに決めた。

つまり備考ってことだね。

怪しい人を怪しい恰好をした私が追いかけるというものすごい変な構図にはなってるけど、それはそれとして気になるんだから仕方ない。

ダンジョンコアを袋にしまった後周囲を見回して茂みに入って行った怪しい人。それを遠くから眺めて、


「……………え?かわ、いい?」


茂みに入った怪しい人は、その怪しい服でそのまま家まで帰ったりすることはしないようで茂みの中で怪しい恰好を脱ぎ始めた。

そうして見えてくる顔に、私は衝撃を受ける。


だってかわいいんだから!


「え?アイドル?女優さん?」


そんなことを考えるほど、非常に整った顔立ちをしている。

その後茂みから出て人ごみのある方まで歩いて行ってたけど、その時もすれ違う人たちが大勢振り返るくらいには、とってもかわいだった。


まあそんな人ごみに入られてしまったおかげで私も尾行に失敗はしてしまったわけだけどね。

残念。

あんなにかわいい子ならダンジョンまで特定してお近づきになって。ダンジョン関係のことで脅してあんなことやこんなことを……………いや、何でもないです。

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