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王都に向けて。

 アザレアはもちもちされます。

 ブックマーク百件突破、有り難う御座います!




 ファスタでの戦いを終えたあたしたちは、帰ってきはじめた町の人とは入れ違いに、王都へと向かう。例によってあたし一人ならすぐに着くんだけど、みんなと一緒なので一週間ほどはかかりそうだ。

 まあ旅を楽しむのも良いだろう。引きこもり癖が抜けないわ。旅って何を楽しむと良いのかしら?

 まあ景色や歴史や生物や食べ物とかは分かるんだけど。お土産買うわけじゃないからねえ。


 ファスタでできることを考え、色々準備していったのだが、その中に魔神についてのデータ収集がある。何故か赤ノート先生は魔神の封印場所を教えてくれなかったのだ。

 だけどこの星の五大魔神については何故か教えてくれた。より多くの人が知る事実はある程度プライベートでも分かってしまうらしい。まあみんな知ってるから良いか、みたいな気軽な感じを受けた。これ絶対に芦田さん関係者が知識選んでるよ。本人じゃ無さそうなんだけど。

 推測だけど赤ノートって女神様のスキルだからあの子が誰か芦田さんのとこに遣わせてるんじゃないかと思うのよね。たまに芦田さんが嫌がりそうな情報を嬉々として書いてることあるし。芦田さんの弱点を聞くと芦田さんが帽子をかぶりすぎて禿げるのを気にしてるとか書かれるし。めちゃプライベートやーん。


 おっと、五大魔神のデータね。

 一人目は剣舞の魔神、剣神ルーナレイス。あたしと同じで刃物を使うタイプなんだけど、青の星では最強の魔神らしい。二つ名からしてやばそうね。でも真っ向から打ち合うタイプだからあたしは戦いやすいと思う。女の子なんだけど殺さないと駄目なのか。ちょっと辛いよね。


 二人目は焼滅のバリーカーン。炎使いだわ。天敵ね。しかもジルドさん並の戦闘狂。触りたくないわ。こういう魔神からサクサク殺したいわ。


 厄介なのが残りの三魔神。五大魔神の中でこの三人がよくつるんでるらしくて、先の二人よりヤバいらしいわ。


 一人は浸食のセクラノセラ。水を使って侵入したり溶かしたり窒息させたり、搦め手が得意。強さはそれほどでもなさそうなのが救いね。ただ、相性があまり良くなさそうだわ。セクハラ野郎で覚えたわ。まあスライムらしいから女の子だけど。スライムは単細胞生物だからね。


 もう一人は死葬のジモーン。アンデッドね。ある意味あたしの対極にいるタイプだわ。ウジ虫とかあたし苦手なのよね。死者を使う、かなりやりあいたくない相手だわ。自問自答で覚えたわ。あたし頭悪くない? え、もともと?


 最後が闇黒(あんこく)のノーンゼト。色々計略を練ったりキメラやゴーレムなんかを主戦力に使う、命を冒涜する錬金術師タイプ。うーん、脳筋のあたしとはやはり対極だわ。この三魔神と戦いたくないんですけど。

 キモい系統の魔神が多いわ。赤の星の魔神様がみんな良識的に思えるのよね。


 結論、青の星の魔神ってやべえ。ってか魔神やべえんですけどね。


 でね、王都に向かう道に泥沼でキメラゾンビが発生しているらしい。


 いきなりヤバい奴来ちゃったんじゃないの? と思ったけど、キメラ一匹だけが暴れているらしい。

 それと天海嘯(そらつなみ)が終わって召喚された魔物をもて余したアグニア帝国とかいう国がこの国、メイシャー王国にちょっかいをかけてきはじめたとか。タイミング合いすぎてて嫌な予感がするなーとかギルドの人が言ってたり。


「魔神がもう復活してる?」


「漏れ出た魔力で眷属を召喚してるだけかも知れないですけど」


「帝国がその魔物を追い散らして戦力にしてるのかしらね」


「ゾンビとか嫌ですぅ」


「くえええぇ!」


「もっちゃりもっちゃり……」


 あたしとクレス君とカリーナは魔神復活の予兆と帝国がそれに乗っかったと予想。ルシアとスカイはゾンビに嫌悪感があるみたいだけどイリスは自重しろ。もっちゃり禁止一ヶ月と決めたら泣いた。ちなみにすでに馬車でゴトゴト移動中。


