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【本編完結】たとえあなたに選ばれなくても  作者: 神宮寺 あおい@受賞&書籍化


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幕間ー知らせー

その日、王都直轄領にある修道院にとある知らせがもたらされた。


噂話好きと言われている婦人は、お祈りと寄付を一緒にしに来たもう一人の婦人とひそやかに囁き合う。


「聞きまして?先日あのディカイオ公爵家に後継者に当たる男児がお産まれになったとか」

「まぁ、そうなの?でもたしかあそこは亡きニコラオス公のお子さまが産まれたばかりでは?もしかしてその子と間違えているのではなくて?」

「それが、産まれたのはルーカス公のお子さまなんですって!婚約者のアリシア伯爵令嬢との間のお子さまみたいよ」

「あらそうなの?まぁまぁ」


おめでたい話ですわねと笑い合う婦人たちは、この修道院にかの噂のルーカス公の義母が身を寄せていることを知らない。


ディカイオ公爵家の名前が聞こえて、偶然祈りの間のそばを通りかかったイレーネは足を止めた。

俗世と切り離された修道院では世間の噂はあまり入ってこないが、慶事や大きな事件などは伝え聞くことがままある。


ディカイオ公爵家のことで次に何か聞くことがあればそれはルーカスとアリシアの結婚だと思っていたイレーネは驚きに目を見開いた。


このタイミングで産まれているということは、あの事件の時すでにアリシアのお腹には子がいたことになる。


イレーネの中でアリシアの印象はどちらかといえば薄い。

そもそもルーカスとのつき合いもそれほど多くなかったこともあり、イレーネが直接アリシアに会ったのは数えるほどだ。

ニコラオスの婚約者のフォティアに比べると華やかさの無い、わりと普通の容姿だった記憶がある。


ルーカスとは相思相愛と聞いていたものの、渦中のルーカスを置いて領地に引きこもってしまっていたからてっきり不仲になったのだとばかり思っていた。


それがまさか身籠っていたなんて。


イレーネが影を使った時にわからなかったことを考えても、上手く隠したとしか言いようがない。


(もしかして、身籠ったから領地に引きこもったのかしら)


もしあの時ルーカスとアリシアの間に子どもができたとわかったら、きっとイレーネはアリシアごとその子どもを亡き者にしようとしただろう。

それをアリシアは気づいていたのだろうか。


今になって考えても仕方のないことではあるが、イレーネは心がざわつくのを抑えられない。


イレーネとフォティアは処罰され、テリオスは後継を外された。

ルーカスとアリシアが結婚していずれ子どもを授かるだろうとは思っていたが、このタイミングでと思うと苦い気持ちが湧き上がる。


結局言えることは。


アリシアはイレーネの想像以上に聡明な女性だったということだ。

読んでいただきありがとうございます。


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