story8.あるはずのない道
story8.あるはずのない道
:登場人物:
・ローイズ・ブルッシェル
・アルジェ・ペルギール
・七奈月 鏡花
・レオン,ユリア&アベル,シェミリー
「だけどどうする?流石にあんな小さい子達に剣とか振るえないでしょ?」
「そうだな…どうしたものか…」
「私達が飛び出した瞬間また攻撃して来るのは確定…混乱させちゃうか」
「あれか……じゃぁ1……2……3!」
「出て来ましたか…僕達を怒らせた事後悔させます!サンダーボルト!」
「シャドーアロー!」
「「!?…」」
「代術…なるほど僕達を混乱させる気ですね。」
「つまり隠れてタイミング見計らってるって事だね。そうはいかないから…スイートフラワー」
『なっ!』
『スイートフラワーは甘い花の香りで相手を引き寄せる裏方向きの特殊魔法、取得するには裏方向きの魔法であろうと実力があってこその練習が必要……相当な実力派のようね!』
「ふふっ…さぁお姉さん達出ておいで」
『そう簡単に出て行かないわ』
「出てこない気なんだ…でも早めに降参したらどう?僕達多分お姉さん達より強いと思うよ」
「ふふっ…」
『あらそう言うのはお互い本気で戦って強さが分かるのよ。』
そうローイズが発言した途端辺りが霧に覆われて行く
「…何かと思えば霧で私達の反応力を鈍らし攻撃を仕掛ける気ですか?」
「無駄な足掻きだよ、アベル」
「シェミリー」
2人がパートナーの名前を呼んだ途端、猛獣アベルは大きく息を吸い一気に吐き出し霧を一定方向に集める妖精シェミリーはアベルの息を吹き出した方向の空中を飛び円を書くように飛び回り風を巻き起こした。
連携プレーにより見事に霧は全てシェミリーの巻き起こした風の中に消されユリアの言った通り物陰から出て来て攻撃を仕掛けようとしていた2人の姿が現れた
「霧の利用法までも見破られた…?!」
「思ってたよりやるな、幼いのに頭が回るヤツだ…」
「ふふっ…お褒め頂きありがとうございます。」
「褒め言葉ありがとうございます。だけど僕達を怒らせたお兄さんに」
「「褒められたくないね!!!」」
「っ……バレたならこのまま見えた状態で攻撃を仕掛けてあげる!」
ーーーーーーーー
そして2時間後・・・
激戦の末ギリギリの所でローイズ、アルジェが勝ち兄妹達に近づく
「ねぇ…貴方達まだ幼いのに凄いね…瞬時の判断力適応力…何もかも優れてる。このままこんな森に閉じ込めておくのは勿体ないよ。実際レオンくんの言葉通り私達より強かったからね。ここで出会ったのも何かの縁かもしれない…私の家は弟のペットでスペースそんななくて貴方達のパートナーを置ける場所がないんだけど、ルジェの家はガラガラと言う程空いてるから森から出てルジェの家に住まない?」
「なっ!!何を勝手に!」
「うるさい!元はと言えばこんな長期戦になったのはルジェの一言のせい!責任は取るべき!!」
「っ…」
「ね?どう?」
「で……でも…パパママと一緒に居た家を出たくない……」
「何も無くなった僕達に残されてるのは父さん母さんと過ごした家と…パートナーだけなんだ…1つでも離れる訳にはいかないんだ……」
「でもね。御両親が居ないって事はその家は家賃とか電気とか水道とか払えてないんじゃ…」
「確かに僕達には荷が重くって払えてない…払えてないよ!だけど1度も請求が…催促が来た事ないんだ…父さん母さんが居た時は1ヶ月払えなかったらお兄さん達が来ていつまでに払ってくださいって、家来てたのに紙だって来てた……なのに払えてないのに止まった事だってないんだ。払おうと思って思考巡らすけどやっぱり方法は働くしかない…だけど僕達の年齢じゃ働けないし、だからと言って親戚も居ない…」
「……それはきっと幼い子供達だけになったから催促出来なくなったんだよ。お父さんお母さんは大人だからお兄さん達は容赦なく催促してたけどレオンくん達は子供、小さい子達に無理矢理働かせてお金を搾り取る程その会社の人達は鬼じゃないって事。確かに払えてないのは悪い事、でも小さいのに「払わなきゃ」と言う意志を持ってどうしようか考えてるのはとても良い事だと思う。」
