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ローイズの野望  作者: 水薔薇姫
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story25.失う悲しみ

story25.失う悲しみ


:登場人物:

・ローイズ・ブルッシェル

・アルジェ・ペルギール

七奈月(ななづき) 鏡花(きょうか)

・レオン・シュタリシュ

・ユリア・フェアフローラ

・マリン・フィルミーオ


ローイズが自分で首を締めてしまった事を確信してしまった一方、一時調べる事をローイズに任せマリンはヴェディアルと一緒に遊んでいると急にヴェディアルが大声で言い出した。


「まま!おそといきたい!」

「え?お外行きたいの?急になんで?」

「ままとおそとであそんだこと無いから…あそびたいなって!」

「…そう言えばそうね。じゃぁ行きましょうか」

「うん!」


ーー街


2人は外に出て公園で遊ぶ為に公園へと向かっている最中、何がしたいかこれがしたいかを話している


「それでね!それでね!おすなばでおしろつくりたいの!」

「そっか〜、どんなお城作りたいの?」

「おっきくて…りっぱなやつでね!えっとこれぐらいで…今のおうちみたいにすごいやつ!」

「ふふっ、そっかぁ〜じゃぁ一緒に頑張ろうね」

「うん!がんばる!」

「お砂場でいっぱい遊んだらお店でおやつ食べよっか」

「わぁ…!じゃぁぼくパンケーキ食べてみたい!」

「それじゃぁパンケーキを食べ」


その時後ろの方から銃弾が一直線に飛んで来てマリンの心臓を撃ち抜いた

立つ事がもう出来ずそのまま崩れ落ち倒れてしまう

倒れた地面には血が次々と出てきて、ヴェディアルは立ち尽くしたまま自分の近場で起きた一瞬の出来事が理解出来なかった


「ま…まま……?血…出てるよ……まま…?まま…ねぇまま…!」


地面へと膝を付きマリンを揺さぶりながら呼びかけるがピクリとも反応がない。

事態を見ていた国民…特にマリンを小さい頃から知っている国民達がすぐ駆け寄り出来る限りの事を尽くすが結果的に脈の動きが止まった為死亡が確定してしまい、すぐに埋めたり等は出来ぬため遺体は運ばれペルギール家へと移動された。

アルジェローイズ鏡花ヴェディアルはもちろんの事、アルジェ両親とネイリンミルフィアもマリンがこの世を去った事実を受け止めれず泣いていた…が1番辛いのは目の前で見てしまったヴェディアルであった


「ゃらぁぁぁぁぁぁぁっ!!ままいぎでるもんっ!しんでないもん!ぅそだもんぅそだもん!!」


目が赤くなってしまうであろう程、号泣し生きているとずっと主張し続ける姿に鏡花は心を痛めローイズはマリンの発言を思い出していた


「……実の母親で唯一の身内でしたし…それ加えて目の前で…見ちゃったら辛いですよね…」

(…マリーが言ってた事…本当だったんだ……)

「旦那様…お嬢様はどうしましょうか…そのまま放置より埋めてお墓を作ってあげた方が良いかと思うのですが…」

「墓地には埋めん。我が家の近場にあった所有地に作ろう…そうした方が小さなこの子もいつでもお墓参りに行けるだろう」

「はい…かしこまりました。」

「ねぇヴェディアルくんおばさんと一緒に遊ぼっか、遊び足りないでしょう?」

「いい……あそばないもん!べであるあそばないもん!」

「じゃ、じゃぁヴェディアルくん!パパと遊んだらどう?」

「ぱ…ぱぱあそんでくれるの…?」

「……遊んでやるよ、部屋行くか」

「ほんと?!お部屋行く!」


そう言って2人は部屋へと向かうと鏡花は疑問をローイズに投げかける


「…ローイズさん魔法などが存在するのならば死者を蘇生させる薬や魔法があるとよく見かけますが…それを使い生き返らせるって言うのは出来ないんですか?」

「禁止…されてるの」

「禁止?」

「1度死んでしまって命を落とした死者を蘇生させるのは私が小さい頃に犯罪…みたいな扱いになったの。もちろんお父様はその事には反対だったし反対側の国王が9割でその1割は勝手に話を進め決めた賛成側の国王なの…でもだったら大丈夫とか思う人居るけどいくら他国の国王からの発表だとしても全国対象になってしまった以上従うしかないの」

