story16.当主とご対面
story16.当主とご対面
:登場人物:
・ローイズ・ブルッシェル
・アルジェ・ペルギール
・レオン
・凜白騎士団
ーー 一方、ローイズ達の方では…
「な、何ここ……不気味過ぎる…」
「ウッ…キツい匂い…血なまぐさい…しかも普通の量じゃこんな匂いならない…い、一体どこから…」
「その姿でも匂いに反応するのな。」
「人型になっても元の姿の時の長所…?は引き継がれてるんですよっ……血なまぐさい匂いとなんか花の香水が混ざってキツい…」
「確かに血なまぐさい匂いはしますけど…花の香水の匂いなんか…しませんが…」
「イズお前じゃね?」
「香水つけてないよ?だって私香水付けるの特定の日だけだし」
「あそ」
「アベルさん、大丈夫ですか?鼻…塞ぎます?」
「……少し失礼します」
そう言った途端アンリーナに抱きつき匂いを嗅ぎ始める
「な!おま!」
「匂い嗅いでるだけだぞ。」
「ライヤ落ち着け、匂い確認だけだぞ」
「は、はい」
「…?血なまぐさい匂いと混ざってる花の匂いはしないんですけど、これ何の匂いですか?」
クンクンと何の匂いか分からず匂いを嗅ぎ続ける
「え?あ、今日の服は奥様から頂いた洗濯洗剤で洗濯したのでそれかと…確かサクラ…だった気が」
「甘い感じの匂いですね…急に失礼しました。騎士団の方じゃないって事は…シェミリー…?レオン達と一緒にあげたのに匂いがそっくりだ…」
「…たまたま同じの誰かが持ってたんだろ。」
「シェミリーのつけてる香水は日頃の感謝を表す為に手作りなんですよ。元の居た場所が森だったので花も結構いっぱいあったので」
「とにかく前に進みましょう。」
みんなで前に進んで行くとそこにはインフェルア家当主と思われる人が座って待っていた
「お主らか、よくもウチのリューネを洗脳してくれたな!」
「洗脳?私達そんな事してないんですが」
「うるさい!黙れ小娘!!ウチのリューネは言う事聞く良い子なのにお主らのせいで言う事を聞かなくなった!どうしてくれるんだ!!」
「シェミリーはどこのいるんだ。お前との話はその後だ。」
「フン!!あんな奴もういらないわ!帰って来たらこき使ってやろう思ってたが反抗ばかり、そんなやつ死んでもいらんわい。役立たずはそこだ」
当主の女が指を指す方を見ると…大きな十字架に捕らえられていつ息絶えてもおかしくない程重傷を負ってる。血が止まる様子がない。
それを見て全員が青ざめる
「なっ!!」
「ひどい…自分の娘にこんな酷い事出来るなんて血も涙もなさ過ぎる…」
「こんな奴1度も娘とは思った事ないわ!!」
「…アベル、お前はシェミリー解放して遠くにいな。最悪出口見つけて外にいた方がいい。そして俺ん家の裏口から中に入ってメイド達に止血頼め、回復型が本当なら止血さえすれば自然回復開始になるだろ。あいにくペルギール家の家系には回復魔法を重傷に使える人が魔力的に居ないもんでな。それぐらいしか家はしてやれないが許してくれよ」
「わ…分かりました。それだけでも十分有難いです。ありがとうございます…」
そう言ってアベルは十字架からシェミリーを解放し息が軽くでもあるか確認する
「……良かった…まだある…」
息が軽くでもある事を確認し抱き抱えて部屋から出て行く
「ふっ、そんな奴生かして何になる?魔法も使えなければビビりで臆病で飛べやしない、何の取り柄もない生きてる価値もないんだ。さっさと放っておいて始末すればいいだろう?お主ら頭おかしいんだろう?」
「は?お前の方がおかしいだろ。お前みたいな母親からどうして優しい良い子が産まれたか謎だな。まぁ両親のどちらかの性格に似てるなら多分父親の性格に似たんだろうな。」
