たとえあなたに選ばれなくても
1枚目の手紙とは違い2枚目に書かれた字は少し乱れていた。
書こうか書くまいか、惑った思いが見てとれる。
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先日ディカイオ邸でフォティア様にお会いしました。
そしてフォティア様から、あなたが私との婚約の解消を望んでいると聞きました。
あなたの心がどこにあるのか、今の私にはわかりません。
ただ、一つだけお伝えしておかなければと思いペンをとりました。
たとえあなたに選ばれなくても、私はちゃんと私の人生を歩んでいきます。
だから心配しないで。
あなたはあなたの心のままに。
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「…カリス伯、アリシアはディカイオ邸でフォティア嬢に会ったことを言っていましたか?」
ルーカスは底冷えするほど冷たい声で問いかけた。
先ほどとは違い感情が振り切ってしまったかのようだ。
顔からは表情が抜け、触れたら切れそうな視線をソティルに向ける。
「いや、あの日アリシアは酷くショックを受けた様子で帰ってきて、その後は寝込んで部屋から出てこなかった。それ以降も、あの日のことは頑なに話してはくれなかったよ」
ルーカスは迷った末ソティルにアリシアからの2枚目の手紙を見せた。
「…なるほど、だからか」
ソティルの言葉にルーカスは問いただすような目でソティルを見やる。
「まさしくアリシアが公爵邸へ訪問した翌日だったよ。イレーネ前公爵夫人から婚約破棄打診書が届いた」
「婚約破棄打診書?」
聞き慣れない言葉にルーカスは問い返す。
「そうだ。正式の依頼書ではなく打診書。今回の場合は当主ではない立場からの書類だから打診書だったんだろう」
ソティルの話を聞いてルーカスの顔がどんどん険しくなった。
「義母上はすでに王城に『婚約破棄依頼書』を出しています」
「なんだって?」
ルーカスの言葉に、今度はソティルが驚く番だった。
「幸い受理はされておらず、ニキアス皇太子殿下預かりになっています」
「そうか…。もはやなりふり構わずということか…」
アリシアからの手紙を丁寧に畳んで封筒にしまうと、ルーカスは顔を上げる。
「必ずアリシアを迎えに行きます。憂いをすべて取り除いて、必ず」
その瞳にもう迷いはなかった。
最初に考えていた話から少し変更になったのでここでタイトルの回収となりました。(話はまだ続きます)
へたれルーカスとしっかり者のアリシア。(思わずタグにへたれを入れちゃった…)
スパダリへの道は遠いです…。
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