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19稼 格上冒険者

私のダンジョンが攻略されたり、ほぼ攻略されたのと同じ状態になったりしないようにするため。

私は他のダンジョンへとやってきていた。


「ここはボス部屋があるタイプのダンジョンねぇ。なるほど」


もちろん目的は、このダンジョンのダンジョンコアを回収すること。私のダンジョンより少しランクの低いDランクのダンジョンで、罠とかは特にない純粋に戦闘だけで進めていくタイプのダンジョンになってる。

ボス部屋みたいなものも存在してて、私みたいな駆け出しの冒険者にはまだまだ攻略は厳しいという評価をされている。


まあただそれは、実力相応の装備で言った場合の話。

私みたいに実力に全く見合ってない強すぎる装備なんかを使えば、


「ボスくらい簡単に倒せますよ、と」


私は当然装備をこういう時に使う隠密行動用のものにしてある。

けど、装備全てを隠密行動用の効果がついているものに変えてるかというとそんなことはない。

流石にそこまで隠密行動用の装備は多くないからね。

隠密行動用のものがないなら、当然そこでつけてくるのはそれ以外の強い効果を持ったものになる。

例えば今ボスを倒すのに使ったんだけど、


「『猛毒の指輪』に『麻痺の指輪』、『不幸の手甲』まであればさすがにボスもつらいよねぇ」


毒や麻痺を付与する指輪に、ランダムな代わりに強力な状態異常を付与する手甲。

この3つを装備して相手に触れてるだけで、相手は勝手に毒で倒れていく。たまに手甲の効果で即死系の状態異常が付与されて一瞬で終わることもあるし、この3セットは本当に優秀。

接触するまでは私の隠密セットのお陰で気づかれないから、触るまでもそこまで難しくないし。


で、こうした装備のお陰で私は苦労することもなくボスを倒して先に進むことができたわけだけど、意外なことにボス部屋の先にもモンスターは待ち構えてた。

もしかしたらボス部屋でギリギリ生き残ってどうにか抜け出して疲れ切ってますというところへ襲い掛からせることで攻略を防ごうとか考えたのかもしれない。


「待ち構えてるのは大斧を持った一撃が重いタイプのオーク……………うん。私の予想通りならコンセプトにもあってるね。やっぱりそういうことかな?」


ボス部屋を抜けることができた人なら、気持ちさえ切り替えてしまえばもう少し応戦できるかもしれない。

だから、気持ちを切り替えられてしまわないうちに強力な攻撃で命を刈り取るなり大けがを負わせるなりさせないといけないってことだね。そういう意味ではこのモンスターは最適。


「まあ私には敵じゃないけどね~」


オークとかのモンスターは基本的に汚いし臭いしできれば近づきたくないから、倒すことはしない。でも倒そうと思えば倒せる。


そんなモンスターを避けてさらに奥に進んでいくと、さらにそのモンスターすら抜けられた時のための今度は数で疲労を狙うタイプのモンスターたちが配置されてて。

そこを通り抜けてやっと、


「ダンジョンコア見~つけた」


私がもらって行くダンジョンコア。

拾い上げて、片手に持ち、そのまま来た道を引き返す。そして自分のダンジョンに戻る。



……………んだけどその前に。

私はボス部屋の後の例のボス戦で疲れた人を仕留めるためのオークがいる付近でその歩みを止める。

ちょっとやりたいことがあったんだよね。


「……………ちょっと余裕を持ってきたから、もう少し待たないダメかな。とりあえず罠だけ張っておこうか」


私はまずこの階層への入り口付近でなおかつ少し進んだところに罠を張る。

具体的に言うと、降りてきた後オークの存在に気づくかどうかっていうぐらいのところかな。そこにちょっとモンスター用の罠というアイテムがあるからそれを仕掛けた。


後は自分のダンジョンの様子を見たり、私が今回収しようとしてるダンジョンコアを少し見てみたりとしていると、


「……………あ゛ぁ~。やっと終わった~」


少し濁った、仕事終わりの時に出そうな声。

まあ自裁ボス戦後に出した声なんだから当たり前なんだけど、とても油断した様子で1人冒険者が疲れた顔をしながらこの階層に入ってくる。

その両手には何も握られておらず、上半身もほぼ裸みたいな恰好で筋肉を見せつけている感じなことから格闘家スタイルの人であることが分かる。


ボス戦を終わらせた冒険者で、今はダンジョンコアをもらいに行こうとしているような雰囲気。

そこへ、


「ブォォォォォォ!!!!!」


「っ!?オーク!?まだダンジョンは終わりじゃねぇってことかよ。おもしれぇ!やってやるよ!!」


オークが姿を現す。

一瞬気を抜いてたから反応が遅れて、今の状況ではおそらくオークと真正面から当たると確実に押し負ける。

それでもどうにかする自信はあるみたいで冒険者はまっすぐオークに向かって走っていき、


「『インパクt、ん!?」


ダンジョンに入ることでだれでもそれぞれのものを手に入れられるスキルや、そのスキルを鍛え上げていくことで使えるようになるアーツ。

スキルなのかアーツなのかは分からないけど、何かを発動しようとしているのは分かった。

それが強力だから、オークと真正面から戦っても問題ないと考えたんだと思う。


でも、当然ながらそううまくはいかない。

発動しきる前に違和感を憶えたみたいで発動は中断。その視線は足元に向かって、そおまま前のめりに倒れていった。


「くそっ!ここで罠をし込むのかよ!」


足元に在ったのは、落とし穴。

そこまで深いわけではないけど、なかに太めの針が地面に固定される形で入っていて、それが足に深く刺さってしまったようでそれ以上前に行くことができずに転んでしまったというわけ。

さすがにこのダンジョンのボスを倒してきただけはあってかなり腕の立つ冒険者みたいで痛みにより発狂したり頭が真っ白になったりと言ったことはないっぽいけど、


「くっ!躱せな、グアアアアァァァァァ!!!!????」


慌てて両手をクロスさせて自分の体を守ろうとした。

でも、それで止められるほどオークの攻撃も甘くはない。確実にボス戦後の油断したした冒険者を仕留めるために用意されたのだろう一撃は両手のガードなどあっさりと突破して、斧は胸に深く入り込んだ。

流石にここまでの攻撃を受けると冒険者も耐えられなったみたいで、絶叫が響く。


こうなってしまえば、完全に流れはオークのもの。

2度目の振り下ろしにより、綺麗に冒険者の首は飛んでいった。


「ブモォ!!」


勝どきを上げるといった様子でオークは斧を上に掲げ、叫ぶ。

なかなかいい物が見れたね。私が仕掛けた罠にはまるのは兎も角として、一瞬遅れたものの瞬時にオークに反応して臨戦態勢をとれてたし、走り方も姿勢が安定しててスキルかアーツを発動するまでの流れも自然だった。

確実に私よりも何倍も格上だね。


ここで片づけられてよかった。

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