第七十九刻 魔族激突 傷痕
守れなかった。
思ってたよりも強く、順調に成長する彼を見て大丈夫だろうと油断した。
ウェルスは悪くない、敵に違和感を感じながら何もしなかった私が悪い…。
カトレアは机に拳を叩きつけ、歯を食いしばる。
「隊長…すみません、私は…私は…」
…
……
………
「よう、ここに居たか。」
「先輩…」
ウェルスは振り返る、声の主はギースだ。
「誰のせいでもねぇ、戦いは…そういうもんだ。」
私は知っている、彼が何を言いたいのか。
兵舎の屋上、人が来なくゆっくり考え事が出来るこの場所で私は時折物思いに耽る。
「すみません、それでも…」
ウェルスの握る拳が震える、手に握られた軍報はくしゃくしゃに潰されていた。
「お前、可愛がってたもんな…」
…
……
………
「お疲れ様です!すみません、今日もここお借りします!」
「おう、今日も来たのかい?」
先の戦いから毎日彼女は来ている、今日で二週間だ。
「先輩、あの子今日も来てるんですか?そろそろ…」
他の守衛が男に耳打ちをしている。
「やめろ、そっとしておいてやれ」
顎で壁に貼られた軍報を差す。
大きく書かれた見出しには魔族襲撃に関して書かれていた。
【魔族襲撃、尊い一人の犠牲。】
…
……
………
城門の見張台、ここが外の様子が一番よく見える。
「どこ行っちゃったのセス君…」
戦いの後、隊長から皆に報告があった。
「セス君が魔族と共に消えた。」
隊長は淡々と話した、内容は覚えてない。
ギースさんはウェルスさんの胸ぐらを掴んで怒っていた。
ウェルスさんは下を向いて黙っていた。
他のみんなも黙っていた、泣いてる人もいた。
「皆待ってるよ…」
何も居ない場外を見てレインは呟く。
「知ってる?隊長凄い荒れてね、部屋なんてグチャグチャ。
ウェルスさんなんて自主訓練しながら泣いてたん
だよ、あの冷静なウェルスさんがだよ?」
誰に言うわけでもない独り言。
「私は認めない、セス君が死ぬはずない。」
初めての会った時親切にしてくれたこと。
入隊試験であんなに凄かったこと。
訓練で挫けそうな私を励ましてくれたこと。
一緒に出掛けて褒めてくれたこと。
レインの中に今までの思い出が蘇る、気付かぬ内に頬には涙が伝っていた。
「私、好きだったんだななぁ…」
隊長にからかわれあまり考えないようにしてたこと、同期だから、仲間だから。
「嬢ちゃん!嬢ちゃんあれ!」
守衛が慌てた様子で肩を叩く。
(泣いてたとこ見られたかな、恥ずかしい…)
「ど、どうしましたか!?」
「あれ、あそこ歩いてきてるあれ!」
守衛の指差す方を見る。
腰に携えた皆より細い剣、ちょっと乱れた茶色い髪。
普段はかっこいいのに笑うと少し可愛い私の好きな人。
私の足はもう走り出していた。
読んで頂きありがとうございます。
毎日2〜3話投稿出来るように頑張ります!
初投稿なので右も左も分かっておりません。
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