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21稼 失踪

私がダンジョンのモンスターを使いつつ倒した冒険者は、国側の冒険者でそこそこ強い方の冒険者ではあり、広告塔にもなってた。

特に広告としての影響力はそこそこあって、思っていたよりも消したことによる影響は出ている。

それこそ、


「高ランク冒険者が失踪、ですか」


「そうなんですよ。GPS付きの荷物を置いてどこかに消えてしまってて。もし何か見たりしたら教えて下さい」


「はい。もちろんです」


組合の中で捜索しているという張り紙まで出てて、捜索関係の募金箱に募金をしている人も多数。明らかに冒険者じゃないっていう見た目の人が何人も来て募金と受付の人に捜索を強くお願いして帰って行ってる。

ここまで人気があったことを考えると、消せたのはやっぱりよかったかもね。

意思を継いでどうこうみたいな話は上がってるらしいけどあの人ほどのまだ影響力がある広告塔は出てきてないから、国との情報戦が少しやりやすくなるかもしれない。


「これって誘拐されたとかそういう話なんですか?もしそうなら高ランクの冒険者を誘拐できるくらいの相手なわけですし、私では到底かないませんよね」


「そ、そうですね。これも噂ですけど、他国が強い冒険者の被験体が欲しくて誘拐されたなんて言うのもありますし、もし見かけても話かけたりはせずに報告だけしてもらえれば」


「了解しました」


ちなみに、冒険者が最終的に消えた地点というのはダンジョンの中ではなく私が荷物を置いた場所ということになってる。

荷物に入ってたGPSによる位置情報もそうなんだけど、私が一応仕込んでおいた他のダンジョンのダンジョンコアの割れたものを見つけて、ダンジョン攻略後のものって言うことを考えたらしい。

わざわざ割れたダンジョンコアを持って帰るものかと私も偽装しながら思ったけど、意外と騙されてくれるものだね。


「でも、高ランク冒険者に支給されるのってGPSだけなんですか?何か、もっと保護するためにいろいろと渡しておいてもいいような気がするんですけど」


「ですよねぇ。ただ、一般に公開されてるのはそれだけですね。私も聞いたことはないですけど、もしかしたら公開されてない特殊なアイテムが配られてるのかもしれませんよ」


「えぇ~。ありえるんですかそれ?でも、あるなら面白そうですね。ちょっと私も欲しい」


とりあえずここまで話をする中、伊奈野が疑われているといったことはなさそうである。

受付の様子は普通だし、他に誰かから視線を感じるということもない。伊奈野が近くできる範囲では、何かから警戒されたり疑われたりと言ったことはなさそうだった。


それだけの情報が分かれば十分。

伊奈野は会話を終わらせ適当にダンジョンでとってきたアイテムを売りさばき、また自分のダンジョンへと返っていく。


「今DP結構余裕あるけど、もうちょっと溜めてまたガチャを回すかそれとも新しいたくさんDPが必要な何かを作るか」


そうしてダンジョンで考えるのは、現在あるDPをどう使うか。

先日冒険者を殺害したことにより奪ってきたダンジョンコアには、今までの分も合わせてそこそこのDPが入っていた。

そのためそれをすべて吸収した私のダンジョン委はかなり余裕があるというわけ。


新しい人を呼び込む設備を作っても良し。もうちょっと溜めてまたガチャをしても良し。

やれることはいろいろと考えられる。


「今回広告塔が消えて国としては新しい広告塔を作るのにしばらく手間取るだろうから、こっちに攻め込まれるとしても時間は結構ある。となると、ここで一旦DPの余裕があるうちにしておきたいことはしておくべきなんだけど……………」


国に余裕が出てきて冒険者がダンジョン攻略に乗り込んでくるようなら、正直それから先しばらくはこのダンジョンに人を呼び込む部分を発展させられるような機能は増やせないと思う。DPに余裕なんてほとんどなくなるだろうからね。

ただ、将来的なことを考えておけばガチャを選択するのは悪くないと思う。

将来的に人を呼び込むものを作るのにガチャは必須だし、新しい防衛能力も手に入れられるわけだから。


「ん~。難しい」


メリットもデメリットもあって、悩む。

ただマズいのは、とりあえず溜めておけばいいでしょって考え、お金だってただ貯金してるだけだと為替の変動とかによって相対的にお金を減らしてるのと変わらない状況になっちゃうんだから、投資をしたりリスク分散で他の通貨に変えなきゃいけなかったりするのと同じ。


「お金を稼ぎたいところではあるけどそれを怠って組合との戦いに万全な状態で臨めないのもまずいし、逆に組合との戦いに意識を向けすぎて人の興味が薄れちゃうのもまずいし……………うぅぅぅん」


私は悩む。でも、それは良かったことなのかもしれない。

それだけ悩めるようなリソースを私が持っているということだから。

ただ、だからこそ、



《ダンジョン抗争が申し込まれました。受託しますか? YES/NO》



「……………へ?」


リソースがそれでも足りなさ過ぎると思う事態になった時が1番困るもの。


「だ、ダンジョン抗争?なぜに?」


突然ダンジョンコアから告げられたのは、私のダンジョンに対してダンジョン抗争というものを仕掛けられたということ。

あんまりダンジョン抗争というものに関して私は詳しくなかったから(これに詳しい人がそんなにいるのかは別として)まだはっきりとどういった感じの物なのかは分かってないんだけど、以前ヘルプを見て調べた時にはこれを行なうことで他のダンジョンと争うことができるということが書いてあった。

つまりこれは、私のダンジョンに対してどこか別のダンジョンのダンジョンマスターが喧嘩を売ってきてるってこと。


Cランクダンジョンに戦いを挑むなんて随分と調子乗ってるじゃんって思うところなんだけど、そのダンジョン抗争を申し込んできた相手を確認すれば私も理解できて、


「このダンジョン、この国で1番難易度高いとかいう話じゃなかった?Aランクの中でも別格の攻略難易度とかいう……………」


最強の一角。

そこが、私のダンジョンに戦いを挑んできた。


この時の私はただ抗争を仕掛けられたということで慌てていたけど、のちの私はこの出来事の重要さをはっきりと理解している。

ダンジョンマスターになったことに続いて、この争いこそが大きく私の運命を変えることになるものだった。

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