第五刻 旅立ちの日 神紋
二度目の目覚めからは流れるように事が進んでいった。
俺の身体は肋骨の骨折、骨折による内臓損傷、頭部強打での記憶障害など中々に大怪我をしてしまっていた。
全治半年。それが今回の結果だった。
気になっていた原因はヘルヴァイパーの仕業だ。
『ヘルヴァイパー』
全長5mを超える大蛇、光を吸収して周囲の風景に身体の色を変化させ溶け込む。
尻尾の先端は棘になっており、鉄の鎧程度であれば貫通する。
人里近くに現れることが無い魔物。
何故あの時あの森に居たのかは不明だった。
エヴァンが貫かれた様に見えた姿は夢ではなかった、エヴァン自身の証言だが貫かれもうダメだと諦めかけた時に声が聞こえ気が付いたときにはヘルヴァイパーの死体が横たわっていたと。
胸の傷も無く代わりに紋章の様な痣が浮かんでいた。
-神紋-
昔話でしか聞いたことのない話だが、俺たちが住むこの世で魔族との大きな戦争があった。
その時に人間達を率いた勇者は、胸に神紋と呼ばれる痣を持ち神の声を聞くことが出来たと言われている。
エヴァンにも同様の現象が起きたのではないかと国王直属の軍が迎えに来て王都へ連れて行かれた。
「勇者になったみたいだ、ちょっと行ってくる」
「必ず追いつく、相棒が必要だろ?」
精一杯の強がり、それが最後に交わした言葉だった。
多少魔法が使えるようになって調子に乗っていた。
こんな意味不明の事が起きなかったら二人共確実に死んでいた。
「俺は、弱すぎる……」
悔しさに血が滲んだ。
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