学園に入って。
ちくわ食べたいです。
さあ、王都に着いたわよ。ウーゴと言うらしいわ。王都と言うからには王様がいるはずだけど、どんな人かしらね? 聖女として呼び出されたりするのかしら? 面倒くさそうな臭いがプンプンするわぁー!
とりあえずルシアの学園に行くわよ。ルシアのじゃないけど。
学園とかなんかすごい楽しみだわ。前世はあんまり勉強もできなかったのよねえ。こんな有り様で知識チートとか無理があるわね。
前世は動けなかったから旅行とかリゾートとか憧れて色々調べてたけど、それを見た両親や友達が泣くのよ。本くらい好きに読ませて欲しいわよね。ほとんど入院生活なんだから。今世は違うけどね。病気にはならない健康スライムボディよ。これからは健康スライムと呼んでいいわよ!
スライムはみんな健康とか考えちゃダメよ!
「わあー、おっきぃ!」
「おっきいわね」
王都はすごい高い城壁に囲まれているわ。天海嘯対策ね。エロ台詞では無いわよ。そもそもルシアってあんまりエロくな……はっ!? 今あたしを瞬殺できそうな殺気をルシアから感知したわ! この子本当に遠慮が無くなってきたわね! でもスライムの挨拶はできないボディよ! ふおー、もちもちしないでー!
「入るのはギルドカードがあれば簡単だけど、どうする? ギルドに行くか宿を取るか学園に直に行くか。王様に呼ばれる可能性も無くはないけど」
「カリーナに任せるわ。めんどい」
「貴女ってわりと面倒くさがりね」
あたしは前世病弱だったから掃除とかで体を動かすこともなかったのよ。小学生の時はずるいって言われていじめられたけど中学くらいから逆にみんなが気を使ってきてちょっとうざかったわね。なのであたしは面倒くさいのは嫌いよ。完璧な自己弁護ね!
あ、酷い奴だって視線を感じるわ。なんなの? 酷いと思われる運命なの? あたしは酷くないわ!
うーん、ひょっとしてあたしって前世から酷かったのかしら? あたしの病気を知って改心したいじめっ子を死ぬまでパシリにしたことはあるけど、うーん、二十四で死んだからそんなに酷くないと思うのよね。……告白されたりしたのは全部断ったけど。早くに死ぬのは分かってたし。うん、あたしは酷くないわ。
まずは学園ね。受付でギルドカードを提示して年齢とスキルを確認されたわ。受付の女の子、スライム召喚と隣のあたしを見て鼻で笑ったのでほんのり殺気を当てておいたわ。白目を剥いて泡を吹いたけど、自業自得って言うのかしら?
それから真摯に案内してくれたけど、アンモニア臭が酷かったわ。
入学試験があるみたいね。あたしが手伝っても良いそうだからルシアに嫌がらせで首席を取らせてみるわ。この子は遠慮無いからね。あたしも遠慮はやめるわ!
ペーパーテストは歴史とかは分かんないと思ったけど赤ノート先生がいるじゃないの。全部百点余裕だわ。ルシア自身すごく頭が良いけど。あたしが教えなくても余裕で解いていくから間違ってるとこだけ教えるわ。
カリーナはなんか先生になるらしく学園長に呼ばれていったわね。クレス君も試験を受けてるから時々間違いを指摘しておく。首席が二人ならルシアの負担も減るでしょ。途中からクレス君は答えを教えるのは禁止と言い出したから後は二人の実力に任せることにしたわ。まあ二人とも頭が良いから大して変わらないでしょうけど。
しかしルシア、本の虫な上に計算もできるから普通にほぼ満点だわ。赤ノート先生並の知識だわね。教えるなと言われたけど間違いは一、二問なので教えるわ。全問正解ね。ふふふ。ルシアはこれから首席ね!
生意気だとか言い出した貴族は落とし穴で行方不明で良いよね! え、やり過ぎ?
んー、じゃあ、絡んでくるのがいたら正気を奪うくらいにするから大丈夫よ。
実技試験はルシアは魔力を抑えて撃とうとしたからきっちり補助してあげたわ。王都が爆散しないくらいに抑えたわよ。あたしって常識人、常識スライムじゃない?
