訪問
数ヶ月ぶりにルーカスに会える、そう想うとアリシアは鼓動が高鳴るのを抑えきれなかった。
ここのところなかったほど気分が高揚していて出かける支度にも熱が入る。
父が出した先触れに対して返事が無かったのは気がかりだったが、そのことが気にならないくらいにはルーカスのことで頭がいっぱいだった。
「変じゃないかしら?」
久しぶりのおしゃれにその場でくるりと周りながら問えば、タラッサは微笑ましそうに答える。
「今日はいつにもまして可愛らしく装われてますよ」
護衛騎士にまで温かい目で見守られて、アリシアは自身の振る舞いに恥ずかしさを覚えた。
父はアリシアのことがよほど心配だったらしい。
いつもなら街に出る時も護衛騎士は一人なのに今日は二人もつき添うという。
しかも今後のことを考えてもっと頼りになる専属護衛騎士を再度選出するというのだ。
やりすぎでは?と思わないでもないが、アリシアは父のその気持ちが嬉しかった。
どれだけ確認しても満足はできなかったが、訪問するための時間も考えてある程度のところで支度を切り上げる。
乗り込んだ馬車はクッションが用意されており、少しでも居心地の良い移動になるように考えられていた。
ディカイオ公爵邸に着くまで、アリシアはルーカスに懐妊のことをどう話そうかあれこれ思い悩んだ。
話したいことがいっぱいある。
時間がいくらあっても足りないくらいに。
久しぶりに会える喜びだけに満たされていたから、心が打ち砕かれるようなことが待ち構えているなんて思ってもみなかった。
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