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番外編 その後の二人<ルーカス公噂される>

「この間ルーカス公が訓練に参加された時お前いなかったよな?」

「ああ。何かあったのか?」


いつもの訓練後、帰宅までの一時に騎士同士が世間話をするのはよくあることだ。

第1騎士団の訓練場の片隅で数人の騎士が集まっていることも珍しくはない。


「最近ルーカス公の雰囲気が柔らかくなって話しやすくなったとは聞いていたが…突然声をかけられたんだよ」

「ルーカス公にか?」

「乳児とは何をして遊ぶのか聞かれた」

「なんだって!?」


周囲の騎士がざわつく。


「あのルーカス公が?いや、それよりも一騎士団員の家族構成なんて知ってるのか?」


質問された件の騎士は一年ほど前に子どもが産まれたばかりだった。


「まさか全団員の家族構成まで把握してるんじゃないだろうな?」

「わからない。ルーカス公ならあり得そうな気もするし、さすがに無理な気もするし…」


戸惑う騎士たちの中で、また別の騎士が話し出した。


「それを言うなら俺はこの前、王都の目抜き通りにある子ども用のおもちゃを売っている店でルーカス公に声をかけられたんだが…」

「はぁ!?」


先ほどとは別の団員の言葉に、周囲のざわめきがさらに大きくなった。


「どのおもちゃがおすすめか聞かれたんだよ」

そういう騎士もまた、先ほどの騎士と同様一年ほど前に子どもが産まれている。


「いやいや、公爵家ともなれば店の者を家に呼んで買い物するんじゃないのか?」

「そうだよな。まさか店にルーカス公自身が来るなんて思わないよな?」


一人の言葉に周囲が賛同する中、先ほどの騎士はなんとも言えない表情を浮かべた。


「俺もびっくりしたんだが…。なんでも、公爵家に店の者を呼ぶと店側が売りたい物しか持ってこないみたいで…。他にはどんなおもちゃがあるのか気になって直接見に来たと言っていたぞ」


周囲が驚きに目を丸くする中で別の一人の騎士が問いかける。


「で、お前は何と答えたんだ?」

「いや、突然でびっくりしたこともあって、ちょうど買おうと思って手に取っていたおもちゃをそのまま薦めてしまったんだ」

「で?で?ルーカス公はどうしたんだ?」

「それが、同じおもちゃを買って帰られた」


「まじか」

「驚きだな」


あのルーカス・ディカイオ公爵が下位貴族が買い物するのと同じような店でおもちゃを買う。


「居合わせた周囲の奴らに同情するよ」

「だな。俺だったら驚いて二度見はする」


「まぁでも、それだけ子どもが可愛いってことじゃないか?」

「そうだな。アリシア夫人との子どもはそろそろ一歳か?」

「たしかそれくらいだな」

「おお!お前ら子どもが同級生だな。もしかすると学園で一緒になるんじゃないか?」


ルーカスに話しかけられた騎士たちはそれぞれ子爵家と男爵家の出だ。


「いやいや、たとえ学園で一緒になったとしても雲の上だろ?」

「名目上学園では身分の上下は不問とはいえ、なぁ?」


そうだそうだと頷き合う騎士の中で、一人がポツリとこぼす。


「まぁでも、幸せそうでなりよりだよな」


その言葉に、騒がしく話していた騎士たちは一様に頷いた。

読んでいただきありがとうございます。


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