story10.怪しい影
story10.怪しい影
:登場人物:
・ローイズ・ブルッシェル
・アルジェ・ペルギール
・七奈月 鏡花
・レオン,ユリア
ーーそして双子兄妹とパートナー達がやって来て数週間が経ったある日、ペルギール家にてアルジェと鏡花が書斎で話をしていた
「それであの子達の様子どうでした?本当はあの子達の様子を見たりするのは父上に俺が頼まれている事なので…俺が行きたいんですけど嫌われては……行けないもので、鏡花さんにはいつも俺の代わりを任せてしまって申し訳ございません。」
「いえいえ、お世話になってる分これぐらいはお役に立たないと…レオンくん達は変わらず元気で遊んでいましたよ」
「そうですか…」
その時勢いよく書斎の扉が開いた
「ちょっとちょっと!!この写真見てよ!これ!!」
「ローイズさん急にどうされたのですか?」
「扉壊れるだろ優しくしろ」
「それどころじゃないのよ!!」
「なんだよ」
アルジェが発言した途端顔色を少々変えて扉を閉め足早に書斎の机に近づいてくる
「写真と言ってましたがなんの写真ですか?」
「…実はさっきまで私この前の森行ってたんだけどレオンくん達の家あった周辺に変な跡があったの」
「はぁ?変な跡だと?」
「これこれ」
机の上に多数の写真を並べ始める
「よくもまぁ写真撮れたな」
「魔法魔法」
「……えっとこれが私達の足跡ですね…この足跡達はなんでしょう…」
「そこ!鏡花さん目の付け所良い〜っ」
「どうせ森に迷い込んだ人の足跡だっての」
「私もそう思ったけど〜…迷い込んだ人達の足跡とは思えない程人数が多いし、数えてみたけど10何人分はあったの明らかにおかしくない?普通大勢で森入る人がいる?」
「…確かにおかしいな、普通は多くても5ぐらいだろうし」
「でしょ?何者かが何かを調べたって事だよね」
「何があって調べたかは分からんが…その調べた側からすれば重要な事に違いないだろう…」
「一体なんでしょうね。調べたって得になる事はないはずですが…」
「あの子達に聞いてみるか」
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「え?誰か深く関わってた人とかですか?」
「居ないですよ?」
「僕達親戚とか本当に知らないし…父さん母さんもそういう人達は居ないって少し申し訳なさそうに言ってたし」
「襲ってしまった方々以外に恨まれたりとかする記憶はないので…」
「それより!なんでお前まで家に入れないといけないんだ!」
「まぁまぁ…レオンくん……あの時の事は許せないかもしれないけど少しでも許して欲しいな…?」
「レオンくん達のお家とお母さんお父さんのお墓がこうやって引越し出来たのはアルジェさんが色々施しをしてくださったからで…なので少しでも許して頂きたいかと…」
「絶対嫌だ!謝ってもらってないのに許せる訳が無い!それにお姉さん達が積極的に謝るのだっておかしい!歳下にも謝れない人なの?!お兄さんは!」
「あ゛?」
「ルジェ…!」
「アルジェさん…!お2人に謝罪を…」
「んなの後だ。時間が空いたらするっての」
そう言いアルジェは家から出て行く、慌ててローイズも後を追いかけ出て行く
「ちょ…ちょっと!ルジェ!」
「本当にごめんなさいね…アルジェさんが……」
「いいよ…お姉さんが謝る事じゃないもん…それに……よくよく考えればあのお兄さんの言った事も…間違いでは無いかもしれないから…何も証拠が無い限り僕達の話は作り話同然の内容…魔王軍だなんて…信じて貰えないに決まってる…だからお兄さんが信じていないのは仕方がないのかも……」
「…私はアルジェさんと出会って日は浅いですけど、日が浅くっても分かります。アルジェさんが優しい方だと、確かに口調は厳しいと言うかキツいと言うか…口が悪い人ですが心の中ではちゃんとお二人のお話を信じていますよ。信じてなかったらアルジェさんの性格ですとわざわざ大きな敷地を作って塀を囲って…こんな状況を作ってくれませんよ。それに…アルジェさんこっそり支払いの半分以上負担したんですよ」
「あの人が…?僕達の……を…?」
「はい、必ずお時間が出来た時に謝罪に来て下ると思うんです。ですから…もしアルジェさん1人で訪問して来た時は…話だけでもお願いします。」
「……うん…分かった」
「ところで今日パートナーの方は」
「今ね〜アベルの挑戦にシェミリーが手伝ってるの」
「挑戦…?」
「人型になる挑戦なんだ。シェミリーの言ってる言葉は理解出来るけどアベルの言葉は理解が出来ない時があって…理解出来ないともどかしいと言うか申し訳ないっていつも思ってしまうから、そこでいっその事挑戦してみようって感じで」
「人型ですか〜……どんな容姿になるんでしょうかね」
「分からない、でも元々の体がアベルは大きいから〜…高身長ではあるかも!」
「成功するといいですね」
そう言って微笑むと2人は少し心配そうな顔をした
「?……どうしたのですか?」
「成功……して欲しいのは私もお兄ちゃんも同じ気持ちなんだけど…」
「人型になったら二足歩行しないとだからアベル大丈夫かな?と思うと…」
「そんな時は歩く練習するしかないですよ…!大丈夫です。心配することでは無いですよ。レオンくん達の考え過ぎの可能性もありますので」
「…そうだよね…流石に人型になって四足歩行なんて難しいよね」
「うんっ」
「そうですよ、ですので大丈……!?」
何かの気配と視線を感じて窓等を見て見るが人の影さえない…
「気のせい…?」(ローイズさんとアルジェさんは帰宅してるはず…シェミリーさんアベルさんはこっそり覗くような真似をしなくても堂々と入ってくれば良い……)
「お姉さんどうしたの?」
「あ、いえなんでもないですよ。」
変に心配させないように笑顔を見せるが覗いて来た相手が妙に気になり…また考え込んでしまう。
(ローイズさんアルジェさん目的ならここに来る前の移動時にも視線等があったはず……じゃぁこの線はありえない…もしかして兄妹狙い…?それかシェミリーさん…アベルさんの両方かどちらか……帰って報告かな)
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「気配と視線…か」
「はい、こんな私でも感じる事が出来たので数名はいた可能性があります。」
「そこで双子兄妹狙いかパートナー狙いかの2つって事ね」
「確率的には以前の出来事を踏まえると後者が高いと思います。」
「確かになんかこの前の男が結構な金になるとか言ってたもんね。」
「1つこれで確信が着いた事は何かの組織等が動いてるって事だ」
「そ、組織等ってそこまで行く?」
「まぁ組織等と言うのは仮話でもあるが大きな影が動いてる事には違いないだろう。」
「……怪しい影はさっさと捕まえないとね。」
「あぁ…そうだな」
「あの子達の周りに一応護衛の人達を付けといた方がいいですね…何かあってからの対応じゃ遅いので」
「確かに…イズお前の家に居る騎士の上位5を身の回りの護衛担当で頼む」
「了解。お父さんには私から説明しておくね。」
「家からは同じく上位5を身の回り護衛に出す。周辺の護衛は適当にやっておこう。」
「そこまでするんですか?」
「あぁ…そりゃぁな、相手もそれなりに強い可能性があるから上を出した方が賢明な判断と思う」
「それに…1人も欠けさせない為にね。もう2度とあんな小さな子達に辛い思いをさせない為にも…私達が頑張らなきゃね。」
次回へつづく・・・