ダンジョンをオープンして。
リクエストにお答えして。
あー、面白かったわ。アイモルネーさんも強かったわね。彼女の魔力半分くらい残っていたし本気でなかったようだ。キュアパラライズやショートジャンプもギリギリに使ってたし、奥の手を隠してたわね、あれは。あたしも遊びだったけどね。
あたしもずいぶん強くなったものだわ。強い相手と戦うとそれが分かるのが良いわね。
あの神撃って技は地面に向けて放たれたらさすがに躱しきれなかったわね。あたしが小さいからなんとか落とし穴に自分を落とすなんて荒い躱し方ができたけど。相性も良くなかったから本当、竜巻系の技とか連打されたら堪らないわね。
他に二、三人入ったらどうなるか楽しみだわ。連係されて追い詰められたりするかしら?
それもまた楽しいわ。あたしを殺せる人はいるってことだからね。負けない戦いなんていじめでしかないわ。
さて、分体がこんな遊びをしているうちに本体はダンジョンを完成させているわ。ユキメ分体が思ったよりしっかりユキメの料理知識とかを残していたしサンシャイン分体も農場をしっかり運営してくれている。可愛い河童の出る川下りやスライム館、水族館も完成し、コースターやスライダーも数本作ったわ。十分に楽しめる出来ね。
ただまだ迷宮は不完全ね。こちらは立ち入りを禁止にして宝箱を配置していく。構築に使う魔力があたし本体依存なのよね。ダンジョン魔力は魔物の増幅にかかりきりであたしがダンジョンを作るための魔力を提供せざるを得ないのよね。
分体、ちょっとは楽しいことをあたしに譲りなさい!
戦いで本体が死んだら困るでしょ!
死にそうになったら適当な分体と体を変えるわよ!
あたしってかなり卑怯じゃない?!
卑怯じゃないアザレアなんて最初からいないのよ!
それもそうか。
とりあえず五日後くらいにはSランクが集まってくれるらしいからその時は本体が行くと良いわよ。五人くらいならたぶん負けないわ。
あと、分体2からの報告だけど案の定この前懲らしめた貴族の親たちが裏であたしをアグニア帝国に売ろうとしているらしいわ。立派な国家反逆罪ね。ソラ君とクモール君に報告しておいたわ。あたしとしてはわざと売られてから帝国に絶望をくれてやるつもりよ。アグニア帝国の向こうには四つも国が有るから支配は難しいらしいわ。メイシャー以外にもガレナグラノ王国って国がアグニアとガシガシやりあってるらしいわね。
まあアグニアも帝国というくらいの国なんだから少しは楽しませてくれるわよね。ユキメ分体やケイシー分体やブレイズさん分体も投入して一軍を作り上げないと駄目ね。本体はダンジョンから動けないわ。
幸いなのはあたしでも毎日そこそこ魔力を貯められることね。今のあたしは準魔神級だしね。まあサンシャインたちの分体も魔力吸収してるから数で補えば赤の星ほどではないけど魔力を貯められるはずよ。
ダンジョンを深く広く掘るしかないわね。
……ダンジョンの魔力だけなら、魔神に匹敵するのよね。……んん、なんか閃きそうなんだけど……。
この星の人間て魔神級はいないけど魔王級はわりとごろごろいるのよねえ。赤の星はトップが強すぎて優しいから世界的に安定してて、青の星は力が正義じゃないからできの悪いトップが多くの力を従えている感じなのよね。赤の星でも上に行きたがらない、力は有るけど権力を望まない人は多かった。ブレイズさんもそうよね。あの人未だにあたしより強いのに隠居してるからね。羨ましいわ。ぐぬぬ。
この星の強い人って最高でどれくらい強いのかしらね?
ずっと着いてくるニンジャさーん、あたしと戦おう!
