表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/154

異変

結婚式に出席して以降、アリシアは以前にもましてふさぎ込むことが増えた。


周りに心配をかけていることはわかっていたが、アリシア自身も自分の心をコントロールすることができない。


数日前に出したアリシアの手紙にルーカスはすぐに返事を返してくれた。

アリシアとしてはかなりの勇気を振り絞って書いた『会いたい』という言葉にルーカスがどういう返事をしてくれたのか。


どきどきしながら開けた手紙には、アリシアの希望を叶える言葉は無かった。


『アリシアに会いたい。とても会いたいが、今はどうしても時間を取ることが難しい。会える時間ができたらすぐに連絡する』


簡単に言ってしまえばそういった内容だった。


ルーカスがフォティアと出かけていることを知らなければ仕方ないと思えたかもしれない。

しかしアリシアだけでなく他のご令嬢の目にも触れるくらい彼らが一緒に出かけていると思うと、アリシアの心は穏やかではいられなかった。


気になるならルーカスに聞けばいいのに。


そうは思っても行動に移すのは難しい。

なによりルーカスの気持ちを疑っているのだと思われたくなかったから。


自分の中で悩んでいるだけでは解決しない問題だとわかっていても、その一歩が踏み出せそうになかった。


気持ちが晴れないせいか気分まで悪くなってきたように感じ、アリシアは珍しくも昼間からベッドで休んでいる。


「お嬢様」


タラッサの呼びかけに視線を向ければ心配そうな顔が目に入った。


「体調がすぐれないようであれば一度お医者様に診ていただいた方が良いのではないでしょうか」


たかだか数日気分や体調がすぐれなくて休んでいるだけで毎回医者を呼ぶわけにはいかない。

アリシアの気乗りしない気持ちが伝わったのか、タラッサは「それなら…」と続ける。


「それなら、明日になっても良くならなかったら旦那様にお伝えします」

「お父様に伝えるほどではないわ」

「いいえ。今までお嬢様がはっきりとした病気でもなくこんなに長い間体調不良になることはありませんでしたから、今回はご報告すべきことだと思います」


専属侍女であり、また、アリシアが小さい頃から仕えてくれているタラッサの言葉にアリシアは嫌とは言えなかった。


(少し疲れただけだと思うのに。休んでいればきっと良くなるはずだわ)


そう思ったアリシアはその後ずっと身体を休ませていたが、結局翌日になっても体調は回復しないままだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