「あぁ、あの弱虫男か。いつもビビってるばかりの臆病者でウザイから始末したんだよ。その後だったかアイツが腹の中に居たって分かったのは確かに言われてみれば似過ぎててウザったらしい」
「もし貴女とその人が結婚したなら愛し合って結婚したんじゃないの…?」
「そんな訳ないだろ。誰があんな底辺と好きで結婚するとでも?吐き気がする!仕方がなくに決まってるだろ!」
「どっちにしてもヒドイな。」
「早く斬ってやりたいぐらいだ」
「戦うと言うのか?良いだろ。お主らの負けは確実だからな」
その途端数十人下手すれば100以上と言っても過言ではない程の人が出て来る
「え?え?え?流石に無理だよ。流石にこんな人数!」
「うるっせぇなぁ。イズお前も参戦だからな」
「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!!!!!怖い怖い怖い怖い!!!!」
「怖いとかで通る訳ないだろ…バカか」
「ば、バカでいいもん!!わ、私帰りたい!!」
「ローイズお嬢様…こう言うのもなんですが…着いてきたのはローイズお嬢様の方ですので自業自得かと私は思います…」
「団長様まで!だってまさかこうなると思ってなかったし、こんな人数相手にするとか考えてなかったし!ただ面白そうだから着いてきたのが間違いすぎたぁぁぁ」
「なんだ?もう降参か?最近の若造は威勢だけ1丁前過ぎるのw」
「降参する訳ないだろ」
「そこの娘は腰を抜かし始めているが?それにお主ら少人数とこんな人数どう相手するつもりなんだ?」
「何を言ってる。こんな人数なんて仕事の早いウチのツキが半分以上片付け……」
「「「あ…アイツ魔法陣の外に居たんだ…そう言えばここに居なかった…」」」
「団長どうしましょう!!ツキ居ないんじゃ勝ち目が見つかりませんよ!!」
「終わりだ…全力を尽くして俺は息絶えるんだ…それは嫌だ…」
「最悪な事にツキは俺達の事あの時気付いてなかった…もう終わりだ…時間がかかる…効率が悪い…」
「ハハハハハッ!!!その頼りになるやつが居なくって泣き言か?滑稽だな!」
「まぁ落ち着けお前ら、効率が悪くたってそう簡単に負けてられるかよ。こいつらには1回負けてもらわなきゃ気が済まないからな。」
「ふっ、勝てるもんなら勝ってみろ!」
そして相手が襲いかかって来て戦いが始まった。
ーーそんな事が起きてる中…ツキは来た道を独り言を言いながら歩く
「本当にみんなどこ行ったんっすか〜…でもこれが落ちてたなら多分何かあったんだろうなぁ…でも俺場所分からないしなぁ…何を手がかりに助けに行けば………って、あっれぇ…おっかしぃなぁ…分岐ルートなんてなかったのに…ンー左右どっちに行くか…そうだあれを使おう」
そう言いその辺にある木の枝を立ててどっちに行こうか決めようとする
「どれがいいか決める時はやっぱり鉛筆倒し応用っすねぇ〜、ウチの兄貴もテスト勉強でよくやってたし」
木の枝が倒れて左の道を示す
「よし左…」
示された左の道に進んで行くとあまり遠く歩かずに中距離で広く明るく綺麗な場所に出る…目の前には酷く古びた屋敷が建ってた
「ボロいな……気になるし入ってみるっすかねぇ」
好奇心で屋敷に入って行くツキ、中に入るとホコリだらけで蜘蛛の巣もいっぱい全く使われてない事がよく分かる
「汚い家ん中……絶対これマキに見せられないなぁ。あいつ綺麗好きだし…俺の部屋も何回掃除されたか……うわぁ、こりゃぁひどい…足跡付く……戻ったら怒られるなぁ…「ツキお前何だこの汚れは!」とか言って怒鳴って来るに違いない。とにかく片っ端から部屋と言う部屋を入ってみますか…」
進もうとした途端、嫌な気配がし外に飛び出し周りを見てみる
