第七刻 旅立ちの日 選択
「それはね…」
女が語った選択はこうだ。
1.俺の魂も身体も死ぬ
こうなるとセスも当然死ぬ。
2.身体は助けて魂を魂宮と呼ばれる迷宮の最深部に閉じ込める。
その間の身体には別世界で死んだ人間の魂を入れてエヴァンとして引き継いで生きてもらう。
「別世界の人間ってのはどんなヤツなんだ?それに俺として生きるっていっても記憶はどうする?」
彼女に問う。
極悪人が入るのであれば気持ちの良いものではない。
「そこは安心して、不慮の事故、病気そういった未練が残ってそうな人への救済ってやつよ。悪人はそもそも権利が無いわ。記憶だって貴方のものを引き継いでいるの。」
続けて彼女は言った。
「あえて言うなら転生ってやつね、しかも私達の加護付よ。貴方達の世界での勇者になれるくらいの。」
少し安心した。少しでも良い形で俺の身体が使われる事が分かったから。
それでも…
「やっぱり寂しいもんだな、俺が無くなるってのは」
つい漏れてしまった、セスが助かり別世界の誰かも救われる。
二人も助けれたのは勿論嬉しいけど、未練がないと言ったら嘘だ。
「もし…」
彼女は笑う。
「入れ替わった貴方を見分けて、魂宮の最深部に辿り着く事ができる人間がいれば…っと話しすぎたわねそろそろお迎えよ」
背中に感じる暗闇、振り返れば最深部に一直線だろう。
「最後に一つ聞いてもいいか?」
「なにかしら?」
「あなたがその神様ってヤツなのか?想像よりも大分美人で気になってさ。」
彼女はまた笑う。
「貴方こんな時に口説くなんて色男ね、お姉さん気分がいいから教えてあげる。私は神様とも悪魔とも呼ばれるわ、人間って都合のいい方向からしか見ないじゃない?私は別にどっちでも良いんだけど。」
やはり、人ではない存在だったか。
こんな意味不明な提案をしてくる位だ神様だと聞ければ納得する。
「そうか、ありがとう。長い昼寝になりそうだから最後に美人が見れてよかったよ。」
喜びとも悲しみともとれない表情を浮かべる彼女。
「おやすみなさいエヴァン、せめて神の御加護のあらんことを。」
暗闇へと歩く背中に小さく聞こえた気がした。
「セス、今度はお前が俺を起こしてくれよな。」
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「ようこそ〇〇様、とっても不運なことに貴方は死んでしまいました、でも安心して下さい可哀想な魂にやり直しのチャンスが与えられます!」
(本当嫌な仕事だわ)
読んで頂きありがとうございます。
毎日2〜3話投稿出来るように頑張ります!
初投稿なので右も左も分かっておりません。
宜しければ素直な評価お願いします。
ブックマーク等頂ければ次の話を投稿するパワーになります。
是非お待ちしてます!