 途中でキメラ殺しに行くけどルシアの試験だからルシア一人で戦う。試験官がカリーナって時点で茶番だけど、ルシアの今の力で下位ランクに置くのは明らかなギルドの損失だからね。そもそもあたしを召喚して使役獣にしてる時点でS確定なんだけど、さすがにそこまでは判定できないわよね。……あたし使役されてないしね。


「と、とりあえず行きがけの駄賃ですぅ。粉骨砕身頑張ります!」


「なんかルシアがハッスルしてるわっ!」


「ルシアは強くなったけどギルドランクはD止まりだからね。一応緊急依頼だからCランク試験扱いになるからやってみたらって勧めたの」


「青の星の冒険者は大変ねえ。ランクは実力で上げるべきだと思うわ」


「赤の星みたいに実力史上主義が楽」


「それで冒険者ギルドのシステムが持つのがすごいですよね。元々荒くれが多いのが冒険者なのにどうやって統制とれるんでしょう?」


「そもそも強い魔物って何故か女の子が多いから比較的平穏にまとまるのよねえ。上位冒険者で荒くれだと闇討ちありありだから必然と心根の優しい人が上位で生き残るのかも」


 スタンピード前のルシアはスライム並の強さだったからFランだったけど、スタンピードで活躍するとみんなランクポイントというものを足されるらしい。特にルシアは前線で活躍したから試験無しで上がれるDランクまで一気にかけ上がったみたいだわ。実力はBをすでに超えてるんだけどなー。


 赤の星と青の星じゃ違うのは分かるんだけど、ちっとも慣れないわ。荒くれがいたら闇討ち! それが鉄則だ! みたいな赤の星と違って、こっちは荒くれが多そうだわ。人間の方が物騒なのか魔物の方が物騒なのか。


 考えても仕方がないから王都に移動よ。天海嘯(そらつなみ)期の後はみんなある程度潤ってるから山賊とかいないなあ。略奪とかするなら帝国の兵士とかなんでしょうね。


 って、普通に村が燃えてるー!!


 目的拠点だった比較的大きめのアルノー村が燃えている。あんなに大きい村を襲撃してるって、かなりな軍隊だわ!

 とにかく助けるわよ! ……あたし戦場のスライム聖女は、戦場で味方に一人の死者も出さない。そうでなければこんな二つ名名乗れないわ!


「行くわよ!」


「応!」


「い、いきますう!」


「行きましょう!」


「戦場のスライム聖女」


 呟いたイリスの目が光る。気合い入りまくってる


「その真価を見せる!」


「ぐわああああっ!!」


 スカイも気合いが入りまくってるわ! みんなあたしの魔力でパワーアップしてるから気持ちが伝染するみたいね!!


 盗賊か兵隊か知らないけど、あたしの前で好き勝手は許さないわ。


 イリスは瞬間的に数十体の分身を出して駆け出した。すごいわ!

 いつの間にかうちの子はみんなあたしより魔王になってるわね! 負けそう!


 スカイとカリーナも飛んでいく。あたしは後ろから行くわよ。後衛だしね。クレス君もイリス分体に抱きしめられて飛んでいく。うらやましくは全くないな。ようやく淫魔の自覚できたのかしら?

 いや、分体飛ばして本体はあたしをもっちゃりしてるわ。もっちゃり禁止だっつの! やっぱり泣いた。


 ルシアはあたしと一緒に後衛よ。……つかそもそもあたしって前衛で余裕でいけるんだけどねえ。まあいいや。


 村が見えるとこまでルシアとショートジャンプ。うん、人間の兵隊だわ。なんか人間が虐殺してるのを見ると魔物がそれをしているのを見るより腹が立つわね。ぶっ殺すわ。


 そっか、これがこの星の、青の星の魔神とは話ができない理由なんだわ。人間ごときが争いあっててあたしたち魔物に勝てるつもりなの?

 烏滸(おこ)がましい。


 軍隊だか帝国だか知らないわ。


 蹴散らすのよ。あたしたち魔物は、弱い存在を蹂躙して奪うものに、同じ目に遭わせてやるのが正義なのよ。






 次回、試験開始!

 アザレアははいてない。




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