表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/154

番外編 剣術大会<12>

結果として、剣術大会は大盛況のうちに幕を閉じた。

観客は会場のあちこちで感想を言い合っている。


この後表彰式が行われるわけだが、観客の関心はルーカス公が祝福をどうするかということだった。

会場にはアリシア夫人の姿があったため公爵は当然夫人に祝福を望むのだろうとおおよその者たちが予想している。


しかしあの無表情の公爵がどんな顔で夫人に言葉をかけるのだろう。


多くの者たちの関心はその一点に尽きた。

なぜなら彼らはルーカスとアリシアが一緒にいる姿を今までほとんど見ていないからだった。


ルーカス公は公務もあり王城などで姿を見られることも多いものの、アリシア夫人に関しては産後であること、今まで多くの時間を領地で過ごしていたこともあり見かけること自体が少ない。


ましてや今まで公の場で二人一緒の姿となると結婚式くらいだろうか。

その結婚式も参加した人数には限りがあったため、やはり多くの者たちは目にすることはできなかった。


お昼の休憩時間に王族観覧席近くで見られたというルーカスとアリシアの姿。

特に、ルーカス公が微笑んだという真偽を確かめたい、そう思うものが多くいたのは仕方のないことなのかもしれなった。


貴族だけでなく、平民であろうとも、貴重な姿は見たいものである。


大会の賞はいくつか決められている。

まずは優勝者、次に2位、3位、更には今年初めて参加した者の中から選ばれる新人賞、そして審査員特別賞がある。

どの賞でも選ばれれば話題となり、今後どこかで職を求めるにしても自分の実力の証明になる。


自身の実力的に優勝は狙えずとも新人であれば新人賞を、それ以外であれば審査員特別賞を狙うことは可能なため、この剣術大会は人気が高かった。


尚、優勝者と2位、3位に選ばれた者は新人賞と審査員特別賞の対象者からは除外される。


試合後の興奮を残したまま、アリーナに即席の表彰の場が設置された。

司会役の騎士が進み出てきたところで観客のざわめきはぴたりと止む。


「ただ今より表彰式を始めます。各賞の対象者は呼ばれたら前に出るように」

通る声が淀みなく告げていく。


「新人賞ーーー」


呼ばれたのは今年第3騎士団に入団した新人だった。

出身は平民ということもあり、観客の中でも平民の多く観戦していた観覧席から大きな歓声が上がる。


立身出世を願う平民にとって、夢のある授賞だった。


「審査員特別賞ーーー」


呼ばれたのは近衛騎士団の中でも古株の騎士だった。

騎士の仕事は時に激務でもあり怪我がつきものだ。

多くの騎士たちが怪我やさまざまな理由で辞めることの多い中、長年勤めている者は少ない。


そもそも、参加者の多くは若手だ。

年齢が上がれば上がるほど実力が落ちていくこともあり、古株が参加すること自体が稀だった。


その中でも彼は日々鍛錬を欠かさず、また周囲への気遣いも優れた人物として知られている。

性格は寡黙だが部下にも慕われている騎士だ。


そのせいか、先ほどとは逆に今度は騎士の多く集まる観覧席から大きな歓声が上がった。


あと残すは優勝者と2位、3位の表彰だ。

準決勝戦の後に敗れた者同士の3位決定戦も行われており、上位3人に関してはもうすでに誰が授賞するのかはわかっている。


3位は第3騎士団に所属する男爵家出身の騎士。

2位は第1騎士団に所属するブライトン副団長。

そして優勝者は、軍部を統括するルーカス・ディカイオ公爵だ。

読んでいただきありがとうございます。


少しでも続きが気になりましたら、ブックマーク登録や評価などしていただけるととても励みになります。


よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