「…じゃぁ2度と…」

「うん…それでその…私気になる事あるの」

「気になる事…ですか?」

「昨日マリー私に「みんなと会う事出来なくなる」って言ってたの、それ聞いた時言ってる意味が分からなかったんだけど会えないって意味が死んでしまう…だったとしたら何故マリーが近々自分の生死関わって来てるか分かったか、それが気になってて…確かにマリーは武器も扱えれば魔法も扱えるし…予知出来たかもしれない…未来が見える魔法が使えたかもしれない。でも、それでもおかしいの」

「そうですか?魔法使えるなら普通なのでは?」

「人それぞれ扱える種類って言うのがあって基本的に予知や確実な未来の事を見る魔法は無属性となってるの、丁度マリーの扱えるのは火属性無属性だけどつい1年ぐらい前に予知や未来を見る魔法は使用出来なくなって使用した記憶も消されてた人だけで残ってる人は全く……だからおかしいの」

「え?でも覚えてる人だって」

「過去に数回使った事ある賢者でさえも覚えてないとしたら一般である私達に覚えてられると思う?」

「お、思わないですね…?」

「正直ゴリ押し感強いのは自覚してるけど…結果的にこういう事…もしかしたらマリーは誰かから自分の運命を聞いたのかも…」

「ねぇ」

「ひゃぃ?!」

「ひゃぅ?!」


急に聞こえた違う声の主が2人の間にひょこっと顔を出す

声をかけられビックリしてしまった2人は大声で驚いてしまう

誰かと思い後ろを見るとレオンとユリアが立っていた


「れ、レオンくんユリアちゃん…どうしたの?」

「…あ、アルジェさんに出されたドリルの件ですか?」

「うん、そう…来るの待ってるのとか正直やってられないしめんどくさいしこっちから行こうって言う話で来た」

「今日は2人だけですか?」

「アベルシェミリーなら今日2人共ベット」

「!」(まさか…まさかもうお2人はそんな関係に?!)

「本当あれだけやめた方がいいって2人に言ったのにね」

(子供やめろと言われるなんてどれだけなんですか…)

「ね〜、後日大変だからやめた方がいいって言ったのにね。」

「酒飲んで二日酔いなるの分かってるはずなのにね」

(なんだ二日酔いでベットに居るだけですか…)

「えっとルジェに用件だよね?でも今ルジェはヴェディアルくんと遊んでるから…」

「あ、別に直接渡さなくても良いよ。これを誰かに渡しとけば多分手に渡るだろうし、最悪留守でも使用人さん達にお願いしようと思ってたから」

「アルジェさんに必ずやることって言われてた場所、レオンくんちゃんと計算出来た?」

「頑張るには頑張って全部埋めたけど合ってるかは知らない。答え持ってるのあっちだし」

「お兄ちゃんご飯食べた後とかも頑張ってたもんね。大丈夫だよ!間違っててもやる事に意味があるってお兄さん言ってたし!」

「そうだね……と言うかさっき魔法の話してたよね?」

「え?うん、ちょっとあってね」

「ふーん…未来を見る方法でも探してたの?」

「ま、まぁそんな感じだよ」

「あの予知や未来を見る魔法の使用方法アレ、ウソっぱちだよ。使ってみても全くと言っていい程効果ない。未来を見れもしないから」

「そうなの?」

「うん、1年ぐらい前に起きた記憶喪失的なやつあったけど覚えてる人居なくて当然だよ。効果自体現れなかったんだから、賢者が何回もやってたが記憶にないとか言ってたけど賢者自体も効果出なかったし当然」

「へぇ〜……」

「こんな事年下の子に聞くのおかしいけど…2人は未来が分かる方法知ってる?魔法以外でもなんでも…!」

「未来が分かる方法?ん〜……っとねぇ〜、数ヶ月前の残酷犯逮捕事件覚えてるかな?」

「残酷犯逮捕事件?」

「それって数名の男性達が恨みのある人物達を残酷な方法で殺してた事件だよね?」

「そうそう、あの中に居た1人の男性が魔法等じゃなく親のどちらかが未来の見える種族らしくって人間と人外のハーフ、それでその血が入ってるから対象者の未来が見えるらしいの」

