プロローグ
「ようエヴァン、何だよその姿。お前のほうがよっぽど魔王だぞ。」
身体が震える、恐怖か武者震いか。
天賦の才はなかった、だから鍛錬を続けて、続けて少しでも目の前のそれに手が届くように、近付けるようにと努力した。
「セス、結局お前だけだよ、俺のことを疑い続けたのは。」
勇者と呼ばれたその男の姿は血に染まり、とても世界の寵愛を受けた身とは思えない。
「四国戦争も魔族進軍も全部俺の功績だ、国王陛下も姫も村のみんなも、父や母ですら疑わなかったのに何故セス、お前だけが分かった?」
男は不思議そうに問う。
見た目も声もすべて親友の姿のはずだった。
それでもあの時から彼の中には彼でない何かがいると感じていた。
「教えてやるよ、お前は_____」
「ハハッ、たったそれだけでか?でもお前は辿り着いたんだな、やっぱり何処かで死んでもらうべきだったな。」
男は呆れたように笑う。
「そうだ、だからエヴァン本当のお前を連れて家に帰る、村のみんなとゆっくり農業でもやって暮らそうぜ。俺達みたいな田舎者にはそれがお似合いだ。」
「お前はずっとそれしか言わないな、もう終わりにしよう。軍には勇敢に戦って死んだと報告しておいてやる。」
男の顔から笑みが消える、何処か寂しそうに見える表情。
お互いに剣を握り直す、その刹那交わる剣、飛び散る火花。辺りは光に包まれる。
読んで頂きありがとうございます。
毎日2〜3話投稿出来るように頑張ります!
初投稿なので右も左も分かっておりません。
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