story3.案内人
story3.案内人
:登場人物:
・七奈月 鏡花
・ルル
(し…使用人さんだよね!ゆっくり振り返ろう…見知らぬ地だからすっっっっごく怖い)
そしてゆっくりゆっくり後ろを振り返ってみる…
「も……申し訳ございません!アルジェ様!!遅れました!」
「……え?」
「…え!?アルジェ様!?え!?あの……アルジェ様は…」
「えっと男性の方なら…女性を引っ張って奥の陰に…」
「あ、貴女様が他国から来られた方ですね!私ルルと言います。この度貴女様の側近、そしてこの国の案内人として任命されました。不束者ですが宜しくお願いします」
そう言い女性はゆっくりぺこりと深々とこちらに礼をする。深々とされ反射的に自分も深々と礼をしてしまう
「あ、よ…宜しくお願いします…!」
「初日から色々情報量が多いと思われますので、今日はごゆっくりお休みになられるといいでしょう。まずこの街の御案内は明後日に致しましょう。明日はこれから住処となるナナヅキ様のご自宅ペルギール家の中を御案内致します。」
「私ここに住むのですか!?」
「…?はい、ここからローイズお嬢様のご自宅ブルッシェル家となりますと14km程距離がございます。」
「14!?長くないですか?え、長いですよ!?ど、どうやって移動するんですか」
「馬車です。」
「馬車〜……」
「でも多分今日ローイズお嬢様はこちらへ歩いて来られたのかと…こちらに着いた時呼吸が荒かったので…」
「あ…あの……もう頭がパンクしそうです…」
「あ!…申し訳ございません!!それではお部屋に行きましょう」
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そしてゆっくり休み翌日の屋敷案内の時間
「こちらが旦那様のお部屋です。そして次のお部屋が奥様のお部屋…アルジェ様のお部屋は奥様のお部屋から2部屋程空いて向こうになります」
「2部屋も何故空いてるんですか?」
「この2つのお部屋は貫通して繋がって居て食糧が大量に置いてあるんですよ。」
「2部屋程もいりますか…?」
「ここオルピルナ王国は現国王様になる前は毎日が血の海となる国でしたので、私の両親はその時代を生きておりましたので詳細は詳しく聞いておりました。昔のオルピルナ王国には食糧難が多々起こっていたようです。それに景色も今と違い荒れ果てた廃れ国だったそうです…パン一つだけでも数人が命を絶ってしまう危険な国です。この平和な時に食糧を大量に確保しておかなければまた同じ事になった時…食べるものが無くなるので」
(危険性はないと言えない異世界……毎日血の海…怖いな…)「もう二度と国を戻さない為にお父さんの跡を継いでローイズさんは頑張ろうと一生懸命なんですね。」
「はい、次は応接間会議室図書館をご紹介致します。」
「ありがとうございます。ローイズさん…凄いです…立派な夢ですね」
「いえ、夢ではなく野望です。」
「え?」
「多分ですが昔と変わっていないのであればローイズお嬢様の夢はアルジェ様とのご結婚でしょう。」
「そうなんですか…あのお2人っておいくつなんですか?」
「17でございます。」
「え…」
「オルピルナ王国では14で婚約をなさる時期です。婚約相手は14になった時に女性が決めれます。そして男性が婚約に頷けば婚約完了となります。」
「14歳で婚約……早いんですね…」
「はい」
「明明後日にもし宜しければこの国の決まり事とか知っておきたいです。」
「かしこまりました。着きました。こちらが応接間、こちらの向かいが会議室そしてあちらの真っ直ぐにありますのが図書館です。」
「1箇所に3室…!?」
「食堂等は先日夜食後に御案内させて頂いておりますので大丈夫でしょうか?」
「はい、わざわざありがとうございます。」
「いえ、これも仕事ですので」
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(案内一通りしてもらいある程度把握は出来たものの……これからどうしよう17となると歳下…私は24だから……どうしたらいいんだろう…あの感じからして相当な偉い立場の方達だからタメはダメに決まってるしだからと言って私の中で歳下に敬語も変な感じだし)
部屋中キョロキョロ歩きながらどうするべきか考えていたら屋敷の中が突然騒がしくなる…人が走って廊下を歩いて行く音使用人達が焦ったペースで喋る声、外から聞こえる妙な大声
「何……なんなの…」
そんな中誰かがコンコンと扉を叩いた…
次回へつづく・・・