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番外編 剣術大会<15>

剣術大会の優勝者にはオリーブ冠が授与され、副賞として賞金と祝福が与えられる。

かつては副賞に剣が授けられていたこともあったが、同じ者が優勝する場合のことを考えて見直された経緯があった。


また、祝福は決まった形があるわけではなくその時々で望まれかたは違う。


ある者は想い人に想いを告げ、またある者は自身の主に忠誠を捧げる。


たとえ優勝者の望みが叶わなかった場合でも祝福を望まれた者は心から言祝ぐことを求められた。

いずれにせよ祝福を望まれることは名誉であり、求められれば多くの人は喜んでその役割を引き受ける。


大会優勝者へオリーブ冠を授与するのは王族の務めだ。


今回はニキアスがその役目を引き受けている。


「大会に参加する意義は見つけられたか?」

ルーカスにオリーブ冠を授けながら、ニキアスはそう問いかけた。


「ニキアス殿下が思うものと同じかはわかりませんが、私なりの意義は見つけられたと思います」

意味のある大会だったと、半ば強制的に参加させられたルーカスはそう答えた。


「そうか。それなら良かった」

「自分のいたらなさも実感しましたし、今後に活かしたいと思います」

「相変わらずルーカス公は真面目だな」


そう言うと、ニキアスは会場内を埋め尽くす観客に向かって手を上げる。


「さて。お待ちかねの祝福の時間だぞ」

ルーカスに向かって小声で告げてニキアスは表彰台脇に設置された王族用の椅子に戻った。


「それでは、優勝者であるルーカス・ディカイオ公爵に祝福を授与します」

司会進行役の騎士の言葉に会場内がさらに盛り上がる。


「ディカイオ公爵夫人、こちらに」


呼ばれてアリシアが壇上に姿を見せた。

公に二人が一緒になるのは結婚式以来となる。


観客席では少しでも二人の姿を見ようと身を乗り出す者が絶えなかった。


「剣術大会優勝者、ルーカス・ディカイオ公爵へ祝福を」

司会の言葉に促されてルーカスはアリシアを見上げた。


思えばこうやってアリシアを見上げるのは温室で求婚した時以来だろうか。


「アリシア、いつもそばにいてくれてありがとう。今日の優勝を、そして私の愛と忠誠をこれからもずっと君に捧げよう。変わらず一緒にいてくれること、それを祝福として望む」


「あなたの望むままに」


そう答えてアリシアは跪くルーカスの額にそっと口づけた。


こうして、王家主催の剣術大会は幕を閉じた。







黒雷と呼ばれたルーカス・ディカイオ公爵が初めて参加した剣術大会は、ルーカス公の圧倒的な強さと愛妻へ向けた華やかな笑顔と共に語り継がれた。


常日頃無表情を貫く公爵の笑顔を周囲は驚きをもって受け止めたが、彼の笑顔が向けられるのはただ一人だけ。


たった一人の最愛、その姿勢は多くの令嬢たちの憧れをよび、そして多くの男たちの意識を変えた。


数多の作品の中から読んでいただきありがとうございます。


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