17稼 押しつけ
組合の人たちは強制的に排除させてもらった。若干犯した罪(?)に対して罰が重すぎる気もするけど、まあ事前に強く警告してると警備にもっと強い冒険者が来た可能性もあるし仕方ないよね。私のダンジョンの有料スペースで警備兵として使ってるのは基本的にランクの低い魔物だから強い相手には対応できないんだよ。
逆に、弱い相手を殺さずに捕まえるとかいうのは得意だけどさ。
あと、追い出したついでに持ち物とか全部奪って、なかなか興味深そうなものも色々とゲットできてる。
特に大きな収穫物で言えば、宝箱から出てくるアイテムをその場で確認するために持ち込まれてた鑑定用のアイテムかな。
以前来た弱っちいダンジョンマスターの付けてた罠の発見が主な機能なモノクルでも名前だけは鑑定できるけど、こっちの鑑定用のアイテムの方がより詳細に効果を鑑定できるからありがたい。
「組合の平均的な水準の鑑定が分かるし、これの結果次第で私の今後の隠密行動の度合いも変えていく必要があるけど……………」
このダンジョンまで持ってこられてるから、おそらくこの鑑定アイテムの水準が組合の中では平均的な水準何だと思う。
ということで、この鑑定を無効化できるのであれば私が隠密行動する時のアイテムはある程度充分ってことになるわけだよ。
逆に言えば、これを無効化できないようならまだまだ私の隠密行動用のアイテムは足りてないっていう判断になるね。
もちろんそんなアイテムだけでなく、他にもまだまだいろいろあって、
「純粋に攻撃力が上がったり防御力が上がったりするアイテムも多いかな。まあ便利だよね」
何回か1番高い宝箱も開けてその中身を保管してたりもしたから、良い装備なんかも入ってる。もちろん普通に特殊な効果もついていないような武器もあれば、自分のステータスを上昇させるようなアクセサリーも。
本当はこれらすべて私がもらいたいところではあるけど、
「そうしちゃうと、あまり表で使うことはできないよね。それは問題かな」
隠密状態の時にしろそうでないにしろ、私がこの奪った装備を使っていれば私がこのダンジョンの関係者なのではないかと疑われる可能性も出てくると思う。
となると、必要になってくるのは目先のお金に誘導されない勇気。
この装備を全部売れば相当なお金にはなると思うけど、ここは涙を呑んで、
『……………なぁ。なんか張り紙してあるぞ?何だ?』
『えぇと……………おいやばいこと書いてあるぞ!今まで問題おこした奴らから奪った装備の一部を1万円の宝箱に混ぜるって!』
『1万円のところに!?た、確か組合が奪われた中に10万以上する宝箱のアイテムが結構あった気がするんだけど……………』
『これは乗るしかねぇな!このビックウェーブに!!』
私だけが持っていたら疑われる。なら、必要ない物は他の人に渡しちゃって私が疑われにくくすればいいじゃない理論!
組合との関係悪化とかいろいろと代償はあったけど、お金の部分だけ見れば今回手に入れた諸々は無料で手に入れられたものと同じ。
であれば、大量にお金を使って手に入れようとしてくる人が出てくる分こうしたほうがお得かもしれないとかいうまあ自分の心をちゃんと見つめてないような理由を心の中で告げて、私は全部売りたいと叫ぶ私の本音を押さえつけて涙をのみ放出を決める。
こうやって宝箱から出るアイテムを自分で入れたりすることもできなくはないんだよ。
実際涙を呑んで私の心に言い訳した理由と同じようにこれによる効果はものすごい物があった。
1万円で10万円分以上の利益を出せるかもしれないと聞けば、皆1万円を回したいと1万円の宝箱が取り合いになるわけ。
元から宝箱ガチャはそこまで損をさせるような作りにもなってないしそこが良いみたいで、大量の人が1万円ガチャを回しては喜んだり悔しそうな顔をしたり。
そして私は、
「1万円が1枚、1万円が1枚、1万円が3枚!1万円が……………たくさん!でもまだまだ足りない!ほら!もっと!もっと私に1万円札をくれぇぇぇぇ!!!!!」
大量に流れてくる1万円札に目をお金のマークに変えながら大喜び。
とてもいいペースで私の1万円札が増えていく。それこそ今までの比じゃないくらいのペースで増えてる。今日は売上No1を狙えるかもしれないよ。
やっぱりみんな強い装備は欲しいってことだね。それかもしくは利益が。
『今まで奪ってきたもの全部入ってるんだよな?つまり何とは言わないが、あの人のあんなものからあんなものまで獲得が可能!?』
『いや、流石にそれはないだろ。一部の装備とし書かれてないんだから』
『えぇ?でもあれとかあれだって装備みたいなものだろ?体を守るためには必要だし』
うん。利益が欲しいんだね!
まあこの人が何を求めてるのか具体的には言ってないから正確なことは言えないけど、さすがにそういうものは宝箱には入れてないよ。すでにダンジョンから放り出されるときに散々な目には合ってるけど、ここで追撃をかけるのはかわいそうだから。
実際、組合の人たちは全員等しくダンジョンから処理されて外に出されたわけだけど、
「結構心にも体にも傷を負ってしまった子が多くて……………」
「あっ。やっぱりそうなんですねぇ。組合の指示に従っただけなのに、かわいそうに……………」
「本当ですよ。指示に従っただけで、あの子たちは何も悪くないのに」
組合の受付の人と話してみると、やっぱり結構傷を負ってる人は多いらしい。
その恨みができるだけダンジョンではなく組合側に行ってほしいところではあるけど……………。
「というか、どうして組合はあんなに関係が悪化するってわかりきったことやっちゃったんですか?」
「さ、さぁ。それは上の判断なので何とも……………ただ噂ですけど、あのダンジョンの高額で開けられる宝箱を独占したかったという話もありますし。そこからの装備とかアイテムがあれば他国に対して優位に立てるということで」
「あぁ。じゃあ、組合というよりも国からの意向が含まれてるってことですか?」
「噂だとそうですねぇ。実際、そこまであり得ない話でもないと思います」
幸運なことに、今のところで回ってる噂としては組合側やその上にいる国が悪いというものが多くなってるらしい。
私のダンジョン側が悪いという者もなくはないみたいだけど、そっちもただ組合とか国が責任を押し付けたいだけって聞こえるような噂の形になってるし、職員さんからの恨みもそこまでダンジョンに向けられることはなさそう。
ただ、ここで噂を確認するだけで終わらないのが私。
これでも少し冒険者をやり始めてから冒険者の知り合いが増えてきて、しかもそうした知り合いは私の知り合いだから、
「ねぇ。聞いた?噂なんだけどさ……………」
なんていう、聞いただけの噂話。
ただ、確実に国か組合側が悪いと思うような物。
そんなものを聞けば、
「……………えぇ!?じゃあ、国とか組合から仕事が来ても気を付けなきゃいけないのか~」
「そうそう。ああ噂だから確実なことは言えないけど、実際被害も出ちゃってるわけだしさぁ。組合の判断が常に正しいわけじゃないってことは確かだし」
「そうだねぇ。教えてくれてありがとぉ。友達にもこの話して良い?注意するように教えてあげないと」
「良いよ。でも、私が言ってたというのは内緒にしてね。職員さんから聞いた話だし、あんまり誰が言ったかって話になると職員さんにも迷惑かかるかもしれないから」
「分かった!」
その話は勝手に広まっていく。
新人であるからこそ気を付けなければいけないことはたくさんあり、その情報の拡散スピードはものすごく早い。
これで間違いなく、一定数を一気に組合及び国に不信感を持たせる側にできるはず。




