表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/72

貴族を弄んで。

 はぁ。なんか虚しくなってくるくらい弱いわ。なんなの人間。どうやってスタンピードのりきってるの?

 ああ、召喚でね。

 ……そうか、クレス君、なんか召喚してるな。そこそこ強い子を。


 だとするとこいつらは弱い生き物でも召喚しちゃったのかしら?

 そもそも青の星ってみんな召喚術持ってるの? だとしたら赤の星の魔物が多すぎない?

 一億人が召喚したら一億人が減るものね。召喚対象と召喚者の数が開くケースでも、全員でやったら人口ならぬ魔物口(まものこう)減りまくるわよね。

 考えても見れば分かる。青の星の全員が召喚術しか持ってないはずが無いわね。なんか他の術があるのよ。だいたい十五歳にならないとスキルを得られないとか、努力に結果が伴わないのもおかしいんだよね。現実には十五才前にスキルを得てるけど鑑定するのが十五才の成人になってからという決まりがあるからなのか。馬鹿ね。

 まあそれは置いておくわ。ルシアはスキルが色々生えてるのよね。あたしのせいはあるけど、たぶんスキルって後付けだわ。赤ノート先生も確かそんなこと言ってたわね。

 スライム召喚後付けってどうなのよ? とは思うけどさ。


 ゴブリンやコボルトって弱いイメージあるけど、うちの常連客の中には魔王級がゴロゴロいるわよ。そもそも悪いことしそうな人は弾くのよね。三人娘が。イリスにケイシーにユキメ、大丈夫かしら。カルさんがおかしくなってたら心配だわ……。


 なんかしつこく攻撃してくるからもうね、頭に来た。どう思う?


 あたしには殺すしか選択肢無いけど、面倒臭いわ。


「ストーンルーム」


「何?!」


「いや、このテントを石で囲っただけだけど?」


「貴様っ! 今すぐこの術を解け! さもないと国家反逆罪とみなす!」


「出れば良いじゃん? なんでこれが国家反逆罪? そもそもあんた誰よ。平民が国家語ってんの?」


「なっ、我は」


「いや、名乗らなくて良いわ。あたしに無礼を働いた雑魚が苦しみ抜いて死んでも誰も気にしないもの」


「お前ら! 人質を殺せ!」


「うーん、殺されるのは嫌かものっ」


「ですなっ」


「死んでも蘇ると言っても怖いわよね。大丈夫大丈夫」


 すでにそいつらの正気は抜いてある。

 なあに、ちょっぴり針のような魔力を撃ち込んだだけですよ。


「あひゃひゃひゃひゃ!」


「ベベべんべんべん!」


「ひひひーねひねひね!」


「な、ななな、何を言っておる!!」


 正気を失うと自殺したり他殺したりするらしいけどすっかり抜いたらこうなる。変な躍りを躍りながら意味の分からない叫びを上げ始めたわ。

 はあ、ものすごく虚しい。あたし、何と戦ってるのかしら。この世界の魔神はこいつらを助けるために戦うかしら? 無いわね。

 本当に国家反逆罪って言われても国くらい滅ぼせそう。あ、すでにそのレベルに達してるのね。……でもカルさんを(いさ)められるレベルじゃないからね……。やっぱり魔神を片付けないと駄目なんだわ。無茶だと思ったら芦田さんも魔神を滅ぼせとは言わないと思うし。魔神を倒してレベルアップよ。


「ねえ」


 おっさん貴族は魔力漏らしてないと思うけどびくってしたわね。面白いから、からかいつづけてあげようかな。できれば首実検するんだけど、クレス君に頼んで。でも青の星だと貴族を殺したとかはさすがに面倒臭いわ。

 あ、クレス君が……また死んでるう! バカなのあの子!


 男を拘束してからストーンルームを開ける。そもそも、もう正気な敵はいないから仲間のヒーラーは全員離れてるわ。


「リザレクション」


「あれ? あ、また生き返らせてもらえましたね、アザレアさん!」


「バカなの? 本当に放置するわよ」


「絶対しませんよね?」


 ぐっ、なにこの子、あたしを見抜いてるんじゃないわ! 酷い人だと思ってなさい! 赤の星ならみんな思ってるわ! あたしそっちの方が好きだもの! それといきなり抱きつくな!