「!…もしかしたら…それかも……確かその人達は全員牢獄に居たはず…会いに行って聞いてみなきゃ、キョウカ行こ!」

「わ、私もですか?!」

「今は1人で居られる心境じゃないの…キョウカが良いならで良いよ。一緒に…どうかな?」

「…私で大丈夫であれば」

「本当?ありがとう!」


そうして牢獄へと出掛けた2人は無事到着すると話に出た犯人達の牢屋前に立つ


「この中にハーフの方いらっしゃいますか?」

「は?お前、誰だよ」

(わたくし)はローイズ・ブルッシェルです。ハーフの方にご用件が会ってきました。」

「…ブルッシェルって言ったら王家だろ?王家の人間が何の用だ」

「先程述べましたよ?ハーフの方にご用件があると」

「そこの女は誰だ」

(わたくし)の友人キョウカです。」

「ふん、そう。おい、お前に用事あるってよ」


そう言って目線を向けて男性を呼ぶと隅にいた男性が無言で前に出て来て口を開く


「なんの用事?」

「はじめまして、まずこちらの写真の女性に見覚えがあるかをお聞きしたいのですが、どうでしょうか?」


するとポケットから写真を1枚出し男に見せる

マリンが黒髪赤目の時の写真だった


「…あぁ、見覚えある。俺らが捕まる一週間前の夜…この女に追われていたんだ、身体能力が女のくせに化け物級で最終的には追い詰められたさ」

「!…それじゃぁ追い詰められた時に未来を見たりなどは?」

「してないさ、する余裕でさえ与えられなかったからな」

「み、見てない…んですか?」

「あぁ、確かに未来の見える種族の親を持ってしまった以上俺も見ようと思えば見えてしまうが…正直女相手にビビっちまってな…」

「じゃぁ…マリンさんが知ってた理由は他の理由…」

「何が知りたいんだお前らは」

「実はこのマリン・フィルミーオ…私の親友が本日街中で何者かの手によって射殺されてしまって、射殺される前に自分が死ぬ事を知ってたような発言をしていたので未来の分かる人に聞かされていたんじゃ…と思い」

「ふーん……」

「でも違ったようできっと他の方法で知ったのかもしれません…わざわざお答え頂きありがとうございます。」

「暇だったしな。別に問題ない。そうだ、未来の分かる人に聞いた訳じゃなければ死神…でも憑いてたかもな」

「死神…」

「死の神様なんだからそろそろ死ぬ者の近場に現れてそうだからな」

「でも死神なんて普通見えるものでは」

「それもそうか…ま、頭の隅にでも入れとく程度で良いだろ。」

「……そうですね…ありがとうございました」


しばらく1つ1つ話を聞いていたが特にコレと言って手掛かりになりそうな事が全くと言っていい程なかった。

その後ローイズはたった2人だけの友達で同性の友達で大好きなマリンを失い、色々と動いたとしても手紙でも書いてなかった内容の調査は無意味だと感じた


「あの時……私がマリーに一緒に調べようって言ってたら…マリーはこんな事にならなかったのかな…ヴェディアルくんはあんな思いせずに済んだのかな…?」

「…どうでしょうか、例えそれで回避出来ていたとしてもまた次の日に外出していたらなってたかもしれませんし…もしマリンさんが死ぬ事が何処かで必ず起こり、避けられない運命だったとしたら…無理な話かもしれませんね」

「……そうだとしたらなんでマリーが死ななきゃならないの?私がもっとこれから居たかったのもあるけど、こう言っちゃ酷いけど…死ぬならマリーに酷いことしてた御両親が死ねばマリーはまだっ……酷いことしてた御両親が生きてて酷いことされて苦しんでて人生楽しめなくってこれからで…ヴェディアルもまだ小さいって言うのにマリーが死ななきゃならないの…?そんなのあんまりじゃんっ……ひどいよ…」

「もう起きてしまった事が変えられないのであれば、ローイズさんがマリンさんの分まで生きて国王へと登り詰める…それだけでも天国にいるマリンさんは嬉しいと思いますよ」

「……うん…」


──数日後


ヴェディアルは以前に比べたら部屋に引き篭って1人で遊びがちになってしまい笑顔を見せる回数は少なくなり、前は使用人達やローイズ,鏡花とも遊んでいたが今ではアルジェ以外の人とは遊んではくれなくなった。

ご飯の時間になって呼びに行くも食べないの一点張りでおやつの時間になって呼びに行くも食べないの一点張り、成長の時期でしかも幼い子が断食等は心配に思った使用人達はご飯もおやつも部屋の前に置いておき、時間を空けて食器を片付ける事が多くなった。

今日はこっそりとヴェディアルが昼寝中に鏡花が前に頼まれて作ったぬいぐるみを置きに部屋に入って居た。


(えっと…ベットに置いておこうかな)


