第八刻 旅立ちの日 王都
「良し、今日のノルマ終了!」
あれから三年の月日が流れた。
俺も18歳、成人の年齢だ。
傷もすっかり良くなり、幸い後遺症も無くこの通り身体を鍛えることも出来ている。
(次は魔法の訓練だな。)
そんな事を考えていると遠くから母の声がきこえてくる。
「セス!そろそろ昼ご飯よ!」
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...
あの事件から村は変わった、エヴァンが王都へ連れて行かれ勇者だと認められた。
数百年ぶりの勇者の出現に国は湧き、勇者誕生の村としてマリンズ村は村おこしまで始める始末だ。
勇者の活躍は毎日の様に国からの広報で各所に伝わる。
「見たかい?エヴァンが魔族の幹部を退けたってよ!この前まであーんなにちっこくて可愛かったエヴァンが…」
「知ってるよ、またやったんだろ?凄いよな。」
素直に誇らしかった、兄弟のように育った友が勇者として国を守っている。
でも何故だろう、今のエヴァンには何か別のものを感じてしまう。
この違和感はエヴァンと別れた時からあった、何かは分からない。
村の皆に話しても何も変わらないいつものエヴァンだと、友達に嫉妬してるのか?と言われただけだった。
感じているのは俺だけ、確かめたい。
「母さん、軍に行こうと思う。」
決めていた、成人したら軍へ志願する。
エヴァンはもう遠い人だ、友達だからと簡単には会わせてくれる立場ではない。
それならば、自分も対等に話せる立場まで昇るしかない、貴族でもない人間に目指す選択は一つだ。
「父さんみたいに将軍になるよ。」
母はいつもの優しい表情では無かった。
「本気かい?」
母も元軍人だ厳しさ、危険全てを知っている。
「勿論、将軍になってやらないと行けない事が出来たんだ。」
覚悟は出来ていた。
俺の真剣な顔を見て母は笑った。
「やっぱり私達の子だね。でもその目標簡単じゃないよ。」
平民の出でコネも無い、戦果を挙げることでしか上には昇れないことは理解している。
「うん、でもエヴァンを一人に出来ないからな。」
俺がおかしいのか、世界がおかしいのか。
確かめたい、この違和感を。
読んで頂きありがとうございます。
毎日2〜3話投稿出来るように頑張ります!
初投稿なので右も左も分かっておりません。
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