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1稼 幻覚

何か知らない声が聞こえて気がする。幻聴だと思うし、期待以下の成果しか得られなくてストレスが来ちゃったのかな?

もしかしたら今日は休んだ方が良いかも……………


ピロンッ!

『ダンジョン作成を行なってください』


「……………あぁ~。やっぱり幻聴が。というか幻覚まで見えるんだけど?そこまで私はショック受けてたの?もうちょっとマシな症状で良いと思うんだけどぉ?」


流石に宝箱がなくて大事なものを奪われた気分にはなったけど、だからと言ってBSSとかNTRとかくらって脳が破壊されるほどの衝撃はない。まあ、生まれてこの方恋人なんていたことないからNTRの気持ちなんて分かんないんだけどね!


まあそれはそれとして、幻聴だけでなく幻覚まで見るのはかなり問題だと思う。

私の前には、というか正確に言うと私の目に移るダンジョンコアの前には、何か半透明のディスプレイみたいなものが現れてた。

そこに書いてあるのは、


「ダンジョン管理、ねぇ。厳格にしてはあまりにも綺麗だし作り込みが凄いけど……………幻覚、だよね?幻覚じゃないなんてことある?」


幻覚にしてあまりにもはっきりしすぎているような気もする。

それだけ私の頭の想像力が高いのか、それとも私の頭がやられてるのか。

どちらにせよこの幻覚はどうにかしたいと思ってその幻覚に触れてみるわけだけど、さらに私の頭を悩ませるようにその幻覚は変化する。

幻覚にあった『ヘルプ』という部分に触れると、いろんな説明みたいな文章が現れてきた。


「明らかに何かのヘルプだよね?システムの細かい設定まで書いてあるし……………ちょっと私の幻覚のレベル高すぎじゃない?いまなら実は今まで観てたものの方が幻覚でこっちが現実ですって言われても信じられるよ」


ここまでの幻聴も幻覚、かなり一貫していて内容は同じようなものになってる。

だいたい全部言ってることは、ダンジョンがどうこうって話なんだよね~。しかもこの幻覚で見るヘルプの内容は、ダンジョンをどうやって経営していくかっていうことが書いてある。

やろうと思えばモンスターも召喚できるし宝箱も設置できるしダンジョンを拡張したり新しい階層を作れるってことなんだけど……………


「さすがにそんなことはないよね~」


ないと思う。ないはずだった。

でも。幻覚が幻覚であることを確かめるため。私がダンジョンを広げて広げた場所に向かって行けば、


「……………あ、あれれ~。おかしいぞ~!確実に広がってる!さっきまでこの辺に壁があったはず!!」


かなり狭い空間で、ダンジョンコアがあるだけの狭い正方形な部屋のはずだった。

けど、いつの間にか1つの壁が置くまで言っていて、長方形に空間が広がっているように思える。さっき歩いて確かめたし、幻覚幻聴にプラスして他の感覚にも異常が出ていない限りこれは非常におかしい。


それこそ、


「もしかして全部、現実だったりする?……………な、なんてねぇ~。あ、あははっ。まさかねぇ。私がダンジョンを操れることなんてあるわけが、」






ありました。

あっちゃったんだよね。部屋を広げるだけじゃなくてモンスターを設置したり宝箱を設置したり。新しい階層を設置したり……………もう本当に、私の知ってるダンジョンの機能のありとあらゆることを試してみてできちゃった。

もしこれが全部幻覚と幻聴とで構成されてるなら、私は逆に私の想像力に拍手したいね。

もうスタンディングオペレーションで全米が泣くくらいの想像力だよ。


「ただ、もちろんこれが全部現実だと困ったこともあるよね。あっちゃうよね」


私ダンジョンを操れるようになりました。このヘルプによると、所謂ダンジョンマスターになっちゃいました~やった~。とは喜んではいられない。

だって、ダンジョンを操れるようになるのは残念ながらメリットだけではないんだから。

どちらかと言えば今の私にとっては、デメリットの方が大きいような気がする。


なにせ、


『ダンジョンコアが破壊される、もしくはダンジョンの外に持っていかれるということが起こった場合ダンジョンの全機能が停止し崩壊すると同時に、ダンジョンマスターは死亡します』


という文章が、ヘルプの3番目くらいに書いてあるんだから!!

要するに、このダンジョンが攻略されてダンジョンコアに何かされたら私死ぬ!以上!!


いや、でもね?これがもし私のダンジョンが100階層くらいまであって誰にも攻略できないような難攻不落のダンジョンです、とかなら私だってそこまでデメリットだとは思わないよ?

相当それを攻略できるなら強い冒険者が来るってことだし、こっちだってそれに対抗できる程度の戦力は用意できるようになるだろうからね。

でも、考えてみてほしいんだけど、個々のダンジョンもとは1階層しかないんだよ!しかも、モンスター1体もいなかったし!その状態で冒険者の相手なんてできるわけないでしょうが!!!


「一応戦える体制は作ったけど……………ちょっと強い冒険者が来たら死ぬね。2秒でたいありでしたって言うことになるんじゃない?」


何も今のこのダンジョンに強みはない。

急ごしらえで色々と戦える環境は整えたけど、おそらくこの程度私みたいな新人たちが数人来た時にぎりぎり対応できる程度でしかない。

ちょっと強い冒険者が来れば、一瞬で攻略される未来しか見えないわけだよ。


「……………あぁ~。これじゃあお金稼げないって。私もいつ死ぬか分からないしさぁ」


デメリットは、ダンジョンコアの部分だけではない。

さらに、面倒なことに、このダンジョンの管理運営で手を加えたり仕様を変更したりするには、ダンジョンの中に私がいないといけないんだよね。

つまり、外に出てると冒険者が攻略しに来て奥まで進まれても何も変更して対策を立てたりすることができないってこと。

最悪だよ。


ダンジョンコアまでたどり着かれたら死ぬ。

でもダンジョンを守るためのモンスターはあまり配置できないし、罠も大したものは設置できない。つまり冒険者に発見されてちょっと多めに人が来るとか強い人が来ると書いただけでも死亡確定。



「いや、もう本当にこれさぁ。ツラすぎるって……………どうやってお金かせごう」



とりあえずダンジョンマスターになってることで収入が入ってきたりしない?月に5000万もらえるとかだったら全然やっても良いんだけどね?

……………あっ、もらえないですか。そうですか。

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