そっとベットの上にヴェディアルに頼まれたマリンに似せたぬいぐるみを置き、部屋から出ようと思った時腕を小さな手に掴まれてしまう


「!」

「まま…いっちゃ…やだ…」

「……私はヴェディアルくんのママじゃないですよ…でもマリンさんはヴェディアル君の事ちゃんと天国で見てますからね…おやすみなさい」


ゆっくり小さな手を離して優しくヴェディアルの頭を撫でてから部屋を出て行く


「……アルジェさんこそこそ隠れて私が出て行くのを伺うのは悪い趣味なさってますね…」

「チッ…バレてんのかよ…」

「今ヴェディアルくんなら寝てますよ。」

「少し暇になったから顔見るだけだ」

「そう言って数日連続でヴェディアルが起きたら遊んでるじゃないですか、素直じゃないですね。」

「悪かったな素直じゃなくって」

「そうだ、ローイズさんが明日捜索をするから着いてきて欲しいそうですよ」

「あぁ…その件な、本人から既に聞いた。」

「じゃぁ私がお伝えした意味全くありませんね。」

「俺が忘れてる可能性もあるからな…意味なかった訳では無いだろう」

「なら良いのですけど」

「…なぁ鏡花」

「はい?なんですか?」

「思うんだが、自分の居た国に帰りたくならないのか?」

「帰りたくならないのか…と言われましても…実際あっちよりこっちの方が好きなんですよね。そりゃぁたまに家に帰ってあの漫画読みたいとか…出て来ますけど家帰っても1人で会社でも1人で…基本1人な私的にはこうやって誰かが居る場所に帰れるって言う嬉しさが帰る気を無くさせてる?って感じですかね。今はただ私は…ヴェディアルくんが心配で…本当のお父さんが分からない状況でマリンさんが居なくなってしまって…明るかった子だったのにこんなにも暗くなりはじめて…」

「それだけあいつの存在は強かったってことだ」

「母の存在は大事…ですね。ローイズさんも心做しか顔が暗いですし、それにアルジェさんも」

「…んなわけないだろ」

「あるんですよ。自覚ないのが本当アルジェさんらしいです。」

「分かる訳ないだろ。気にしてないんだからよ」

「少しは気にしてくださいよ。それも大事だと思うんですけどね…人にどう思われてるか今自分がどんな行動してしまって相手にどんな感情を抱かせてしまったとか…あぁ…考えるだけで腹痛が…」

