第四十六刻 新人戦 安堵
「新人戦優勝!第六対魔師団、セス!前へ!」
俺は表彰台へ登った、両側は誰もいない。
準優勝のアンドレ、三位のレインは両名とも医療室で処置を受けている。
「今回は…………」
委員会が何か話しているが正直頭に入ってこない。
虚ろなまま手を上げ作り笑顔で周りに手を振る。
レインは大丈夫だろうか、それにアンドレも…
「これにて本年度の新人戦を終了とする!」
「やったな、セス!」
遠くからギースの声が聞こえてきた。
「先輩、ちょっとこれお願いします!」
ギースに優勝の証である金の盾を渡し駆け出した。
「セス、ちょっと待てお前!」
本場へ向う通路を抜けた先、医務室。
急いでいたこともありバンッと大きな音をたてる。
勢いよく扉が開き、医療班達がすこし飛び跳ねるのが見えた。
「ここは医務室です、静かに!」
医療班の一人が小声で指を立て口の前にあてる。
「す、すみません。六対のレインは…?」
「こちらです、彼女ですが…」
彼女の声が止まる。
まさか、何かあったのか、そりゃ多少の傷はあったがそこまででは…レイン…レイン。
身体強化よりもずっと速くなる鼓動、扉を開ける手の震えが止まらない。
「レイン!」
「ふぇっ!?」
パンを咥えて驚き顔のレイン。
「彼女起きてからずっとあの様子で、疲れるとお腹が空くって言って…」
腕を組みため息混じりに話す医療班の女性。
「無事、だったんだ。」
「うん、ごめん恥ずかしいところを…ってなんで変な
方向向いてるの?」
レインの顔を見ることができなかった。
俺の目に溜まるこれを見られたくなかった。
たかが新人戦、医療班も居て安全性も確保されてる。
それでも、仲間への死を考えてしまった。
(考えるだけでこんなにも辛いのか…)
「…それよりセス君凄いね!優勝しちゃうなんて!」
何か察したのだろう、レインは慌てて話題を変える。
「あ、あぁ…ありがとう」
「お互いに頑張ってたの知ってるからやっぱり嬉しいね!でも…決勝戦はまた今度におあずけだね!」
いつものように笑うレイン。
あぁ駄目だ、必死にせき止めていたものが溢れる。
「優勝よりも…レインが無事だった方が…嬉しいよ…」
「そんな大袈裟な〜って、セス君!?な、なんで泣いてるの!?」
彼女は慌ててタオルを渡す。
あぁ恥ずかしい…。穴があったら入りたい…。
でも本当によかった。
…
……
………
お互いに落ち着き、今回の大会を振り返っていた。
「お邪魔するよレイン君。」
「あ!ロックス先生!」
ロックスが入室する、彼女を心配して見に来たようだ。
「無事なようで安心したよ。
見させてもらったよ準決勝、とても訓練したんだね。」
ロックスは優しく笑う。
「そ、そんな!?先生に褒めてもらえるなんて!」
「風魔法も取得して戦いの幅も広がったろう?
訓練は裏切らない、今後も頑張って欲しい。」
「ありがとうございます!今度魔法聞きに言ってもいいですか?」
「ハハッ、いつでも歓迎だよ。でもまずは怪我を治す
ことに専念してね。」
ロックスはこちらに視線を向ける。
「セス君、少しいいかね?
すまないレイン君、彼を少し借りるよ。」
ロックスに促され部屋を出る。
無属性魔法の事だろうか?それとも別の?
俺は訳も分からないまま彼の後を追う。
少し歩いた扉の前で彼は足を止める。
コンコン、と二回扉を叩き彼は扉を開けた。
「入るぞアンドレ。」
読んで頂きありがとうございます。
毎日2〜3話投稿出来るように頑張ります!
初投稿なので右も左も分かっておりません。
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