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スライム、武器を買う。

 マンティコアに勝利したことが認められ、Aランク認定された。そのあとブレイズさんが闘技場に降りてきて「Sランクも行っとくか?」とか言い出したのでケイシーたちを連れてしれっと帰った。もう疲れたよ。

 あ、ギルドカードはもらったよ。金色のカード。ケイシーたちは羨ましそうだった。売れる素材も売った。マンティコアやワイバーンの素材も格安だけど買い取ってくれたので小金貨一枚ももらえた! みんなは薬草とかでもっと儲けてたみたいだよ。


「酷い戦いだった」


「ひたすら疲れた。スライムって疲れるのね」


「酷い戦いでしたぁ」


「やっぱり空を飛ぶのは卑怯だと思うの」


「酷い戦いだったわね」


「三人とも酷い酷いって酷くない?!」


 酷いよね? でも三人の目は「酷いのはお前だ」と言っている。さすがに浣腸とかマンティコア殴ったりとか生き埋めは反省している。チャンスがくればまたヤるけどね。負けたくないし。脳筋だから。


 三人の食料やトイレ用品、寝袋などの野宿グッズを買い込み、あたしたちは武器屋に行くことにした。帰ったら宿泊施設も作らないとね。ベッドとかそのうち搬入しよう。


 町は石畳で、建物もレンガ造りだ。イタリアにこんな感じの町があったような。噴水広場とか賑やかだし、この町、エリオールはわりと大きな町みたいだ。海にも接しているので海鮮も手に入る。ダンジョンからも近いし、これからもお世話になりそうな町である。あちこち見て回ろう。

 空はやっぱり一日中赤い。闘技場から見えた空もずっと赤かったし。不気味っちゃ不気味。日の光は弱そうだけど不思議と寒くはない。魔力が気候を安定させている感じだろうか。


 屋台とかもわりとあるし活気のある町だなあ。チンピラも多そうだけど。豚の獣人のオークとか小鬼のゴブリンの住民もいるけど善良そうなオークとかいるね。物語に出てくるようなドワーフやエルフは青の星にはいるらしいけど赤の星は魔物だけだ。オークは鍛冶や料理を仕事にしてる人が多くてわりと賢いし器用なんだって。


 んで、今から行く鍛冶屋さんはオークの鍛冶屋さんらしい。色々買っておかないとね。小金貨一枚で買える数は少なそうだけど。

 素材になるアイテムだから厳選しないとね。お金になりそうなのをなんとか大量生産できたら良いんだけど、もっと深く広く掘ってダンジョンを育てないといけない。


 途中またチンピラに絡まれたけどAランクカードを見せてやると逃げ出した。ちなみにAランクカードは金色だ。お金も預けられるしお店でも使えるらしい。ハイテクだ。

 モンスターや人間は個体によって魔力紋と呼ばれる指紋みたいなものがあり、それをカードに登録することで偽物を防止しているそうだ。記録はギルドにもカードにも残るらしい。青の星の技術なんだって。

 転送魔法陣で青の星から帰ってくるモンスターも一定数いるらしい。そっちにも転生者がいるのかな。芦田さんはあんまり知らないっぽかったけど。全知全能だから探せるでしょ。対応面倒臭がってるだけなんじゃ……。あり得る……。


 比較的大きな、服屋さんと併設されてる鍛治屋さんに来た。石造りの建物だけど無骨な感じではないね。綺麗に店の前は整えられていていくつか看板もある。

 何かの魔法がかかっているのかイルミネーションみたいにピカピカと光ってるのもある。錬金術らしい。ファンタジーだわ。


 お店の中は鉄の匂いがするけれど清潔に整えられている。ケイシーたちは一人前だからこういう良いお店に出入りしてるみたいだね。

 さっそくナイフとかインゴットとか物色する。

 最初から売り物になりそうなのを作れたら良いんだけど、魔力消費を減らすためにはインゴットはたくさん買った方が良いだろう。木材とかは取り放題だし、革とかはダンジョンコアで鞣せるかな?