「気にしたって自分が深く考えても相手が浅かったらこっちが考えて損するだけだろ」

「うぐっ…そ、そうですけども…そんな感じの事はありましたけど…」

「だから俺は考える気ねぇぞ」

「うっ…経験した事がある分なんとも言えないこの悔しさが…」


その時外で大きな音がし、ビックリしてしまう


「な、なんですか!?この大きな音!」

「鏡花が降って来た時もこんな音したな。」

「ふ、降って来た時って言いますけどあれめっちゃくっちゃ痛かったんですからね!」

「骨折れてねぇし大丈夫だろ」

「折れてる折れてないで判断するんですか?!複雑骨折でもしないと怪我に入らないタイプですか?!怖い!!」

「俺は毎度何か少しの事で大声出して喋り出す鏡花が怖いわ」


外からの大きな音と鏡花の大声で起きてしまったようで扉を開けてヴェディアルがこちらを覗いてきた


「今の大きな音なぁに…?」

「あ、ヴェディアルくん……さぁ…なんの音だろうね?」

「鏡花と同じパターンかもな…」

「私と同じパターンって言いますけど私みたいに落っこちてくる人なんて…」

「坊っちゃま!…あ、キョウカ様も…」

「ルルさんどうしましたか?」

「実は先程の大きな音に驚き外に居た者達で音のした方を見に行ったんです。見たら人が居て……目を開けたかと思ったらメイド達に口説き始めて…」

「あぁ…メイドさん達全員可愛い系美しい系とか揃ってますものね…」

「まぁ…一応見に行くか…なんで家の庭に降ってくっかなぁ…」

「ブルッシェル家は庭危ないですからね。場所によっては罠にかかったりとか」

「そう…だな。あそこあぶねぇしな…」


ーーペルギール家庭


「居らした方はあちらの方です」

「…ふーん…」

『ねぇ連絡先交換しない?今からお茶とかって出来る?彼氏とかいる?』

『あ…え…いや……その……』

「あの男はずっとハクネを狙ってんのか?」

「あ、そこは呼びに行く為に席を離れたので分からないですね…」

「坊っちゃま、あの男どうにかしてくださいよ我々が引き剥がしても無限ループばっかりです。」

「そう言われてもな…ところでハクネを狙ってんのか?」

「え?えぇ…なんか気に入っちゃったようでずっと口説いてます。」

「あの、アルジェさん邪魔です。前見えないです。そのバカみたいにある身長で見えません。」

「あ?あぁ…悪かったな」


そう言って前から退けて横へと移動する


「やっと見える……って…なっ!あのチャラチャラ男は…」

「知り合いか?」

「知り合い…と言うか高校が同じだったんです。元同級生って感じですかね…」

「へぇ…同じ国の人間か」

「えぇ…まぁ……華蒨院(かせんいん) 黒木(くろき)…容姿通りにチャラ男で大の女好き…あれでも華蒨院家と言う名家の息子なんです…ただチャラいだけではなく成績優秀運動神経抜群誰にでも分け隔てなく接する男…ちなみに女好きの割には彼女いた歴ないらしいです。本人の話では好みの子が居ればお近付きになりたいと言ってたらしいです」

「らしい…?」

「噂で耳にしただけで事実なのかは知りません。」

「あぁ…そ…それで?いっぱい知ってんな?惚れてたのか?」

「え?そんな訳ないじゃないですか。私は推し一筋でして、まぁ確かに"顔は"良いですけどね。」

「じゃぁなんでそんな知ってんだよおかしいだろ…噂か?」

「その件なんですけどね。私にしつこく話しかけてくる女の人居まして…その人が華蒨院黒木ファンクラブ会会長なんだとか…それで色々と喋ってくるんですよ…しつこすぎて覚えちゃって……はぁ〜…」

「へぇー、まぁどうでもいいけどな」

「だったら聞かないでくださいよ!」

「はいはい悪かった悪かった」

「坊っちゃま、どうしますか?離して拘束しますか?」

「お前がさせたいだけだろ。とにかくまずみんな中入れ、そこの男に話でも聞く」

「かしこまりました。」


外に出ていた全員中へと入りアルジェと男は個室に入っていった。

特にやる事もなく暇な為鏡花はハクネと言う新人メイドに話しかける


「ハクネちゃん猛アタックされてたね。」

「は、はい……でも私なんかより良い方はいらっしゃるのに…」

「そうかなぁ〜…ハクネちゃん可愛いから私も男だったら狙っちゃうの分かっちゃうなぁ」

「かっ、可愛くないですよ?!」

「えぇ〜ヴェディアルくんハクネちゃん可愛いよね〜?」

「可愛い。でも美人はママだから、これ…絶対譲らない異論認めないよ」

「あはは……だってさハクネちゃん」

「そ、そう言われましても…」

「ハクネちゃんは名前からもう可愛いんだから自信持って!」

「普通じゃないですか…?」

「えぇ…可愛いと思うけどなぁ〜…」

「おサボりですか?ユーキホワイトさん」

「ぴゃっ?!め、メイド長…!」

「おサボりじゃないです。アルジェさんに一応ここで待ってろって言われてるんです。ハクネちゃんが」

「そうでしたか、分かりました…が今度からは何かあって一旦手を止めなければいけない際は私に一言お願いします。」

「はい…メイド長」

「それでは失礼します。」

「は、はいっ!………ふ、ふぅ…すっごく怒られるかと思ってしまいました…」

「そして続いて来客で〜す」

「ひぇぁッ?!だ、旦那様と奥様?!」

「珍しい…デートですか?」

「そう見える〜?残念降って来たっていう男の子を見に来たの〜♪」

「私の時も来てましたからそんな気もしてましたよっ!」

「ふふっ♡だって気になるもの」

「ヴェディアルくん〜おじいちゃんでしゅよぉ〜」

「?…誰だっけ?」

(ヴェディアルくんってマリンさんの前じゃ発言の仕方が子供だなって思えるけど…その他の人相手だったら発言の仕方が子供…?とか思えないような)