隠れてるつもりだったらしいあたしのスパイしてたニンジャさんを捕まえる。あたしは見ようと思えば青の星の七割くらいは見えるからこんな近くに隠れようと思ったらアナさんやカルさんみたいに存在そのものを偽装できないと無理よ。
「む、無理にござる!」
「Sランクの人とかと一緒に戦おうよー! ニンジャさんより強い人っているー?」
「戦は純粋な力より相性や作戦が大事ですからな……拙者に勝つだけなら何人か可能性は有りますぞ」
ニンジャさんを捕まえて路上でごろごろしながら密談? していると、ソラ君とかスノウちゃんは苦笑している。たぶんこの人王国最強戦力だからね。黒髪黒目で本当にニンジャっぽいわ。
やってて思ったけどカルさんがあたしを抱き締めて眠ってた意味が分かるわ。あたしをパワーアップさせるには体を密着させて直に魔力圧にさらすのが意味があったんだわ。
何故、カルさんはあたしを強化したんだろう?
まあいっか、どうやらニンジャさんもSランクたちと一緒に戦ってくれそうだもの!
さてさて、そうなるとダンジョン解放をそれに合わせたいわ。Sランクの人をたっぷりダンジョンで遊ばせれば青の星ダンジョンもウハウハになるわよ!
本体はまたダンジョンにこもりきりになるのであった。ちくしょー!
仕方ないので設備を広げていく。ナイトメアコースも作らないとね。広さとしては赤の星本店ほどじゃないけど深さは赤の星より深くしよう。そうだ、地上部分に町を作っても良いわね。赤の星本店はけっこう険しい場所だったから駅舎くらいしかなかったけど青の星は山の下に作ったから広い草原が広がっている。ここに塔を建てよう!
景色を楽しめるような塔は良いと思うのよね。赤の星は山間部だったからあんまり景色は良くなかったけど。塔を高くすれば森は見えるんだけどね。
青の星は少し塔を高くすれば海まで見えるわ。間には首都ウーゴの灯りも見えるし。良いわね。
さて、そろそろオープンだけどまずは王族の人から誘わないと駄目よね。分体2、よろしくね!
王女様にもちもちされてるから伝えておくわ!
分体ばっかりずるいわね! いつかあたしもキャッキャうふふするわっ! あ、プール有るから水着持参でね!
はいよー。服売り場とか作らないとね。
まだまだやること多いわねぇ。表の町の部分にお店を作りましょうか。
どうせなら一般に任せても良いかもね。
その方が楽ね。じゃあ分体四体くらいで宣伝よろしく!
分体たちは衛兵に許可を取り広告を配り宣伝する。内容はダンジョン近くにお店を出さないか勧誘するものと、ダンジョンがオープンするので水着持参で遊びに来てくださいと書かれたものだ。
数日後には商人が訪れてダンジョンや表の建物を見学していく。正式オープンじゃないから見るだけだけど、それでもインパクトが有ったようで出店を決めて従業員を何人か寄越す人も多く、オープン前だけれど人がかなり集まった。
こうしてなんとかダンジョンオープンの期日は決まった。さあ、Sランクの冒険者さんたちと遊んでこようかな? その前にクモール王子様やソラ王子様、スノウ王女様を遊びに誘わないとね。……王様とか来たりするのかしら?
赤の星では女王様ってか魔神様が入り浸ってたけどね。とりあえずその三人とルシア、カリーナ、アイモルネーさん、ドローバンさんとツッチさん、クレスくんとイリス辺りは来るようだ。楽しみだわ。
当日朝にはテレポートで迎えに行く。ロングジャンプは場所指定が大変だけどテレポートは魔力があればどこでも一瞬で飛べるし大量輸送にも向いてるんだよね。
さてさて、アザレアダンジョン青の星支店、オープンよ!
とりあえず王族の人たちの案内は本体でして、一般のお客様や商人、貴族も来てるわね、そちらの案内はユキメ分体たちに任せる。
あっという間にダンジョンのプールは人で溢れる。スライダーが早速人気だけど事故が起こらないようにケイシー分体に整理させる。
あたしは浅いプールで王女様やカリーナやイリスやルシアたちとキャッキャウフフするわ! やったわね! 遂に悲願達成だわ!
ってもまあ私が載せたかっただけですわ。死にそうな体調なのは間違いないので。うへへ。




