幸運
ソティルに問題のいくつかを相談し、今後の方針を固めたところで二人は一息ついた。
「いろいろと相談にのってもらえて助かりました」
「いえ、大して役に立てているとは思いませんが…」
全てを一気に解決するすべなど無い。
一歩一歩確実に、手落ちのない方法で進めていかなければ。
ルーカスの様子に余裕の無さを感じたのか、ふとソティルが話し始めた。
「僭越ながら、ルーカス殿のことは以前からもう一人の息子のように思っています」
改めての言葉にルーカスは目を見開く。
「妻も子どもたちも同じ気持ちだと思いますよ」
ソティルの微笑みは優しかった。
ルーカスにとってセルジオスよりも身近な大人。
アリシアの兄弟を羨ましく思ったことが無いと言えば嘘になる。
昔は、どれだけ一緒に遊んでいても最後に帰る家が違うことに寂しさを感じた。
わがままを言ってカリス邸に泊まらせてもらったこともある。
母が早くに亡くなり、ルーカスの中で家族といえば思い浮かぶのはカリス家の人々だった。
ニコラオスが顔を出すようになってからは彼もその中に加わったが。
「ありがとうございます」
なんとも言えない温かい気持ちが広がって、ルーカスの胸はむず痒さを感じた。
産まれる場所は選べない。
親も兄弟も、全ては巡り合わせのようなものだ。
そんな中で、ディカイオ公爵家の別荘がカリス伯爵家の領地の隣だったことは、ルーカスにとって何よりもの幸運だったのかもしれない。
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