「良い…事?」
「そう良い事だと私は思う。だけどやっぱり払えない…そんな結果しか出ない、その会社の人達だってお家に何かを提供してその提供した分お家の人からお金をもらう、そうじゃないと無償で提供してるってなっちゃうからね。でもレオンくん達が使った分がチャラになった訳じゃない。そこでその滞在した分は私が払う、家の引っ越しもしてあげる。」
「!……ありがとうございます…だけど家の他のもう1つ引っ越しして欲しいものが…」
「えっと…まずあの、ありがとう……ございます。もう1つ…パパママのお墓も…一緒に!場所変えちゃうのはいけないかもしれないけど…もしこのまま私達が移動してパパママのお墓は移動しなかったら……壊されたりしちゃうから…それに例えお墓だとしても…中にはパパママが入ってるから…離れたくない…」
「良いよ。じゃぁ決定だね。」
「「!」」
そう言った途端兄妹の顔が明るくなる。お互い手を合わせて「やったね!」「良かった!」と言う姿は子供の無邪気な姿そのものであった
そしてその後ろでパートナーは安堵している、「それ程嬉しい事なんだろうな…」と思う、いざ実行しようとした時アルジェがまた口を開き反対してくる
「俺は良いなんて一言も」
「だからうるさい!例えルジェが許可しなくてもおじ様おば様がお許しになるの!それだけで決定するんだから、責任は取るべきだよ?」
「っ……分かったよ…」
「あの〜……すみません…えっと、ここ来る前に数箇所道がありましたが…最初の道の方で看板のある場所がありました…あれってなんですか?」
「そうだ!レオンくん達あの看板の道は何?」
「まぁ気になってはいたな…進めば進む程看板か森が動いて遠ざけられるんだからな」
「ユリア看板なんて僕達付けたか……?」
「いいえお兄様、私達は6つしか道を作っておりませんし、その内5つは罠の道残りはこの道です。」
「いや道は計7つあったが」
「シェミリーもう1つ道作った?」
「い、いえ!ご存知の通り私一人では道を作れません…!5つの道は私とアベルくんで作ったので2人作業ではないと…確か穴掘りも道作りも2人でやりましたものね?」
「バウバウ!」
シェミリーの言葉で猛獣のアベルが「うんうん」と言った様な声を出し2回程頷く
「アベルもシェミリーも僕達に黙って違う行動を計画外で取る性格じゃない。」
「それにこの森は動きません。物も動くって言うのはありえない事です…」
「それじゃぁなんだったんだろう…あれ…」
「…1つ限られるのはこの子達の計画を上手く利用してる者が居るって訳だ。1つ質問した時にこの子は37と答えた。」
「確かに何人襲ったと言う質問で少ないなとは思った……ルジェの言葉があったからね…」
「最初俺達は形跡を見て「襲った」ではなく「食った」と思っていた。だがそこで女の子の口からこの子のパートナーが「襲った」と発言、それに37は少な過ぎて俺達の見た形跡の数とは天と地の差。流石にそれだったら本当におかしい辻褄の合わない出来事だ」
「そうですよね……私達の見た形跡では服の切れ端や血が沢山付いた服…襲ったにしては重い怪我です。」
「それで思ったのがこの森は98%抜け出す事が不可能と言われていた。もしその2%がこの子達に襲われた人が抜け出して来たとすると……後98%はその看板の道が物語ってる。」
「……そっか!ここの森は明るい日中でも暗い。だけどあの看板の道は奥に明るい光があった。その為多くの人達が光の何らかの力によってみるみる看板の道へ引き寄せられる様に入って行った…その人数の%が98%…」
「その可能性が高い。上手く利用してこの子達に殺人の罪を擦り付ける気でいる人食いバケモンが居るって事だな…」
次回へつづく・・・