だから力加減して学園の壁が全損するくらいで済ませたわ。あたしって優しい! 常識スライム!
カリーナが跳んできて全力で睨まれた。背筋は無いはずなのに凍ったわ。やり過ぎたのね。
なんか使役獣のテストも有るらしく他の使役獣と戦わされることになったけど、残念ながらあたしの前に立つ勇気がある使役獣は一頭も居なかったわ。なによ、戦わせなさいよ! こんなんじゃ鈍っちゃうわ。
教師たちの目が死んでるわ。おかしいわね、あたし何もしてないのだけど。ルシアが手加減しなかったら壁くらい吹き飛ばせるから、手加減させなかっただけのはずよ。手加減なんて魔物にとっては侮辱なのよ?
その辺り分かってないわね。プンプンだわ。
結局ルシアの入学は認められたんだけど、何故かあたしは小さい部屋に押し込められてカリーナやドローバンさんやツッチ君(今年十五才で学園に入ったらしいわ)に、睨まれているのよ。あたし可哀想ね!
「可哀想なのはお前の頭だ」
「なにそれ的確すぎるとあたしでも心が痛むわよ!」
「痛めば良いよぅ」
「ルシアが辛辣だわ!」
「先生、やりすぎと言う言葉は知ってますかの?」
「たぶん知らないなっ」
「こ、言葉は知ってるわ!」
あ、一斉に酷い奴を見る目になったわ! でもこういうの面白いじゃないの! 芦田さんもカルさんもあたしが楽しむの推奨してくれるわよ、たぶん。
『芦田からのメッセージです。……まあほどほどに楽しめ』
あ、赤ノート先生経由で芦田さんからメッセージが来たわ! 新しい技を身に付けたわね芦田さん!
うーん、あたしに自重を促しても無理なのよね。ああ、分かったわ。前世が動けなさすぎたから、今世はあたしには楽しすぎるのね。まあルシアたちに迷惑かけない程度にやりましょうか。……無理な気がするわ。まあ問題は正面から破壊できるけど。脳筋だもの!
学園が始まるまでまだ一週間あるので、あたしは分体を出してルシアに断ってダンジョン作りに向かうことにしたわ。ルシアは宿を取らせたわ。イリスも一緒に行くわよ。スライム管理は任せるわ。王都の近くでオリハルコンが採掘できて温泉が出る土地を赤ノート先生で検索してロングジャンプで現地入り。あたしはもう星の七割くらいまでは魔力を広げられるわ。カルさんやアナさんにはとても及ばないけどね。まあほとんど星を覆ってるのと変わらないわよね。大陸の上くらいならどこにでも行けるわ。
ふんふーん。王都の近くにちょうどいい場所があったわ。早速土を食べるわよ。うーん、美味しくないわ!
味が分からないようにしてどんどん崖を食べて穴蔵を作ったらヒールかけまくるわ。うん、あっという間にスライムが発生したわ。土に埋めてクレイスライムにするわよ。名前はクレリンで良いかな。ちょっと危ない気もするけど。クレリンのことかー! イリスに預けるわよ。
温泉を掘り当てたら水量を確保してスライダーとプールから作るわ。排水処理用のスライムもたくさん作って金属も掘り出してコースターも作っていく。コアを作らないとユキメ分体とか召喚できないからしばらくは深く掘り進めるわ。ノウハウも有るし魔力量があの頃とは四桁違うから全く問題なく高速でダンジョンができていく。ルシアたちを早く連れてきたいけどレストランとか宿泊施設を作ってからだわ。楽しみね!
「アザレア、ダンジョン作りって楽しいね」
「お客様の笑顔を想像できるからなおのこと楽しいわね!」
「うん、ふふ。スライム館作るね?」
「良いわよぅ!」
ヤバい、どう考えても赤の星レベルにならないのに、ダンジョン作り楽しいわ!
次回、王族に呼ばれる。
貴族とか面倒くさいわね!




