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教室に入って。

 あたしは賢いのよ! と、容疑者は供述しており……。




 さてさて、ダンジョンの開店準備はユキメやサンシャインの分体の準備があるから置いといて、ルシアの学園を見ていくわ。クラスでもルシアはちょっと浮いてるわね。王子様や王女様と普通に仲良くしてしまってるからね。貴族の中には天海嘯(そらつなみ)や帝国の襲撃からその貴族が治める町をあたしたちに守ってもらったという人たちもいて、隙を見て話しかけようとしているのが可愛らしいのだけど、他の人はまだあたしたちが出した結果を噂も聞いてないレベルね。貴族って情報が命だと思うんだけど?


 たぶんその辺りのことも知ってるソラ王子とスノウ王女がルシアのことをなにくれとなく世話を焼いてくれてるのだけど二人の目当てはあたしのぷるぷるボディみたいね! ルシアに冷たい眼で見られながらあたしをだっこしているわよ!


「アザレアの浮気者ぉ……」


 どうやら冷たい眼で見られているのはあたしのようね! 天地ほど実力が離れているのにちょっと怖いわ! 自称正妻ポジのイリスも睨んできてるわね! みんな健全な恋愛をしないと駄目よ! スライムには子供できないから! 分裂はするわ!


 ちなみに絡んでくるような貴族の子弟には殺気をぶつけてるので問題は何もないわ。やり過ぎて正気を失う寸前まで追い込んじゃったり回復してもう一回とかやってたら正気が回復しきらないのか誰も彼もあたしを神のように崇め始めたわ。やり過ぎね! ソラ王子様とかは何故か喜んでるけど。貴族に鬱憤(うっぷん)でも溜まってたのかしら?


 教室に入る。あたしはルシアの膝に座る。今日の授業は魔法物理学ね。赤ノート先生に教わってたから暇だわ。


「……そういうことで、魔力は最小の素粒子、四つの精霊子が更に大きな中性子等を合成し、更に原子を合成しています。これらの術式をコントロールすることで魔法現象が生まれます。魔法現象を確実に起こすためにはこれらの術式を理解することが大切で……」


 ガチで退屈なので教師の発言に合わせて精霊子、中性子、原子、分子、魔法物質を組み上げていく。精霊子をコントロールすることで物質の四態のコントロールも可能になるのよ。地球の物理学とはかなり違うわね。

 ルシアはふんふん言いながらあたしが組み上げる物質を見ているわ。魔力圧調整が下手くそだとぽふんって爆発するから気を付けるのよ。それを使った爆破魔法も有るけど火の魔石の方が威力高いから実用的ではないわ。核融合や分裂みたいに質量を損ねた場合魔力の大爆発が起こるから魔法陣なんかの機能は停止できるけど物理的なダメージや健康被害は少ないわね。身体術式が狂う危険性は希に有るわ。クリアで治るけど。


 そうルシアに説明していると教師が感心したようにふんふんと腕を組んで唸っている。赤ノート先生の知識だから正しいはずだけどこの世界の誰かの知識なのよね、これ。まあ魔神のライムさんとかの研究者の知識とかなのかも知れない。


「物質は魔力により構成され、魔力圧によりコントロールできます。魔力により物質を合成することは術式が複雑になるため、より高い魔力と合成技術が必要になりますが既存の物質を使用するのが簡単なのはこのためです」


 生物の持つ魔力因子には魔力紋と言ってその生物の属性が刻まれているために使用できる魔法の種類には偏りが生じ、それをその人の属性と見るのが一般的ね。あたしなら土と弱い水と聖属性だわ。まとめて樹属性と見ることもできるわね。また精霊の存在も大きいわ。その人の魔力紋により感応しやすい精霊が変わるのよね。精霊を間に挟まない魔法は更に難しくなるしね。でも属性が合わない魔法も魔力圧に反応する以上強引に術式を組んで使うこともできるのね。そのためには微細な魔力を感知する能力が必要になるけどね。


 魔法陣なんかを書くことでも魔法は発動できるけど手間がかかるから普通は錬金術なんかで魔道具を作るときに魔法陣は使うわね。立体術式記述とも呼ばれるわ。赤の星ではあまり使われない技術だけど魔石燃料を利用するためにはこれらの魔道具が必要になるわね。便利なものだわ。集めておこうっと。


 また教師がふんふん頷いているわ。授業の邪魔になってないかしら?


