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13稼 一般層

『おぉぉ!!!!また綺麗なところが増えてる!!』

『凄いなここ……………こんなフィールドも作れるのかぁ』

『本来ならここって、呼吸とかできないんだろうな……………』


冒険者だけでなく、最近来ている一般人も含めて大勢の人が私のダンジョンに追加したものを楽しんでいる。

今、私が様子を見ているのは新しく追加した水中のフィールドへの転移装置だね。

水中とはいっても本当に水だけにすると呼吸とかができなくて人は死んじゃうから、転移先の周囲はガラスで囲って空気があるようにはしてある。


『ちょ、ちょっと足がすくむんだけど……………』

『分かる。下が透けるの怖いよな。というか、周りも割れないか心配なんだけど』


周囲がガラスで怖がる人もいるけど、此処のガラスは当然普通のガラスではなくダンジョン専用の特殊なガラスだから問題ない。

説明書きによるとドラゴンが全力で暴れまわっても割れないって書いてあったから相当強いと思う。

まあこうして、星空の場所に加えて水中の景色も楽しめるようになったというわけ。

皆きれいな写真を撮ろうと必死になってカメラを色々なところに向けてる。


ちなみに、この水の中で泳いでいるのは残念ながら普通の魚ではなくモンスター。

これもまたガチャで手に入れたモンスターなんだけど、丁度よく水中での活動に適したモンスターがいたから配置してみた。

侵入者に敵対しないように設定してあるからただ泳ぐだけだし中にいる人へそこまで恐怖を与えることはないと思う。



で、当然ながらダンジョンに追加されたのはこれだけではなく、どちらかと言えば私はこっちの方が本命だと思って設置したのが、


『かわいい~』

『プルプルしてる~』

『ひんやり~。気持ちぃ~』


今まではあまり見ることがなかった客層。それが子供。しかし今、このダンジョンは子供の数もそこそこ増えてきている。

その理由は当然、私が新しく設置した、


『スライムさんかわいいねぇ。ほら。ご飯あげようね』

『うん!』


『まさかスライムとの触れ合いができるようになるなんてなぁ~。確かに襲ってこなければかわいいし、触り心地もいいし……………』


スライムとのふれあいコーナーがあるから!

新しく解放した場所では、柵の中にスライムがいてそこに入っていくことでスライムと触れ合いができるように成ってる。こちらのスライムもまた侵入者との敵対を禁止してあるから、危険はほとんどなく触れ合いをすることができる。


そして最初からここは子供を狙って作ったから、なんとダンジョンの入場料は必要だけどこの触れ合いコーナーに子供が入るのにお金はかからない!なんと子供はこのダンジョンに入ってさえすればスライムと好きなだけ遊んでいられるってわけ!


「まあただ子供が無料でもお金は入ってくるんだけどね~。子供向けビジネスって儲かるな~うへへへへっ!」


子供がタダだからと言って、大人は無料だとは言ってない。

子供が触れ合いコーナーに入るなら相手もモンスターだし危険があるかもしれないってことで、保護者もついてくる。そしてそちらには入場料が必要。

しかもそれに加えて、このダンジョンのふれあいコーナーではスライムの餌やりもできる。

そして当然その餌も販売されていて、餌代でも儲かる。


保護者の料金と餌代でかなり儲かるっていうわけだよ!ぐへへへっ!

もちろん、子供連れじゃなくてもスライムと触れ合いたいっていう大人だっているから、そっちでも儲かってるんだけどね。


『ふむふむふむふむ。非常に特殊な体をしていますねぇ。餌の消化はこのようになっているわけですか。消化器官の形もあまりはっきりとは見えませんし……………』


そして当然そんな中には、研究者気質の人もいる。

スライムの体を隅々まで調べて、どういう体の構造をしているのかって解明しようとしてる。ただ、傷つけたりすることを禁止してるから解剖とかまではやらないでくれてるけど。

せいぜい出した液体とかを検体とした採取されたくらいかな。それくらいなら恐らく害はないし放置してる。


「で、研究者って言えばこっちの方も盛り上がってるかな……………」


スライムとの触れ合い以外にも、研究者が喜びそうなものは用意してある。

それが、


『ゴブリンも興味深かったですが、こちらはこちらでなかなか……………』

『これは調査期間の延長が必要そうですねぇ。研究費の追加も組合に要請しなければ!』

『間違いなくこれは研究を加速させる……………ただ、あの今まで見ていたゴブリンたちはどうなったんでしょう。ゴブリンの生態を1年近く観察しておかなければならないというのに!!』


研究職の人たちがよくいる場所。そこに変化を起こしてみた。

それが、双眼鏡。

壁を隔てた先にいるゴブリンの様子を双眼鏡を使うことで観察できるっていう装置だったんだけど、これを変更。新しいスペースを作り、ゴブリンはゴブリンで元の場所で生活してるんだけど双眼鏡で観れる先を変えた。

そこで見ることができるようになったのが、


『犬とはまた違った体の作りですね』

『どうすれば生物はあんな進化の仕方をするのか……………』

『興味深い。非常に興味深いですよコボルトというのは!!』


コボルト。

2足歩行をする犬のような見た目のモンスター。新しくガチャで当てて配置できるようになったそれを、双眼鏡から観察できるようにしてみた。

研究者たちが双眼鏡を使ってくれてるのは安定して利益が出てるし、もっと長引かせたかった。だからこその新モンスターの観察可能化。

ゴブリンだけならあと数か月で大幅に経費が削減されてしまう可能性があったけど、新しいモンスターを出すことにより上から経費が出続けるようにした。


「見える景色も増やしてスライムも増やして観察対象も変更して。これである程度一般客層へのアピールはでき始めたかなぁ」


一時期他のダンジョンの影響で冒険者は減っていたけど、それでもこれまで冒険者の侵入者の割合が多かった。

この国の人口での比率で言えば、圧倒的に一般人の方が多いはずなのに。

だから、これで私のダンジョンはやっと一般的(ダンジョンとしては異常)な比率で人が来るようになったというわけ。

後は、この人数を維持しつつダンジョンが飽きられないように私は経営していく必要が出てくるわけだけど、


「……………まずは、最近来てる人たちにしっかり対策を立てておかないとねぇ」


私はあまり好ましくない侵入者に目を向ける。

ダンジョン内部を映し出すモニターには、私のダンジョンの無料の穴の方に入っていき息絶えている人の姿が映し出されていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] そして当然祖の餌も販売されていて 当然[そ]の餌も
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