「あー、まあ良いわ。そこの阿呆、誰よ」


「ん?」


 あたしはバカを指でさす。はあ、本当に虚しいわ。あたしこの国を別に滅ぼしたくはないんだけど、馬鹿な貴族ってみんなで散々な目に遭って死んでほしい。


「ガルート子爵。応援ですか? 有り難う御座います!」


「なんかあたしを粛清に来たらしいわよ?」


「ガルート子爵。首を置いていけ」


 いやちょっと待て豹変しすぎー!

 一瞬で! ガルート子爵とやらあたしにはビビらなかったのにお漏らししてるからー! クリーンクリーン! 青空には小鳥が歌うのよ! あ、クリアだっけ。詠唱はクリーンでも大丈夫ね! あたし混乱しすぎね! いや、混乱するわよね、甘いマスクの見た目は王子様がいきなり殺す宣言するんだもの!


「ちょっと冷静に! 殺すのは同意だけどお家のことも考えて!」


「あ、父は貴女をすでに聖女認定してます」


「貴族手を回すの早すぎぃ!」


 なんなの貴族。上と下が離れすぎていやしませんかねぇ?!


「こういう雑魚貴族には情報の回りが遅くなる工作とか仕掛けられるらしいですよ」


「失態をさせるための情報操作ね。ああ、こいつらクズなのか」


「そういうことですね。なので別に豹変したわけじゃありませんよ、アザレアさんを愛していますので」


「頭おかしいんじゃないの」


 スライムに告白する可愛い系イケメンは間違いなく変態か頭おかしい。まあ噂に乗っかった戯言(ざれごと)なのは分かるけどね。あたしまだ愛は分からないわ。


「本気ですよ?」


「子供残せないからあっ!」


「僕別に子供残さなくて良いですし」


「本気だー!?」


 いや、まあ冗談みたいだけどね、あたしの乗りを数日で掴むとかこの子才能有りすぎね! なんの才能か分かんないけど。お笑い?


「まあ冗談は置いといて、アザレアさん、こいつら一瞬で亡き者にできたのにしなかったのは何か策があるのでは?」


「策って言うかそもそも国が敵になってもあたしは逃げれるし負けないからねぇ」


「はあ、なるほどっ! アザレアさんなら当然ですね。うんうん、そうすると、あの、アザレアさん」


「ん? なあに?」


「我が家に貴女の後見をさせていただけませんか?」


「んー、まあ良いんじゃないの? たぶんスッゴい迷惑かけるけど」


 最初から上位の貴族を味方に付けたいとは思ってたしねえ。あれ、これあたしけっこう無礼なしゃべり方してるわ。いや、だってこいつ、クレス君、死にすぎだもの!


 まあなんとか子爵、こいつらはもう殺しても良さそうよねえ。どうしよう?


「こいつら跡形もなく消せるけどどうする?」


「ん、それは楽ですね」


「ひ、ひいいいっ! ご助命を! クレステッド様!」


「名前を呼ばないでいただけますか?」


 うわ、貴族って許可なく名前呼び駄目なの? 厳しいわね!

 まあ虫除けには良さげだけど。あたしだと良いのかしら?


「こいつあたしをなめくさってるし殺して良いわよね? スタンピードなのに協力もしないなんて貴族としてもとっくに失格してると思うわ」


「御意」


 御意はおかしいわよ。なんなのクレス君、信頼しすぎだわ。……本当に信頼しすぎだわ、なんかあるのかしら?


 クレス君が召喚した魔物って何者?


「お、おたしゅけを……」


「誰に助けてほしいのよ。あたしの名前も知らない人を助けられないわ。貴方は名乗りもしなかったわね。まあ名乗らなくても戦争仕掛けてきたんだから殺されても良いのよね。ごく普通の常識だわ」


「あひぃー! たじゅげでー!」


「もう無理ね。これは消した方がましだわ」


「僕もそう思いますよ」


「クレス君、死にたがりのくせに貴族ねぇ……」


「矜持がありますので」


「立派だけど迷惑だわ」


 矜持のために立派な人が消えたら国が台無しになると思うのよねえ。別に王政が悪くはないのよ。革命後の方が人々は貧困に喘いだりするのよね。だから権力者は持ち上げておけば良いと思うわね。優秀な指導者を無くしてどうするのよ。リーダーのいない群れなんてどんな時代でも滅ぶの一択よ。そうじゃなかったら社会も存在しないわ。孤狼が群れをなしても滅ぶだけよ。当たり前じゃないの。まあ愚王はいらないけどね。


 あたしは仲間もなく救いがなく力がなかったなら一瞬で滅ぶただのスライムだったわ。仲間は大切よ。






 次回、スライム天使アザレア「赤の星からヤツが来た!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