「今アザレアさんが言ったところをテストに出しますね」


「いや、それおかしいから」


 生徒たちも、ええ~っ、と不満の声を上げている。教壇に立ってるわけじゃないから聞こえなかった人とかいそうだわ。


 まあちゃんと教師が黒板に書いていったけど。茶髪を雑に三つ編みにした茶眼で眼鏡の女史なのだけどなかなか怠け者ね。ミネア先生と言うらしいわ。


 まあそんな調子なので授業が終わったらあたしに聞きにくる生徒とかいる。先生に聞きなさい。だいたいあたしの知識って赤ノート先生由来だからテスト範囲を逸脱して博士クラスの知識とか出てくるから学園のテストには役に立たないわ。それもどうかと思うけどね。勉強は身に付かないと駄目よね。テストが良い成績でも研究者として優秀なわけがないものね。新しい発見なんて教科書に書いてないわよ。

 いつか芦田さんも言ってたわね、分厚い辞書を渡されても新技術は作れないみたいなこと。赤ノート先生の知識も身に付かないと価値がないわよ。

 まあ学園はテストができれば良いんでしょうけどね。先生の言うことだけ聞いてればテストの点は取れるのよね。あたしは聞かないけどね! 眠くなるわ! スライムなのに! どうせ脳筋よ!


 王国史とかも辞書レベル以上で書かれてるから教科書の範囲になかったり研究者により意見が違うから正史なのにテストではそういう意見もあるけど、みたいに間違い扱いされたりするわ。テストとしてならルシアの方が正しかったりするのよね。なのでルシアに聞きなさい。

 ソラ王子やクレス君には新しい意見みたいに思われるし。赤ノート先生の知識にはたぶん芦田さんや魔神様たちの知識も入ってるけど、辞書を引きながらなら正解が出せるわけでもないわよね。知識であって知恵じゃないのよね。

 だから赤ノート先生の知識は新しい知識じゃなくて誰かのパクリなんだと思う。頼りすぎては駄目なのよ。


 そういえば紙は意外と安いみたいでみんなノートや教科書を持ってるわ。錬金術の発展によって変わってきたらしいけど明らかに進歩が遅いわ。テレビとか飛行機は無いのよね。まあテレポートとかはあるからどちらが進んでるのかは分からないけど。光速より速くは進めないのよねぇ。明らかに物理より魔法の方が便利なのに変なとこで地球の物理学を超えられない。これも隣接世界感応のせいなのかも知れないわね。

 地球の人の知識や物語がこの世界の構成に影響を与えているのは間違いないものね。河童とかなんでいるの、って話よ。昔読んだファンタジーに河童とかあんまり出てこないけどそれって逆に不自然よね。その場合逆にこの世界の情報が元の世界の人々の意識に感応していたと見る物語も有ったけど、それだと人間の存在に十分な説明がつかないわ。地球のある宇宙に地球以外に人型の生物がいないものね。虫型の知的生命体がいないことなんか証明された試しがないのよ。何故もっと違う、物理的に違う異世界に人間の存在が有るのか。これが芦田さんの隣接世界感応仮説の土台になったのね。

 アナさんはもうほぼ確実と考えていたけど、魂が物質ではないから物理的な検証ができないのよねぇ。


 これ大して意味がない情報に思えるけど天海嘯(そらつなみ)を解消するための方法に結び付くアプローチらしいわ。つまり強引に天海嘯(そらつなみ)の魔力を好意的な生物に変換できればスタンピードを極力抑えられるかも知れないのよね。ただ、生物である以上他者のリソースを食わざるを得ないから結局はどこかで争いになるでしょうね。

 今の技術では不可能だけど全部食料に変えたりできないかなぁ。でもそれはそれで腐敗したり惑星が物質で埋め尽くされたりしそうだわ。いずれ物質を分解して魔力に変換する技術が必要に……ってそれは収納スキルでできるわけか。スライムが物質を分解する役割を担ってるから世界のバランスが保たれている?

 魔力圧により魔力量保存則が働いているのかしら?

 天海嘯(そらつなみ)対策についてはソラ王子やクレス君も興味があるらしくてあたしの推論に耳を傾けている。スタンピードは人類にとっても問題だものね。赤と青の星の学者が交流を持てたら天海嘯(そらつなみ)解消も有り得るのかしら。

 でも赤ノート先生は天海嘯(そらつなみ)の解消方法は赤と青の星のどちらかが消えるしかないって……たぶん芦田さんの意見よね。裏技的に無かったことにする方法は無くはないけど。そもそも天海嘯(そらつなみ)を資源確保の手段と考えると解消したら二つの星が消えてしまうかも。そうだわ、天海嘯(そらつなみ)がないと魔物の存在は消えてしまうんだったわね。






 次回、貴族を弄ぶ。

 ん? いつものことね。


 百人くらいしか読んでないのでまだ読者様にはいないかも知れませんが天海嘯(そらつなみ)解消法は私の中では確立できてます。


 エンディングまで泣くんじゃない。




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