 まあまだダンジョンコアが無いんだけど。そこは赤ノート先生に相談して効率化を目指して……しばらくはダンジョンに隠らないとね。


 予定では地下八階まで作るつもりだ。スライム仲間も増やして水回りの管理もしないと駄目だし、採掘をやらせても良い。あたし一人で全部手を回すなんて無理だ。スライムたちもパワーアップしないと防衛が不安だしなぁ。


 ナイフ、うーん、意外と安い?

 小銀貨一枚からある。インゴットも鉄なら十キロくらいでも小銀貨一枚から。これは高いのか安いのか。鉄の十キロならそんなに大した量ではないのかな。屑鉄なんかだとトン単位でやり取りしてたはずだ。屑鉄の方が安いしダンジョンコアで加工するなら屑鉄で良いのか。

 山賊ゴブリンの集落とか襲って屑鉄を集めても良いな。……発想がモンスターだな……。依頼とか無いかな~。正式な依頼なら誰も咎めなさそうだなって。


「その手の依頼は多分出ていますよ。山賊はかなりいますので」


「で、でも私たちにはまだ無理ですけど!」


「……アザレアとならイケる」


「あ、あ、それもそうかも!」


「うーん、ダンジョンコアができたら依頼探してみようか。それまでみんなで修行すれば良いし」


「……楽しみですね」


 三人ともやっぱりモンスターなんだなぁ。村を襲うこと自体には忌避感は無いらしい。どちらが山賊か分からんな。まあみんなモンスターだよ!


「うーん、意匠が凝ってるのよりシンプルなのが良いかな~。素材の宛はできたし剣とか盾とかも買おう。鎧はさすがに高いかな」


「革の鎧を鉄にしたりできる?」


「単純に素材が違うと重くなったりしそうだよ? 革だと厚く作るだろうし」


「そっか」


「金属同士ならそう差違は無さそうなんだけどねぇ」


「それでしたら私たちがそれなりの物を買い揃えてインゴットでコピーしてはどうでしょうか?」


「んん、ユキメ天才ね!」


「わ、私もグリーブとか小手を買いますぅ」


「じゃあこのお金も使ってよ。先行投資!」


「有り難う」


「その分しっかり修行してお返しします」


「そ、それが効率良いですかね!」


 お金出すと嫌がられるかと思ったけど意外と断られなかった。確かにその方が効率良いからね。修行してコア作ったら当分山賊狩りだな。やはりモンスター。ピンクのピンポン玉の嵐が山賊を駆逐するぞ!


「片手剣、ナイフ、グリーブ、ガントレット、鉄の胸当て、太刀、スチールバックラー、メイス、こんなところかな」


「うわ、凄く充実しました!」


「ケイシーの装備は総革だったもんねぇ」


「ケイシーは食べるのが好きだから装備はけちってた」


「胸当てくらいは買うように言ってたんですけどね」


「命あっての物種でしょ、ケイシー」


「はぃ……」


 モフモフ垂れ耳が更に垂れて尻尾が床を掃きだした。やっぱり犬だなケイシー。モフりたい。触手で手触り分かるかな? ちょっとモフってみたら小悪魔なイリスもケイシーをモフっていた。ユキメは顔を赤くしていたが参加したそうだった。犬好きか?

 やり過ぎてケイシーに逃げられた。素晴らしいモフモフでした。


「まあこれで装備は整ったね」


「充実した」


「武器とか選ぶのは楽しかったです……」


「余ったお金はインゴットに充てますか」


 アイアンインゴットを相当たくさん買えた。武器とかインゴットは供給が高いみたいだね。かなり安かったと思う。あたしの服も買った。人化の練習しよ。

 うん、物資はこれで充分かな。赤ノート先生もいるし、早めにダンジョンコアを作らないとね。ちなみにインゴットとかはあたしが収納したので移動も楽々である。

 あたしはついに三人のお客様をあたしのダンジョンに招待する。

 帰ったらまずは宿泊場所の確保だな。スライム仲間たちとも打ち合わせしなきゃね。






 次回、温泉回!

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