「がーん!」

「マリンさんの子で孫とかじゃないのにお2人って本当の孫みたいにヴェディアルくんの事溺愛しますよね。」

「それは実のまg」

「貴方」

「あ、な、なんでもないぞ!ヴェディアルくんが可愛いからな!それにうちの娘と言っても過言ではないマリンちゃんの子だからなぁ〜!」

「そ、そうですか…」

「ところで〜……降って来たっていう子は…」

「アルジェさんと一緒にいますね。」

「あの子独り占めしてる訳?!」

「あ、ち、違うんです…!そういう訳では!」

「会いたいなら明日ぐらいが良いと思いますよ」

「……そうね…明日は会う!」


──翌朝、食堂


言葉通り翌日会う為にわざわざ時間を合わせアルジェの両親は朝食を一緒にとる事となった


「ほぉ〜カセンイン家と言うのは大変なお家なのだな」

「そうですね〜、結構厳しいですね。嫌になって今家出の身ですけどね〜」

「家出?じゃぁここに来る前にニホンでなんのお仕事してたの?」

「職業ですか?生涯を共にする女性を探す為にホストを選んでかれこれ数年ホストしてたんですが…悲しい事に好いてくれる女性は居ても自分自身が遊び程度にしか見れない女性が多くって」

「…じゃぁハクネちゃんにマシンガントーク並にグイグイ行ってたの何ですか?華蒨院さん」

「可愛いからに決まってるじゃん。」

「あ、そうですか…」

「黙って食えねぇのかよ」

「誰かと話しながら楽しく食べるご飯の美味しさをアルジェさんは分からないんですか?!」

「うるせ…話す暇あんならあいつ見てこいよ」

「何言ってるんですか?アルジェさんパパなんですからアルジェさんが見てくるのが1番でしょう?私達に見られるより嬉しいかと思いますよ?」

「俺が本当の父親って訳じゃねぇんだからそこまで見なくても良いだろ」

「ヴェディアルくんがパパって言ってる内が花ですよ!本当の父親が現れたらパパなんて呼ぶ事無くなるんですから!行かないなら冷蔵庫にあるスイーツ全部食べますから!」

「チッ…わぁったよ」


渋々と席から立ち食堂から出てヴェディアルの居る部屋へと向かうと部屋の前には手付かずの朝食が置いてある。

まだ食べられていないのが分かり2回ノックをしてから扉を開け絵を描いていたヴェディアルに話しかけた


「おい、早く食べねぇと今よりも冷めっぞ」

「いい…食べないから……」

「そういう訳にはいかねぇよ。これから成長して大きくなる時期にご飯食べねぇとちっせぇまんまだぞ」

「………」


アルジェの言葉を無視して絵を描き続けるヴェディアル、マリンが居なくなってから毎日のように1日に3回は絵を描く、その内容は必ずしもマリンの絵だった


「あのな。絵を描くのは良いけどな…飯ぐらいは」

「遊んでくれないなら出てって…ほっといてよ。食べなくたって僕の勝手だもん」

「…分かった。お前がそう言うなら出て行く…だが、飯を抜かして死のうなんて考えるなよ。死んであいつの元に行ったとしてもお前が来てあいつが喜ぶはずないからな。思い出したり恋しくなったりお前の年齢なら尚更色々と出て来るだろうがその時が来るまで生きろよ。」


そう言い残しアルジェが部屋から出て行き足音が無くなった後、ヴェディアルはこっそり扉を開けご飯を部屋に入れ扉を閉めご飯を食べ始める。

食べながらぽた…ぽた…と溢れ落ちる雫は拭いても拭いても止まることを知らぬようで雫は止まらなかった、そのせいか震えた言葉が出て来て部屋の外にまで漏れる


『ままぁ…』

「……はァ…」


扉から漏れる声を聞いて小さくため息をつくと少しばかり俯いた


(あいつを失う悲しみは俺達なんかよりヴェディアルが1番…大きいだろうな……産まれた時からのたった1人の母親だからな……それにヴェディアルは父親がいない環境で育った分相当なママっ子だったろうしな……あぁ…こうもぽっくり逝くタマじゃねぇって思ってたのにな…すぐ息吹き返してバリバリ元気…って思ってたんだが…やっぱり…そうもいかないか…)「生きてて欲しかったな…あいつには……ほんっと…こんな事になるなら今でも好きだってぐらい…言っとけば良かった…」


そう小さく呟くと顔上げ少ししてから食堂へと戻って行った

戻った時再度口に運んだ朝食は少し冷めていた


次回へつづく・・・

今回マリン推しの皆様には大変酷な内容となってしまいました。

申し訳ございません。

その代わりにって感じで登場しました華蒨院黒木(かせんいんくろき)ですが、七奈月鏡花と同じく日本の住人でとある現象の結果オルピルナ王国にやって来た者となります。


詳しくは後日の番外編として投稿させて頂きます。お楽しみにお待ちください((*_ _)

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