「おやおや…残念…せっかく閉じ込めて二度と陽の光を見る事がないようにしてあげるつもりでしたのに…閉じ込める前に出てこられるとは…予想外です。」
(この特徴的な声……もしかして姿は変わってるが…)「お前は…ウチの団に昔居た…人っすよね…」
「おや、おバカなツキさんでも私の事覚えてらっしゃったのですね」
「そりゃそうだろ。お前の声…周りとは全く違う妙な言葉の発し方…忘れたくても忘れれる訳ないだろ。しかもそれが裏切り者ならな!」
「裏切り者?まぁ…なんて失礼な。騙されたあの女が悪いんでしょぉ?疑いもせずノコノコと、本当に笑えました」
「アンリーナの……アンリの性格を分かっててやったんだろ!」
「はァ……そう言えばツキさん…貴方…あの女と婚約してた仲でしたっけ?でもあの女の親御さんに急に反対されて強制的に破棄になったんですっけ。よく団員みんなで話してましたよ。成績優秀のなんでも出来る美人で優しいアンリーナさんと頭が悪くって顔と運動神経以外取り柄のないツキさんがとか釣り合わなさ過ぎる。親御さんに婚約破棄されたのは頭の問題なんじゃないかって」
「…俺だって釣り合わないなんて分かってた。毎日一緒に居る度にそう感じる。今だって思う…「俺とじゃ釣り合わないし周りから色々言われたりするのにアンリはなんで俺を選んだのか」って、頭良くて誠実で…紳士的なら…選びようあったし団長だって居たし…あの学園にはそんな人達が沢山と言うぐらい居た中、俺を選んだんだ…団員達にも言われるのは仕方がないっすよ。俺…本当に運動神経しか取り柄……ないっすから」
その瞬間急にツキが消える
「っ?!…どこ行きました!もう降参ですか?!ツキさんも案外大した事ないですn」
「降参するのはどっちっすかねぇ。」
突如宙に浮いてるはずなのに後ろに回り込んで来たツキ
そして回り込んではすぐ相手に思いっきり回し蹴りをする
「ガハァッ?!」
蹴られた衝撃が強く勢いよく吹っ飛んで行く
「…そう言えばあいつ俺の戦ってる所見た事ねぇか、頭悪くたって良いだろ。昔から今も俺なりに陰で頑張って頭に勉強叩き込んでるんっすから」(にしても、弱っちぃなぁ…威勢が良かったから強くなってると思ったが思い違いか…ダンチョー達の居場所聞かなきゃなぁ)
相手が吹っ飛んで行った場所に行き声をかける
「おーい…おい!…ダメだこれ…完全に気絶してる。居場所聞けないじゃないっすか。あーあ、これ結局そっち行けなかったら怒られるの前にみんなが無事かさえ分からないっすよ。大体連れてくなら俺も連れてけっつーの、そしたら今頃シュシュって片付けるのに……って…なんすかコレ…また分かれ道っすか?!ってかさっき無かったんですがねぇ?!」
またしてもツキの目の前に2つの分かれ道が現れる
「俺は迷路でもやってんのかな。こんな調子じゃ見つからないっスよぉ…はぁ…みんな今頃俺に腹立ててそうだなぁ…坊っちゃまもお怒りかもなぁ…もう無理だ俺…手がかりはないし何処にいるか分からないし…ダンチョー達の場所行けねぇんだけど…」
いつまで経ってもなにも進展が無く、落ち込み始めたその時隣の草陰辺りから音がし
気になり見てみると背中に赤いハートマークがある1匹のうさぎが居た
「お前一回目の分かれ道出る前に草陰に居たやつじゃないか?……って、ちょっと待て!どこ行くんすか!」(もしかしたら…この前マキの言ってた…幸運のうさぎだったかな…それか?…ついてってみるかな)
ーーそしてうさぎについて行き到着した場所は
「あの時本邸って看板に載ってた屋敷と…同じだ…もしかしたらここにダンチョー達が……行ってみるしかないっすね…ハートのうさぎ様様ってやつかな」(アンリーナが持ってくれてた婚約指輪のお陰でも…あるのかな……この世界は本当に不思議だ…)
次回へつづく・・・